クリニック開業・経営の伴走支援|まえやまだ純商店

クリニック開業・経営コラム

なぜ今の診療報酬制度は経営視点を求めるのか(クリニック経営の基本視点シリーズ第2回)


本記事は「クリニック経営の基本視点」シリーズの一つです。
医学部や研修では学ぶ機会の少なかった「経営の考え方」を、制度や現場の視点から整理しています。




制度が求める「体制整備」の具体例


外来データ加算


患者データを収集し、整理・報告する仕組みを整えて初めて算定できます。診療の質に加え、情報をどのように管理しているかが評価されるようになっています。


ベースアップ評価料


給与を上げるだけでは算定できず、就業規則や給与規程の見直しといった労務管理の整備が必要です。診療報酬と人件費の関係を、経営者としてどう判断するかが問われます。


かかりつけ医機能加算


院内掲示・24時間対応体制・地域医療機関との連携など、地域で安心できる医療を提供するための体制整備が要件となっています。


医療DX加算


マイナ保険証や電子カルテ連携などICTの導入に加えて、スタッフへの教育や運用ルールづくりも求められます。




経営を意識しているかどうかで変わる現場の傾向


制度が複雑化するなかで、院長先生が「経営も意識して取り組むかどうか」によって、クリニックの姿に少しずつ違いが生まれてきます。これは努力不足という話ではなく、あくまで「傾向」として現れやすい点です。



  • 経営を意識しているクリニックの傾向
    制度改定を早めに把握し、必要な体制を整えることができている/スタッフ教育や情報共有が進み、院内の雰囲気が安定している/予約やWeb発信が整理され、患者さんの口コミや紹介につながりやすい

  • 経営をあまり意識していないクリニックで見られる傾向
    制度対応が後手に回り、加算を算定しにくい場面がある/採用や教育に追われやすく、日常業務が忙しく感じやすい/導線や情報提供が十分に整わず、新患数が伸び悩むことがある


こうした違いは、院長先生の診療スキルや努力の差ではなく、経営に意識を向けられるかどうかで自然と生まれる差です。




当社の視点


当社「まえやまだ純商店」は、判断は先生ご自身、私たちは整理と実行の伴走役という立場を大切にしています。
複雑な制度を整理し、「まず何から手をつけるか」を一緒に考えることで、院長先生が診療に集中できる環境を整えます。孤立しがちな院長先生にとって、経営を共に考える壁打ち相手であることこそが私たちの役割です。




まとめ


診療報酬制度は、単に診療を行えば収入につながる時代から、体制整備やマネジメントを前提とする時代へと変化しました。
そして、経営を意識できるかどうかが、クリニックの安定や成長に少しずつ影響するようになっています。だからこそ、院長先生には「経営者」としての視点が欠かせないのです。



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