クリニック開業や経営の迷いを整理し、 自分なりの「納得解」で進むために。 ――医師の考えに伴走する対話型支援。

クリニック開業・経営コラム

クリニック広告戦略シリーズ第3回|供給と需要をつなぎ、“伝え方と媒体”を設計する

広告は「思いつきの手法」ではなく、供給と需要を結びつける橋です。
自院が何を提供し、地域が何を求めているのか──その交わる点を見つけた先に、方法(どう伝えるか)媒体(どこで伝えるか)があります。

供給と需要の“交点”が広告の出発点

広告の目的は、自院の存在を必要としている人に届くことです。
そのためにはまず「何を提供できるのか(供給)」と「地域が何を求めているのか(需要)」を重ね合わせ、その交わる部分を見極める必要があります。そこが広告メッセージのになります。

この工程を飛ばしてしまうと、「SNSを始めたが効果が出ない」「チラシを配ったが反応が薄い」といった状況に陥りがちです。
核が定まっていなければ、どんな媒体も本来の力を発揮できません。

方法を考える:どう伝えるか

供給と需要の交点を見つけたら、それを言葉・切り口・表現に変換します。患者さんが理解しやすく、共感しやすいかどうかが鍵です。

  • 言葉: 専門用語を患者さんの言葉に置き換える。
    (例:生活習慣病の包括管理合併症を防ぐ長期フォロー
  • 切り口: 相手の生活文脈に沿わせる。
    (例:仕事帰りに通える/子どもと一緒に行ける)
  • 表現: 写真や事例で「通院する自分」を想像できるようにする。

たとえば、
供給「生活習慣病の長期管理」 × 需要「高齢者が多い地域」 → 安心して長く通える診療体制 というメッセージに落とし込む。
このように交点を言葉にする力が、広告の成果を左右します。

媒体を選ぶ:どこで伝えるか

メッセージが定まったら、次は最も届きやすい場所を選びます。媒体は「全部やる」ではなく、目的に応じて絞り込むことがポイントです。

  • ホームページ: 検索で探す人に向けて、信頼感のある情報を体系的に。
  • SNS: 日常的な接点を作り、雰囲気や価値観を伝える。
  • チラシ・ポスター: 生活動線上で接点を増やす。地図・診療時間・予約方法を簡潔に。
  • 院内掲示・リーフレット: 来院者への再周知や家族への共有に有効。
  • 動画(院内・Web): 検査や予約の流れを視覚的に伝え、不安を軽減。

どの媒体を選ぶかは、相手がどこでその情報に出会うのかから逆算して考えると、無理なく効果的です。

原点 → 方法 → 媒体 の順で考える

  1. 原点(供給 × 需要):自院のサービスと地域ニーズの重なりを特定する。
  2. 方法(どう伝えるか):患者さんの言葉で伝わる表現に変換する。
  3. 媒体(どこで伝えるか):最も届く接点を選び、継続的に発信・更新する。

この順番を守ることで、広告は「場当たり的な施策の寄せ集め」ではなく、筋の通った経営戦略になります。

まとめ

広告戦略の出発点は、手法選びではありません。
まずは供給(自院が提供する価値)と需要(地域が求めること)を整理し、その重なりを患者さんの言葉で表現すること。
そして、それを最も届きやすい媒体で発信する。
このシンプルな流れが、持続的に成果を生む広告戦略の基本形です。

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