感染症減少と物価高の二重苦――いま、慢性疾患の取り込みが必要な理由

2025年、感染症が少なかった夏と、物価高による受診控え
今年の夏は、例年と比べてインフルエンザや新型コロナなどの感染症患者が少なく、内科クリニックの外来数が減少したという声を耳にすることがありました。さらに追い打ちをかけるように、物価高の影響から「軽症なら受診を控える」という行動が患者さんの間で目立ち始めています。
日用品や食費が値上がりする中で、「医療費を節約したい」という心理は理解できます。しかし結果として、感染症患者に依存した経営構造が揺らぎ、クリニック収益にとっては大きな打撃となっています。
感染症依存のリスクと慢性疾患の重要性
感染症の流行は季節や社会状況に左右されやすく、安定収益を見込むことは難しいのが現実です。だからこそ、季節変動の少ない「慢性疾患患者さん」の取り込みが欠かせません。
- 高血圧
- 糖尿病
- 脂質異常症
といった生活習慣病の患者さんは、定期的な診療と投薬が必要であり、クリニック経営の安定につながります。同時に、地域住民の健康寿命を守ることにも直結します。
血圧管理が必要な理由
高血圧は「沈黙の病気」と呼ばれます。自覚症状がないまま進行し、気づいた時には重大な合併症を起こしていることも少なくありません。
- 脳卒中(半身麻痺・言語障害などの後遺症)
- 心筋梗塞・狭心症
- 慢性腎臓病(透析につながることも)
研究では、血圧を10mmHg下げるだけで、脳卒中のリスクは約40%、心疾患のリスクは約20%低下すると示されています。つまり「血圧を管理すること」が、そのまま「医療費の高額化を防ぐこと」につながります。
具体的な施策チェックリスト
費用をかけずにできること
- ワクチン接種時に血圧測定を実施 → 必要なら受診につなげる
- 健診結果の持参を呼びかけ(院内掲示・HPで発信)
- GoogleマップのMEO対策(診療内容・写真更新、口コミ対応)
- ブログ・HP記事の強化(「糖尿病 内科 ○○市」などのSEO)
- 通院間隔が空いた患者に電話やSMSでリコール
広告費をかけて取り組むこと
- Googleリスティング広告(地域+疾患名でターゲティング)
- SNS広告(40〜60代向けに生活習慣病を訴求)
- 薬局や地域イベントでの啓発活動
- 院内リーフレットやモニター動画で「生活習慣病の受診」を訴求
まとめ
感染症減少と物価高による受診控え、この二重の打撃に直面する今だからこそ、慢性疾患の患者さんの取り込みが必要です。血圧測定をきっかけに、患者さんに「今の節約が将来の医療費増大につながる」ことを伝え、受診を後押ししていくことが重要です。
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