クリニック開業や経営の迷いを整理し、 自分なりの「納得解」で進むために。 ――医師の考えに伴走する対話型支援。

クリニック開業・経営コラム

糖尿病内科経営シリーズ第1回|糖尿病内科は「治療」よりも「設計」で差がつく

糖尿病内科は、専門性が高く、やりがいのある診療科です。
一方で、開業後しばらくすると、次のような声を耳にすることがあります。

  • 外来が常に詰まっている
  • 初診も再診も重く、1人あたりの診療時間が読めない
  • 患者数は増えているのに、なぜか余裕がない
  • 「きちんと診ているはずなのに」疲弊していく

これらは、先生の診療姿勢や努力が足りないから起きているわけではありません。
多くの場合、問題は診療の「設計」にあります。

糖尿病診療の本質は「継続」にある

糖尿病は、短期間で完結する医療ではありません。

  • 定期的な通院
  • 数値を見ながらの調整
  • 生活習慣への継続的な関わり

糖尿病内科の診療は、最初から長距離走です。

この前提を置かずに開業すると、

  • 初診を丁寧にやりすぎる
  • 説明や指導をすべて院長が担う
  • 再診の位置づけが曖昧なまま患者数だけが増える

といった構造になりやすく、結果として「良い診療をしているのに、院長が消耗する」状態に陥ります。

患者さんが「意識しづらい」ことを前提にする

糖尿病診療が難しい理由のひとつは、患者さん自身が「今、困っていない」と感じやすい点にあります。

多くの患者さんにとって、糖尿病は

  • 痛みがない
  • 日常生活に大きな支障が出にくい
  • 数値の意味が実感として掴みにくい

病気です。

そのため、

  • 通院の優先度が下がる
  • 生活指導が「わかっているけど…」で止まる
  • 再診が途切れやすい

といったことが起こりやすくなります。

これは、患者さんの姿勢の問題ではありません。
病気の特性上、そうなりやすいのです。

だからこそ糖尿病内科では、
「患者さんの意識に期待する設計」ではなく、意識しなくても続く外来設計が重要になります。

ここ数年、診療報酬改定や制度議論の中で、かかりつけ医機能多職種連携医療DX/ICT連携といった方向性が繰り返し示されています。
糖尿病内科は、これらを「新しく取り組む領域」ではなく、もともとその中心にある診療領域です。
だからこそ、制度に合わせて無理に何かを足すのではなく、日々の外来がどう設計されているかを整えること自体が、これからの評価や連携につながっていきます。

経営の話=お金の話、ではありません

「経営」と聞くと、売上や点数といった話を思い浮かべるかもしれません。
しかし、ここで扱いたい経営は、もう少し手前の話です。

  • 外来がどう流れているか
  • どこで時間が詰まっているか
  • 誰が、どこまで、何を担っているか
  • その構造は、数年後も続けられるか

こうした診療の裏側にある構造を整理すること。
それが、糖尿病内科における経営の核心だと考えています。

「ちゃんと診る」と「続けられる」は別問題

多くの先生は、すでに分かっています。

  • 糖尿病は継続が大事
  • 生活指導が重要
  • チーム医療が必要

それでも悩みが消えないのは、分かっていることと、現場で回ることの間にズレがあるからです。

  • 理想通りにやると外来が回らない
  • 割り切ると、診療として納得できない
  • どこで線を引くべきか決めきれない

この“間”を整理しないまま進むと、糖尿病内科は、気づかないうちに院長の負担が積み上がっていきます。

糖尿病内科こそ「設計」で差がつく

糖尿病内科は、

  • 再診率が高く
  • 患者数が比較的安定しやすく
  • 地域に根づきやすい

本来、持続しやすい診療科です。

ただしそれは、

  • 初診と再診の役割が整理され
  • 説明や指導の担い手が明確で
  • 院長が「全部をやらない」前提で組み立てられている

という設計があってこそ成り立ちます。

診療の質を落とすのではなく、診療を続けるために構造を整える。
それが、糖尿病内科経営の出発点です。

このシリーズで扱うこと

この「糖尿病内科経営シリーズ」では、

  • 外来が回らなくなる理由
  • 再診設計と経営の関係
  • チーム医療の現実的な考え方
  • 2026年診療報酬改定との向き合い方

などを、制度や理想論だけでなく、現場の視点で整理していきます。

正解を提示するつもりはありません。
ただ、

  • どこで悩みやすいのか
  • 何を決めずに進むと苦しくなるのか

そこを一緒に言語化していきます。

次回予告

第2回|糖尿病外来が回らなくなる3つの理由と整理ポイント

なぜ糖尿病内科の外来は、「頑張るほど忙しくなる」のか。
次回は、外来が詰まる構造を経営と診療の両面から整理します。

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