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クリニック開業・経営コラム

糖尿病内科経営シリーズ 第4回|糖尿病外来を「一人で抱えない」ためのチーム設計

このシリーズでは、糖尿病内科の外来を「治療の工夫」ではなく、外来が回り続ける“構造”として整理していきます。
第4回は、前回までに言語化した「揺れにくい外来」という状態を、誰が・どう支えているのかという問いに焦点を当てます。

揺れにくい外来は、自然には続かない

前回の記事では、再診率や通院継続を「目標とすべき数字」ではなく、外来構造の結果として現れるものとして整理しました。

1日の外来数の振れ幅が小さくなることは、経営の安定だけでなく、院長自身の働き方の安定にもつながります。
この点については、多くの先生がすでに実感として理解されているのではないでしょうか。

ただ一方で、その「揺れにくい状態」を誰が、どのように支えているのかを立ち止まって考える機会は、意外と多くありません。
揺れにくい外来は、院長一人の頑張りだけで自然に維持されるものではないからです。

もし今の外来を、「一人で支え続けている」としたら——。
その外来は、どこで無理が出るでしょうか。
そして、その無理は、いつ・どんな形で表に出るでしょうか。

糖尿病外来は、そもそも“一人で完結しない構造”を持っている

糖尿病外来には、いくつもの要素が同時に存在しています。

  • 治療方針を判断する
  • 患者さんに説明し、納得してもらう
  • 生活背景を踏まえた継続支援を行う
  • 通院を続けてもらうための関わりを重ねる

これらは本来、一人の医師が連続してすべてを担う前提で設計されたものではありません。
それでも現実には、これらの役割が院長一人に集中しやすい。

それは院長の性格や努力不足の問題ではなく、糖尿病外来そのものが持つ構造によるものです。

「一人で抱えない」とは、人を増やすことではない

多職種連携やチーム医療という言葉は、ときに「人を増やす」「体制を大きくする」話として受け取られがちです。
しかし、外来が回り続けるかどうかを左右するのは、人数そのものではありません。

重要なのは、たとえば次のような滞留が起きていないか、という構造の話です。

  • 情報がどこに集まっているか
  • 判断がどこで止まっているか
  • 患者対応の負荷がどこに滞留しているか

同じ人数、同じ職種構成でも、外来が安定するクリニックと、院長が消耗し続けるクリニックが生まれるのは、こうした構造の違いによるものです。

院長が持ち続ける判断と、そうでなくてよい関わり

すべてを任せるか、すべてを自分で抱えるか。現実はその二択ではありません。
院長にしかできない判断がある一方で、常に院長が関わらなくても成立する関わりも、確実に存在します。

ここで大切なのは、「任せる・任せない」を決め切ることではなく、

  • 何が判断で
  • 何が関わりで
  • 何が確認なのか

を、一度立ち止まって整理してみることです。境界線を厳密に引く必要はありません。
ただ、その境界線が意識されているかどうかで、外来の負荷は大きく変わってきます。

その判断は、毎回その場で行う必要がある判断でしょうか。
それとも、あらかじめ共有されていれば支えられる判断でしょうか。

うまく回っている外来ほど、「言語化されていない支え」がある

外来が比較的安定しているクリニックほど、実は多くの支えが「無意識のまま」存在しています。

  • いつの間にか説明を補ってくれている人
  • 患者さんの変化に先に気づいている人
  • 院長の判断を支える材料を集めている人

これらが言語化されないまま続いていると、外来が揺れたときに「どこが支えになっているのか」が見えなくなります。

逆に言えば、「今の外来は、誰が何を支えているのか?」という問いを持つだけでも、外来の見え方は変わってきます。

チーム設計とは、「役割を決めること」ではない

チームをつくる、役割を分担する、というと、明確な線引きを想像されるかもしれません。
しかし実際には、役割は固定されたものではなく、外来の状態によって揺れ動くものです。

重要なのは、揺れたときに、どこが支えになるのか
そして、外来が揺れた瞬間に、判断も説明も継続支援も、すべてが院長一人に戻ってしまう構造になっていないか。
その点を定期的に見直せる視点を持つことです。

次回(第5回)予告:構造を支える「仕組み側」をどう設計するか

ここまでで整理してきたのは、「揺れにくい外来」をつくること自体よりも、その状態を“どう支えているか”という見えにくい構造でした。

そして多くの場合、外来が不安定になるときは「誰が何をしていないか」ではなく、情報・判断・説明・継続支援が、どこか一箇所に滞留することで起こります。

すると次に浮かぶ問いは、「誰に任せるか」よりもむしろ、

  • 情報が集まりすぎないようにするには、どんな“流れ”が必要か
  • 判断が院長一人に戻らないために、どんな“仕組み”が支えになるか
  • 継続支援が属人化せずに続く状態を、どう設計するか

次回(第5回)では、この「仕組み側」の視点として、DXやツールの話を“導入する/しない”ではなく、
外来のどこを支えるために使うのかという観点で整理していきます。
(答えは一つではなく、外来の状態によって優先順位が変わるはずです。)
糖尿病内科経営シリーズ第5回|糖尿病外来を支える「仕組み」は、どこで外来を受け止めているか

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