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クリニックのコスト削減はどこから?|経費の見直し方と判断ポイント

クリニックのコスト削減はどこから?|経費の見直し方と判断ポイント

クリニックのコスト削減を考えるときは、まず人件費、家賃、医療材料費、システム費、リース料、保守費、外注費などの支出を一覧にし、「何のための費用か」「実際に使っているか」「なくしたら何が変わるか」を確認するところから始めます。

金額の大きいものから削る、安い業者へ替える、というだけでは、スタッフの作業時間や院長の負担が増えたり、患者対応や医療安全へ影響したりすることがあります。

最初に考えたいのは、必要な支出と見直せる支出を分けることです。

金額だけでなく、支出の目的、利用状況、重複、現在の診療体制との関係、変更した場合の影響まで見ると、どこから手を付けるか考えやすくなります。

まず経費の全体像を確認する

コスト削減を考える前に、毎月・毎年どのような支出があるかを一覧にすると、見直す対象を把握しやすくなります。

  • 人件費、家賃、リース料、保守費
  • 医療材料費、医薬品費、消耗品費
  • 電子カルテ、予約、問診、決済などのシステム費
  • 清掃、廃棄物、検査、給与計算、広告などの外注費
  • 光熱費、設備費、通信費

単月だけでなく、前年同月や直近数か月の推移、売上に占める割合、患者数や診療日数との関係も見ます。

確認項目 見る内容
金額 月額・年額、前年からの増減
性質 固定費か変動費か、一時費用か継続費用か
診療量との関係 患者数、検査件数、診療日数との関係
契約条件 更新時期、解約条件、違約金

患者数や検査件数が増えた結果として材料費が増えているのであれば、費用が増えたという理由だけで削減対象とは言えません。

金額だけでなく「目的」と「利用状況」を見る

同じ月額費用でも、毎日使い、院内業務を減らしているサービスと、ほとんど使っていないサービスでは意味が違います。

項目 確認すること
目的 何のために契約・購入しているか
利用状況 誰が、どの程度使っているか
重複 別のサービスや院内運用と機能が重なっていないか
現在との適合 今の患者数、診療内容、人員体制に合っているか
代替方法 今ある設備・システム・人員で同じ目的を満たせないか
変更時の影響 患者、スタッフ、院長の業務に何が増えるか

以前は必要だった支出でも、診療内容やスタッフ構成が変われば必要性も変わります。契約を続けている理由を説明しにくいものは、利用状況を確認する候補になります。

増加原因を単価・数量・契約・運用に分ける

「材料費が増えた」「人件費が増えた」という科目名だけでは、見直し方は決まりません。

原因 考えられる見直し
単価 材料、外注、保守の値上がり 購入先、契約条件、同等品
数量 使用量、患者数、廃棄量の増加 使用量、発注量、安全在庫
契約 オプションや契約数の増加 利用状況、重複、プラン
運用 残業、二重入力、手戻り 業務手順、役割、確認方法

単価が上がった場合と、使用量が増えた場合では対応が異なります。患者数や診療内容の変化による必要な増加なのか、廃棄や重複による増加なのかも分けて考えます。

必要な支出と、見直せる支出を分ける

経費は「残す」「削る」の二択ではありません。

考え方 状態
そのまま残す 目的が明確で、実際に使われ、必要な役割を果たしている
使い方を見直す 必要だが、利用数、発注量、在庫量などが実態と合っていない
契約・方法を見直す 目的は必要だが、別のプランや方法でも実現できる
終了も検討する 使っていない、重複している、目的が不明、必要性が下がった

医療安全、感染対策、必要な人員体制などは守る必要があります。ただし、その目的を守ることと、現在の購入先や契約、手順をそのまま続けることは同じではありません。

「必要な機能」と「現在その機能を実現している方法」を分けると、削減以外の選択肢も見えやすくなります。

費目別に経費の見直し方を考える

医療材料・医薬品・在庫

購入単価だけでなく、使用量、廃棄、期限切れ、発注頻度、安全在庫を見ます。在庫を減らしすぎると欠品や緊急発注が増えるため、納品までの期間や診療への影響も判断材料になります。

人件費・残業

人件費は、人数や勤務時間だけで考えないことが重要です。誰がどの業務を担っているか、時間帯ごとの業務量、残業の原因、院長や特定スタッフへの負担集中、採用・教育・離職まで含めて見ます。

ベースアップ評価料を算定している場合は、賃金改善によって増えている部分と、評価料による収入も分けて考える必要があります。制度上の報告については、2026年のベースアップ評価料の実績報告・中間報告で整理しています。

役割の曖昧さや院長への確認集中が残業につながっている場合は、院長とスタッフの役割分担も判断材料になります。

雇用契約、賃金、労働時間、勤務条件などの変更が必要な場合は、社会保険労務士などの専門家への確認が必要です。

IT・システム・リース

利用頻度、重複機能、未使用オプション、アカウント数、保守・更新費、導入後も残っている二重入力などを見ます。月額料金を下げても、受付や集計の作業が増えれば、別の人件費として負担が残る場合があります。

新たなシステムへの入れ替えや追加導入を考える場合は、クリニックの医療DXは何から始める?で扱う初期費用や運用負担も比較材料になります。

外注・委託費

清掃、廃棄物処理、検査、給与計算、保守、広告、ホームページなどは、価格だけでなく、外注によって減らせている院内作業や管理負担も含めて考えます。院内で対応できる業務でも、内製化によってスタッフの作業時間や教育負担が増えるなら、外注を続ける方が適している場合もあります。

光熱費・設備費

単価だけでなく、診療時間、空調を使う範囲、機器の稼働状況、設備の老朽化なども影響します。省エネ設備への更新は、初期費用、保守費、想定される年間削減額、回収までの期間を比べます。

「安くする」以外の方法も比較する

  • 現在の契約をそのまま使う
  • 利用数や発注量を調整する
  • プランや契約条件を変える
  • 不要なオプションを外す
  • 今あるシステムや設備の機能を使う
  • 業務手順や役割分担を変える
  • 内製と外注の範囲を変える
  • 設備更新を延期する
  • 必要な支出として残す

比較するときは、支払額だけでなく、スタッフの作業時間、院長の管理負担、患者対応、医療安全、解約や再導入にかかる費用や手間まで含めます。

経営が厳しい原因がコストだけかも確認する

利益が残らないとき、経費の見直しは重要ですが、原因がコストだけとは限りません。

患者数、診療日数、診療内容、診療単価、人員体制、一時的な設備投資などが変わっていれば、経費だけを削減しても問題が解消しない場合があります。

費用の増加だけでは経営状況を説明できない場合は、コスト削減だけで解決しようとせず、何が収支へ影響しているのかを分けて見る必要があります。

どこから見直すか優先順位をつける

すべての経費を一度に変える必要はありません。例えば、次のような支出は確認する候補になりやすいものです。

  • ほとんど使っていない契約やアカウント
  • 機能が重複しているサービス
  • 現在の診療体制に合わないプラン
  • 期限切れや廃棄が繰り返されている物品
  • 更新時期が近い契約
  • 契約を続けている目的を説明しにくい支出

一方、人員削減、医療材料の変更、医療機器の保守契約の解除、基幹システムの入れ替えなどは、金額が大きくても影響範囲が広いため、慎重な判断が必要です。

着手する順番は、削減額だけでなく、患者・スタッフへの影響、契約条件、変更のしやすさ、元に戻せるかによって変わります。

変更後は「減った金額」だけで判断しない

変更可能な範囲では、対象や期間を限定して試す方法もあります。ただし、契約期間や解約条件、医療安全、労務上の条件を事前に確認することが前提です。

見る領域 主な確認事項
費用 削減額、移行費用、追加作業の人件費
スタッフ 作業時間、残業、手戻り、負担の偏り
院長 確認や管理業務が戻っていないか
患者 待ち時間、説明、利便性への影響
医療安全 ミス、確認漏れ、機器トラブル

月額費用が下がっても、スタッフの作業時間や院長の負担が増えれば、クリニック全体の負担は減っていない可能性があります。

まとめ|必要な支出と見直せる支出を分ける

  1. 現在の経費と契約を一覧にする
  2. 支出の目的と利用状況を確認する
  3. 増加原因を単価・数量・契約・運用に分ける
  4. 必要な支出と見直せる支出を分ける
  5. 今あるものや別の方法で代替できないか考える
  6. 変更した場合の患者・スタッフ・院長への影響を見る
  7. 影響を確認しながら優先順位を決める

費用や運用の見直しだけでは負担を減らせず、診療やサービスの提供範囲そのものを変える場合は、診療や業務を継続・縮小・休止・終了するときの考え方も判断材料になります。

どこから見直すか判断しにくいときに

経費や契約を確認してみても、「どこから見直すべきか優先順位をつけにくい」「削減すると院内業務へどのような影響が出るか分からない」「人件費、システム、外注費など複数の問題が関係している」といったことがあります。

無料相談では、現在の状況やこれまでの経緯を伺い、まず何を確認するのがよいか、コスト削減を優先するべき状況なのかも含めて一緒に整理します。

まえやまだ純商店 前山田純

この記事を書いた人

前山田 純まえやまだ純商店

2011年から医療機関の開業・経営支援に従事。院長が一人では整理しきれない経営課題について、現状や論点、選択肢を整理し、自院として判断しやすい状態づくりを支援しています。

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