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クリニック開業・経営コラム

心療内科・精神科経営シリーズ 第6回|患者層と業務から考えるスタッフの役割と定着


心療内科クリニックの現場では、患者さん一人ひとりの背景が異なり、対応の仕方ひとつが診療体験を大きく左右します。医師だけでなく、スタッフの対応が、安心して通える環境づくりに直結します。本記事では、患者層や業務特性から求められるスタッフの役割を整理し、その上で定着について考えていきます。




1. 患者層から見たスタッフ対応


心療内科を訪れる患者さんは多様であり、対応の柔軟さが求められます。



  • 不安が強い患者さん:受付での声かけや丁寧な説明が安心感につながる。

  • 時間に敏感な患者さん:待ち時間の見える化や柔軟な案内が必要。

  • ご家族と来院されるケース:患者さん本人だけでなく、家族への説明姿勢も大切。

  • 初診患者さん:スムーズな案内や気持ちを受け止める姿勢が信頼構築につながる。




2. 業務特性から見たスタッフ対応


日常業務の中で、心療内科クリニックならではの特徴があります。



  • 予約・会計業務:電話・窓口・Webなど複数チャネルを扱うため、正確さと柔軟さが必要。

  • 問診補助:心理士や医師が診療に集中できるよう、基本情報を整理して渡す役割。

  • 診療サポート:診断書や証明書など書類業務が多く、効率的な段取り力が求められる。

  • クレーム・問い合わせ対応:説明不足と受け取られることもあるため、傾聴と共感の姿勢が不可欠。




3. 定着につながる工夫



  • 役割の意義を理解できること:「自分の対応が患者さんの安心につながっている」と実感できることがモチベーションになる。

  • 業務が属人化しないこと:分担やマニュアル化を進め、特定の人に負担が集中しないようにする。

  • 安心して相談できる環境:心療内科だからこそ、スタッフ自身が心を守れる職場づくりが欠かせない。




4. 経営への結びつき


スタッフの対応力が高まれば、患者さんの満足度も安定し、再診や紹介につながります。また、同じスタッフが定着することで「顔なじみ」の安心感が生まれ、クリニック自体への信頼が積み重なります。人材をコストではなく「患者体験を支える資産」として捉えることが、経営の安定に直結します。




まとめ


心療内科クリニックにおけるスタッフは、単なる事務や補助ではなく「患者体験を支える存在」です。患者層や業務特性から求められる対応を整理し、そのうえで働きやすい環境を整えることが、採用・定着の基盤になります。


次回は「医療DXと診療方針」をテーマに、効率化と患者さんの安心感をどう両立するかを整理します。



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