正解を急がず、納得して続けるために。 クリニック開業・経営の判断の前提を、静かに整える時間。

クリニック開業・経営コラム

糖尿病内科経営シリーズ 第9回(最終回)|糖尿病内科として、地域でどう在るか── 判断を急がないための構え

糖尿病内科の外来を続けていると、ある時点から「どうすればもっと良くなるか」よりも、「このまま続けていけるのか」という問いのほうが、ふと頭をよぎるようになります。

このシリーズでは、そうした揺れを、個人の努力や覚悟の問題として片づけるのではなく、外来を支える構造の問題として整理してきました。

ここまで整理してきたこと

第1回から第6回では、糖尿病外来が不安定になっていく背景を、「忙しさ」や「人手不足」といった表面的な言葉ではなく、判断や役割が集中しやすい構造として捉え直してきました。

第7回では、役割分担とは単なる業務配分ではなく、判断をどこで受け止めるかを決めることだと整理しました。第8回では、その判断を院内だけで抱えず、連携や紹介を「外来を閉じないための境界設計」として考えました。

ここまでの話は、外来を効率化するためのノウハウでも、理想的な経営モデルの提示でもありません。
判断をひとりで抱え込まない状態を、どうつくるかを、順番に確認してきた時間でした。

院内を整えても、地域の話が浮かび上がってくる理由

院内の構造を見直し、判断の置き場を整理していくと、ある違和感が残ることがあります。

「ここまでは院内で整理できた。
では、この先はどうするのか」

それは、連携や紹介が増えたからでも、制度が変わりそうだからでもありません。院内で抱え込まなくなった分、自然と“地域”が視野に入ってくるからです。

この段階で初めて、「糖尿病内科として、地域でどう在るのか」という問いが、現実の重さを持って立ち上がってきます。

地域での役割は、肩書きでは決まらない

人口動態の変化や、医療に対する価値観の移り変わりを考えると、糖尿病内科に求められる役割も、少しずつ形を変えつつあるように感じます。

その中で、「自院は、これからどこまでを担い続けるのか」と考えたことのある院長先生も多いのではないでしょうか。

ただ、この問いは、どこかに用意された正解を探しても、すぐに答えが出るものではありません。

糖尿病内科としての地域での役割は、「何ができるか」だけで決まるものではなく、「どこまでを引き受け続けられるか」という判断の積み重ねで形づくられていきます。

すべてを引き受けないことは、無責任でも、逃げでもありません。境界を引くからこそ、地域の中に役割が残ることもあります。

「続けられる糖尿病外来」とは、誰にとってか

「続けられる糖尿病外来」という言葉は、一見、前向きで分かりやすい表現です。

けれど、それが誰にとっての“続けられる”なのかは、立場によって異なります。

  • 患者さんにとっての通いやすさ
  • スタッフにとっての無理のなさ
  • 院長にとっての、判断し続けられる状態

どれか一つだけを優先すると、別のどこかに無理が生じます。

だからこそ、「続けられる」を一つに定義しないこと自体が、糖尿病外来を長く続けるための前提なのかもしれません。

環境が変わっても、問いは院長の中に残る

人口構造は、確実に変わっていきます。それに伴って、医療に期待される役割や、「よい医療」の捉え方も、少しずつ移ろっていきます。

ただ、その変化のたびに、方針を急いで決め直す必要があるわけではありません。

最終的に残るのは、

  • 何を守りたいのか
  • どこまで担い続けたいのか
  • どこから先は、地域に委ねたいのか

という、院長自身の中にある問いです。
この問いに、すぐ答えが出なくても構いません。問いを問いのまま置いておける余白こそが、判断を続ける力になります。

終章|ここまで、一緒に整理してきたこと

ここまで、このシリーズを通して、糖尿病外来をめぐる揺れを整理してきました。

それは「正しいやり方」を見つけるためではなく、判断を急がされない状態を取り戻すためだったように思います。

地域でどう在るか。糖尿病内科として何を担い、何を担わないのか。

このシリーズをここまで読み進めてこられたこと自体が、すでにひとつの「判断」だったのかもしれません。

すぐに結論を出さなくていい。無理に方針を固めなくていい。

ただ、急いで決めなくていい場所に立てているかどうか。その確認ができたなら、この最終回の役割は、十分果たせていると思います。

糖尿病外来は、院長ひとりの覚悟だけで支え続けるものではありません。
だからこそ、これからも考え続けられる余白を残しておくこと。
それが、続けられる糖尿病外来につながる「構え」なのだと思います。

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