クリニック開業時の内覧会 ― 成功のポイントと考え方

クリニックを新規開業する際、多くの先生が検討されるのが「内覧会」です。
ホームページやチラシで情報発信ができる時代に、なぜ内覧会を行う必要があるのでしょうか。
本記事では、筆者が内覧会の企画・運営に携わった経験をもとに、成功のポイントを整理します。
内覧会を行う目的
情報発信だけでは伝わらない「安心感」
院内の雰囲気や先生・スタッフの人柄は、ホームページだけでは伝わりません。
内覧会は短い時間でも「ここなら安心できる」と感じていただける場です。
地域住民に「顔を知ってもらう」
医療機関は「人」で選ばれることが多いです。
第一印象や短い会話が、地域住民の安心につながります。
スタッフへの配慮
- 役割を明確にする(入口案内・説明・健康チェック補助など)
- 前日や当日のリハーサルで流れを確認する
- 想定質問(診療開始日・予約方法など)を共有する
- 「完璧でなくてよい」と伝え、笑顔を重視する
- 終了後に労いの言葉をかける
地域住民への配慮
- 専門用語を避け、話しかけやすい雰囲気をつくる
- 混雑時は短い会話で十分
- 子どもや高齢者への小さな気配りを大切にする
- 最後に「また来てください」と一言添える
「お祭り型」と「医療型」
屋台や無料配布で集客する「お祭り型」は一過性で終わりやすいのに対し、
医療機器体験やミニセミナーを取り入れる「医療型」は継続的な信頼につながります。
地域医療構想を踏まえた関係者への配慮
住民だけでなく、地域の医療・介護関係者へのお声がけも有効です。
訪問看護や薬局との連携を早期に築けるチャンスになります。
粗品は必要か?
必須ではありません。配る場合は医療や健康に関連する実用的なもの(マスクケース・救急セットなど)に絞り、
「お祭り感」より「医療機関らしさ」を重視しましょう。
アンケートは必要か?
必須ではありませんが、任意で3問程度に絞ると効果的です。
「内覧会を何で知ったか」「期待すること」などを把握することで、今後の経営や広報に役立ちます。
完璧を求めすぎない
内覧会は診療開始前の第一歩にすぎません。多少の不手際があっても、地域住民が重視するのは「先生の人柄」や「スタッフの温かさ」です。イベントの完成度ではなく、安心感を持ち帰っていただけることが最も重要です。
開業直前は、院長先生をはじめスタッフ全体に「糸がピーン」と張り詰めたような独特の緊張感が漂うものです。そうした時こそ、なぜ開業を決意したのかという原点を思い返し、来場者が貴重な時間を割いて訪れてくださったことに感謝し、安心していただける対応を意識することが大切です。
まとめ
内覧会は単なるお披露目ではなく、
・地域住民に安心を与える
・スタッフを一つにする
・地域の医療・介護連携の起点になる
ための大切な機会です。
完璧さより「安心感」と「人柄」が伝わることを大切にしましょう。
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