○はじめに
クリニック開業コンサルティング及び経営コンサルティング会社のホームページを拝見すると、開業を検討し始めたら、『コンセプト検討』という言葉を目にします。
『コンセプト検討』といっても、なかなかイメージを作るのは難しく、二の足を踏んでいる方もいるかと存じます。
そこで少し視点を変えて、昔から語り継がれている経営哲学『三方良し』からクリニックコンセプト検討について述べます。
⚪︎三方良しとは
『三方良し』とは、諸説ありますが、江戸時代から全国に広がった近江商人が商売の心得として大切にしていたと言われた言葉です。仕事の基本は、「売り手良し、買い手良し、世間良し」という三方が満足している状態を考えることからはじまる、という考え方です。
この哲学を取り入れている現代の企業の代表例として、総合商社の
『伊藤忠商事株式会社』があげられます。
さらに、この言葉が本質を突いていると感じるのは、
「世間良し、相手良し、自分良し」ではなく、「自分良し、相手良し、世間良し」という順番で語られていることです。
つまり、自分を起点に物事を考えているところです。
では、「自分良し、相手良し、世間良し」という三方良しの哲学をクリニック経営に落とし込んでいきましょう。
⚪︎自分良し
「自分良し」を考える前に、『商売』という言葉について考えていきましょう。
『商売』という言葉を辞書で調べると、「売り買いの営業」という意味です。
さらに深掘りすると、
『モノやサービスを提供することで対価を得る行為』になります。
保険診療のクリニックは『医療サービスを提供し、3割患者さんから、7割は国の保険制度からそれぞれ対価を得ること』になります。
そのため、「自分良し」とは、今まで培ってきた医療知識や臨床経験を活かすことにあたります。
ここで考えていただきたいことは、過去のご自身の振り返りを行うことです。
具体的なことについては、『
クリニック開業準備の『はじめの一歩』をご一読ください。
⚪︎相手良し
「相手良し」は、『患者さん』に該当するかと存じます。
では、患者さんが医療機関に求めることは多岐にわたりますが、大きく2つに分けて『治療の質』と『心のケア』になるかと存じます。
【治療の質】
・治療方針の明確な説明と納得いく説明
・待ち時間の短縮
・安全で良質な医療
・セカンドオピニオンを求める権利
【心のケア】
・クリニックスタッフの丁寧で親切な対応
・不安や悩みを理解し、寄り添う気持ち
・患者さん目線のコミュニケーション
・傾聴
・プライバシーへの配慮
・清潔で快適な環境
「自分良し」で検討した医療サービスを、どのように「相手=患者さん」に提供することを考えていきましょう。
⚪︎世間良し
「世間良し」は、『地域』に該当するかと存じます。
開業準備の始めると、まず気になることが「開業を検討している場所に『競合』医療機関があるか。」に目がいきがちですが、医療機関が相互に関係し合うことにより、地域医療貢献できる『共創』医療機関を調べることを推奨いたします。
私の経験談でお話しいたしますと、呼吸器内科の開業・経営支援を行なった際に、近隣の小児科クリニックに挨拶回りを提案し、中学生の喘息疾患の患者の紹介をお願いをしました。
⚪︎「三方良し」になっていれば、経営が長く続いていくことができる
ここまで経営哲学「三方良し」について述べました。
「三方良し」で自分、相手、社会、みんなが「良かった」と思えるというのは、自院の利益が上がる、関係する相手にとっても良いことがある、社会にも必要されている、というクリニック経営が継続される要素を満たしています。
また、患者さんの考えや社会の制度など、常に変化します。
「三方良し」の経営哲学を土台にして、常日頃情報をキャッチして、クリニック経営の方向性を柔軟に考えることが必要になってきます。
⚪︎現状を整理整頓して、着実に前に進む方法を提案します
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