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クリニック開業・経営コラム

クリニックの口コミが気になるときに|予約から帰宅後まで、患者体験を6つの場面で見直す

更新日:2026年8月11日

「丁寧に診ているつもりなのに、口コミの評価が気になる」 「診療には問題がないと思うのに、低い評価がつく」――。

こうしたとき、診察内容だけを振り返っても、 理由が見つからないことがあります。

なぜなら、 患者さんが受け取る体験は、診察室だけで決まるわけではない からです。

医療機関を探すところから始まり、 予約、来院、受付、待合、診察、会計、帰宅後まで、 患者さんは複数の場面でクリニックと接しています。

この記事では、口コミの点数を上げる方法ではなく、 患者さんがどこで困ったり、迷ったり、負担を感じたりしているのか を確認するために、患者体験を6つの場面に分けて整理します。

口コミだけを見て、すぐに対策を決めない

口コミの評価が気になると、 「もっと口コミを増やした方がよいのか」 「高い評価を集める方法はないか」 と考えたくなることがあります。

しかし、口コミはクリニック経営そのものの評価ではありません。 一つの投稿だけで、診療や運営全体を判断することもできません。

一方で、患者さんが実際にどこで困ったのか、 何に不安を感じたのかを知る材料になる場合があります。

口コミを「増やす対象」として見るのではなく、 患者さんとの接点に、繰り返し起きているつまずきがないかを確認する材料の一つ として捉えます。

例えば、 「待ち時間が長い」 「予約方法が分からなかった」 「受付でどうすればよいか分からなかった」 といった内容が繰り返し出ているなら、 投稿への対応だけではなく、実際の運用を確認する余地があります。

患者体験は診察室の外にも続いている

クリニック側から見ると、 診療の中心は当然ながら診察や検査、治療です。

しかし患者さんから見ると、 受診体験はもっと前から始まっています。

医療機関を探し、 ホームページやGoogle検索・Mapsなどで情報を確認し、 予約を取り、実際に来院する。 受付を済ませ、待合で待ち、診察を受け、会計をして帰宅する。

その途中で一つでも分かりにくいことがあると、 診察そのものとは別のところで負担や不安が生じることがあります。

逆に、院内で丁寧な診療を行っていても、 受診前の情報が分かりにくければ、 そもそも必要な患者さんに選択肢として認識されないこともあります。

受診前に「誰に・何を・どの接点で伝えるか」を整理する考え方については、 クリニックの情報発信を整理する|地域のニーズと自院ができることをどう伝えるか で整理しています。

予約から帰宅後まで、6つの場面で見直す

患者体験を確認するときは、 「接遇を良くする」といった大きなテーマだけで考えるより、 患者さんが通る場面ごとに分けた方が具体的に整理できます。

1.予約前

  • 自分の症状を相談できるか分かるか
  • 診療時間や休診日が分かるか
  • 予約が必要か分かるか
  • 予約方法が分かりやすいか
  • 初診時に必要なものが分かるか

2.来院・アクセス

  • 場所が分かりやすいか
  • 建物や入口を見つけやすいか
  • 駐車場や駐輪場が分かるか
  • 院内に入ってから迷わないか

3.受付

  • 来院後に何をすればよいか分かるか
  • 必要な書類や手続きが分かるか
  • 初診患者への案内にばらつきがないか
  • 患者さんが質問しやすい状態か

4.待合

  • どの程度待つのか分かるか
  • 呼ばれる流れが分かるか
  • 待ち時間が長い場合に案内があるか
  • 患者さんが「忘れられている」と感じないか

5.診察

  • 説明が患者さんに理解できる内容か
  • 質問する時間があるか
  • 検査や治療の理由が分かるか
  • 次に何をすればよいか分かるか

6.会計・帰宅後

  • 会計までの流れが分かるか
  • 次回受診や予約方法が分かるか
  • 薬・検査・生活上の注意点を確認できるか
  • 帰宅後に疑問が出た場合の確認方法が分かるか

すべての項目を完璧にする必要はありません。

大切なのは、 患者さんがどの場面で迷いやすいのか、同じつまずきが繰り返されていないか を確認することです。

口コミは「答え」ではなく、確認材料の一つ

口コミには、その人が実際に感じたことが書かれる一方、 投稿された状況や背景をクリニック側では十分に確認できない場合もあります。

そのため、一つの口コミを見て、 すぐに院内の仕組みを変更する必要はありません。

まずは、ほかにも同じような出来事が起きていないかを確認します。

例えば、次の情報と合わせて確認します。

  • 患者さんから受付や電話で寄せられる質問
  • 予約時につまずきやすい箇所
  • 院内で繰り返し説明している内容
  • スタッフから出ている困りごと
  • 待ち時間や受付対応についての傾向
  • ホームページや案内内容と実際の運用の違い

例えば「予約方法が分かりにくい」という口コミがあり、 実際に電話でも同じ質問が多く、 スタッフも毎日説明しているのであれば、 予約案内そのものを見直す意味があります。

口コミの内容だけではなく、 実際の院内運用と照らし合わせることで、 見直すべき課題なのかを判断しやすくなります。

すべてを一度に変えず、一つずつ見直す

患者体験を6つの場面に分けると、 改善したい点が数多く見つかることがあります。

しかし、予約方法、受付、待ち時間、説明、会計まで、 一度にすべて変えようとすると、 院長やスタッフの負担が大きくなります。

すべてを一度に変えるのではなく、 繰り返し不満やつまずきが出ている接点から一つずつ見直します。

優先順位を決めるときには、 次のような視点があります。

  • 同じ不満や質問が繰り返し起きているか
  • 患者さんの受診そのものを妨げていないか
  • スタッフにも継続的な負担がかかっていないか
  • 医療安全や説明不足につながる可能性がないか
  • 大きな費用をかけずに試せる改善があるか

例えば、予約について同じ問い合わせが多いのであれば、 まずホームページの案内文を変えてみる。

待ち時間への不満が多いのであれば、 いきなりシステムを導入するのではなく、 混雑時の声かけや案内方法から見直すこともできます。

小さく変更し、 患者さんとスタッフ双方の反応を確認しながら、 次の改善につなげます。

患者体験を整える目的を見失わない

患者体験を見直す目的は、 口コミで高い評価を得ることだけではありません。

患者さんが必要な情報を得られ、 迷わず受診でき、 診療内容を理解し、 必要な治療や通院を続けやすい状態をつくることが中心です。

その結果として、 再診、家族や知人への紹介、口コミなどに表れることはあります。 ただし、それらを直接の目的にして患者対応を考える必要はありません。

患者体験を見直すときの流れ

  1. 口コミや患者さんの声から気になる点を拾う
  2. 予約前から帰宅後まで、どの接点の問題かを確認する
  3. 院内の実際の運用と照らし合わせる
  4. 繰り返し起きている課題かを確認する
  5. 優先度の高い接点から一つずつ見直す
  6. 変更後の患者さん・スタッフ双方の反応を見る

口コミそのものを操作しようとするのではなく、 患者さんが実際に困っている接点を見つけ、院内の運用を少しずつ整えていく

その積み重ねが、 患者さんにとって利用しやすく、 スタッフにとっても無理の少ないクリニック運営につながります。

患者さんの声が気になっても、「どこから見直すか」が決めにくいときに

口コミ、待ち時間、予約、受付対応、ホームページ、 院内の業務フローなど、 患者体験の課題は複数の要素が重なっていることがあります。

まえやまだ純商店では、 現在の状況や必要な情報を確認し、 選択肢や優先順位を整理しながら、 自院として次に何を見直すかを一緒に検討しています。

必要に応じて、確認事項、チェックリスト、 業務の整理、クリニックホームページ文章などの叩き台作成にも対応します。

相談内容を最初からきれいに整理していただく必要はありません。 現在気になっていることや、これまでの経緯から確認します。

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前山田純

この記事を書いた人

前山田 純 まえやまだ純商店

2011年から医療機関の開業・経営支援に従事。院長が一人では整理しきれない経営課題について、現状や論点、選択肢を整理し、自院として判断しやすい状態づくりを支援しています。正解をお伝えするのではなく、自院として納得して判断できる状態づくりを大切にしています。

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