2026年診療報酬改定は「やったところが取れる」時代へ──外来データ提出加算をどう捉えるか
久しぶりに「しっかり上がった」と感じる改定かもしれません。
ただ、開業して数年が経ち、
- 外来が以前より回りにくくなっている
- スタッフの確保や定着に悩んでいる
- 改定のたびに「結局、何をすればいいのか分からない」と感じる
この数字をそのまま安心材料として受け取るのは、少し危ういとも感じています。
「3.09%」の裏にある、もう一つのメッセージ
今回示された改定率の内訳を見ると、中心にあるのは賃上げ対応、物価対応、そして政策的な評価です。
一方で、「適正化」という名のマイナス調整も同時に含まれています。
この構造から読み取れるのは、診療報酬が、もはや一律に配られる仕組みではなくなりつつあるという現実です。
今回の改定は「配る改定」ではあるものの、“条件付きで配分する改定”と捉えた方が、現場の実感に近いように思います。
「やったところが取れる」とは、どういう意味か
ここで言う「やったところ」とは、努力や気合の話ではありません。
問われているのは、クリニックの構造や設計です。
- 賃上げにどう向き合っているか
- DX(資格確認、電子処方箋など)をどう位置づけているか
- 日々の診療を、後から説明できる形で残せているか
こうした「構造」を評価しようとする流れは、
実はすでに、具体的な制度として形になり始めています。
その象徴的な制度の一つが、外来データ提出加算だと感じています。
外来データ提出加算は「50点の話」ではない
外来データ提出加算は、外来診療に関するデータを継続的に提出できる体制を整えた医療機関に対して、月1回50点が加算される仕組みです。
数字だけを見ると「50点なら無理にやらなくてもいい」と感じる院長も少なくないと思います。
ただ、この制度の本質は、50点を足すことそのものではありません。
国が本当に見たいのは「外来の中身」
これまで外来医療は、
- どんな患者を
- どんな理由で
- どのくらいの頻度・内容で診ているのか
といった点が、十分に可視化されてきたとは言えませんでした。
これからは、
「自院では、こういう患者さんを、こういう考え方で診ている」
と、後から説明できる外来であるかどうかが、より重視されていく流れだと感じています。
外来データ提出加算は、その入口として置かれている制度だと考えています。
無理に取る必要はない。ただ、無視もしにくい
外来データ提出加算は、すべてのクリニックが必ず算定すべき制度ではありません。
外来患者数、スタッフ体制、電子カルテや事務の整備状況、そして院長自身の関わり方によって、向き・不向きははっきり分かれます。
ただし一方で、将来、評価の「前提条件」に近づいていく可能性がある制度であることも、否定できません。
最初は「加算」だったものが、数年後には「要件」や「当たり前」に組み込まれてきた例は少なくありません。
今、整理しておきたいのは「算定」より「外来の構造」
この段階で大切なのは、「取るか・取らないか」を今すぐ決めることではありません。
それよりも、次のような自院の外来の構造を見直すことです。
- 生活習慣病外来は、どの程度標準化できているか
- 診療内容や判断が、特定の人に依存していないか
- 記録や入力が、将来も無理なく続けられる形になっているか
外来データ提出加算は、その構造を点検するための「問い」として捉えると、見え方が少し変わるかもしれません。
なお、令和7年度の補正予算を見ていくと、病院と診療所で、支援の出方に明確な差がついている点も見逃せません。
改定率は「プラス」と報じられていても、診療所の実収入が自動的に増えるとは限らない。
むしろ、要件を満たした医療機関だけが評価される方向が、少しずつ強まっているように感じます。
この点については、補正予算と2026改定の構図を整理した別の記事で、もう少し踏み込んでまとめています。
これから開業を考えている先生へ(参考視点として)
これから開業を考えている先生にとっては、
「将来、こうした制度が前提になる可能性がある」という先読みの視点で読んでいただければ十分です。
今すぐ対応する必要はありませんが、開業後の外来設計を考えるヒントにはなるはずです。
まとめ
- 2026年改定は「条件付きで配る」改定
- 外来データ提出加算は、点数よりも「構造」を問う制度
- 今は算定よりも、「自院の外来をどう説明できるか」を整理する段階
もし「自院の場合、どう考えればいいのか」「外来の整理をどこから手を付ければいいのか」迷われている場合は、
その整理から一緒に考えることもできます。
参考資料
- 厚生労働省:第634回 中央社会保険医療協議会(資料) リンク
- 厚生労働省:第635回 中央社会保険医療協議会(資料) リンク
- ミクスOnline:【速報・第2弾】26年度診療報酬改定 本体プラス3.09%(内訳) リンク
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ここまで読んで、もしこんな感覚が残っていたら
- 外来データ提出加算の方向性は理解できたが、自院で「どこまで整えるべきか」迷っている
- 「今すぐ決めなくていいこと」と「先に整理すべき論点」を分けたい
- 外来の構造(人・時間・記録)を、一度、言葉にして整理してみたい
そう感じた方に向けて、結論や正解を急ぐ場ではなく、状況と論点を整理する時間として、
「初回整理セッション」という形で対話の場を用意しています。
※売り込みや即決を前提にしません。判断の手前で、何を考えるべきかを一緒に整えるための場です。
正解を急がず、
ご自身の「納得解」で進むための整理の時間
開業準備や日々の経営のなかで、
「考えているはずなのに、なぜか前に進めない」
そんな感覚を抱えることは珍しくありません。
初回整理セッションは、答えを出す場ではなく、
いま頭の中にある論点や引っかかりを、一度言葉にして整えるための時間です。
🗂 初回整理セッション
料金:5,000円(税別)
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その後14日間、Chatworkまたはメールで整理を進めます。
例えば、こんな状態でご利用いただいています。
- 開業や経営について、何から整理すればいいのか分からなくなっている
- 制度や環境の変化を前に、自分なりの判断軸を一度立ち止まって整えたい
- 決断の前に、考えを言葉にして確認する時間がほしい
※この時点で何かを決める必要はありません。
売り込みや契約を前提とした場ではありません。
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