糖尿病内科経営シリーズ第1回|糖尿病内科は「治療」だけでは続けにくい理由
更新日:2026年5月2日
糖尿病内科は、専門性が高く、やりがいのある診療科です。
一方で、開業後しばらくすると、次のような声を耳にすることがあります。
- 外来が常に詰まっている
- 初診も再診も重く、1人あたりの診療時間が読めない
- 患者数は増えているのに、なぜか余裕がない
- 「きちんと診ているはずなのに」疲弊していく
これらは、先生の診療姿勢や努力が足りないから起きているわけではありません。
多くの場合、問題は診療の「設計」にあります。
糖尿病診療の本質は「継続」にある
糖尿病は、短期間で完結する医療ではありません。
- 定期的な通院
- 数値を見ながらの調整
- 生活習慣への継続的な関わり
- 患者さんの高齢化や他疾患併存を見据えた長期的支援
糖尿病内科の診療は、最初から長距離走です。
この前提を置かずに開業すると、
- 初診を丁寧にやりすぎる
- 説明や指導をすべて院長が担う
- 再診の位置づけが曖昧なまま患者数だけが増える
結果として良い診療をしているのに院長が消耗する状態になりやすくなります。
患者さんが「意識しづらい」ことを前提にする
糖尿病診療が難しい理由のひとつは、患者さん自身が「今、困っていない」と感じやすい点にあります。
- 痛みがない
- 日常生活に大きな支障が出にくい
- 数値の意味が実感として掴みにくい
さらに、糖尿病の陰でCKD、睡眠時無呼吸症候群、フレイル、ポリファーマシーなどが進行していても、患者さん自身が気づきにくいことがあります。
だからこそ糖尿病内科では、意識に期待する設計ではなく、意識しなくても続く外来設計が重要になります。
診療報酬改定の議論でも、かかりつけ医機能、多職種連携、オンライン診療や遠隔モニタリングを含む医療DXの活用などが繰り返し示されています。糖尿病内科は、もともとその中心にある診療領域です。
また2026年度改定では、糖尿病患者に対する眼科・歯科との連携評価も新設されました。院内だけで完結しない支援をどう日常業務に組み込むかは、これからの重要な設計課題になります。
経営は「外来の構造」を整えるところから始まります
糖尿病内科の経営では、まず外来の構造を整理することが出発点になります。
- 外来がどう流れているか
- どこで時間が詰まっているか
- 誰がどこまで何を担っているか
- その構造は数年後も続けられるか
生活習慣病管理料の療養計画書の患者署名不要化も、単なる書類の変更ではなく、説明と記録の流れを整理する機会になります。
また、外来データ提出加算から充実管理加算への再編が示すように、制度は「体制」だけでなく「結果」を見る方向へ進んでいます。無理なく検査が行われ、無理なくフォローが続く構造づくりが重要になります。
外来がどこで詰まりやすいのかを整理するだけでも、設計の見え方は大きく変わります。
糖尿病外来が回らなくなる構造の整理はこちら で詳しく解説しています。
「ちゃんと診る」と「続けられる」は別問題
理想通りに診療を行うことと、外来として続けられることは必ずしも一致しません。
- 理想通りにやると外来が回らない
- 割り切ると納得できない
- 線引きが難しい
ベースアップ評価料などを背景にスタッフの役割整理も求められています。院長がすべてを担う前提ではなく、多職種が活躍できる外来設計が重要になります。
糖尿病内科こそ「設計」で差がつく
- 再診率が高い
- 患者数が安定しやすい
- 地域に根づきやすい
ただしそれは設計が整っていてこそ成り立ちます。
- 初診と再診の役割整理
- 院内スタッフの専門性活用
- 薬局との残薬対応
- 眼科・歯科連携
- 院長が全部を担わない前提
診療の質を落とすのではなく、診療を続けるために構造を整える。それが糖尿病内科経営の出発点になります。
このシリーズで扱うこと
- 外来が回らなくなる理由
- 再診設計と経営の関係
- チーム医療の現実的な考え方
- 2026年診療報酬改定との向き合い方
- 地域の中での役割整理
制度に振り回されるのではなく、患者の生活を支える医療として糖尿病外来をどう設計するか。その前提を整理していきます。
まずは、糖尿病外来がなぜ「頑張るほど詰まっていく構造」になりやすいのかを整理するところから始めます。
第2回|糖尿病外来が回らなくなる3つの理由と整理ポイント では、外来が詰まる構造を診療と経営の両面から具体的に整理しています。
糖尿病外来の設計を、
一度立ち止まって整理したい先生へ
糖尿病内科の経営では、患者数、再診間隔、生活指導、検査、スタッフの役割、地域連携など、複数の論点が同時に重なります。
一つひとつは大きな問題に見えなくても、積み重なることで、院長の判断が重くなっていくことがあります。
まえやまだ純商店では、制度や経営判断について、正解を提示するのではなく、論点と優先順位を整理する支援を行っています。
実務を代行するのではなく、先生ご自身が納得して判断できるように、考える前提を一緒に整えていく時間です。
判断が重くなり始めた段階で相談されることが多くあります。
相談内容が整理できていない段階でも問題ありません。
むしろ、何から考えるべきかを整理するところから始まることが多くあります。
臨床と同じように、経営判断も「症状が出てから」ではなく、「違和感の段階」で整理することに意味があります。
外来が少し重くなってきた、役割分担が曖昧になってきた、制度改定を自院にどう引き寄せればよいか迷っている。
そのような段階で、一度考えを外に出して整理することができます。
※売り込みや即決を前提としたものではありません。
※相談内容がまとまっていない段階でも、ご利用いただけます。