正解を急がず、納得して続けるために。 クリニック開業・経営の判断の前提を、静かに整える時間。

クリニック開業・経営コラム

開業を考え始めた医師へ―「何をするか」を決める前に、立ち止まって考えてほしいこと

※本記事は、開業を検討し始めた先生に向けて、「準備の前に整えておくと判断が進みやすい視点」をまとめたものです。

「そろそろ開業を考えたほうがいいのだろうか」――そんな思いが頭をよぎり始めると、多くの先生がまず情報収集を始めます。 物件、融資、内装、医療機器、広告。インターネットやセミナーには、たくさんの“正解らしきもの”が並んでいます。

けれど実際には、情報を集めれば集めるほど、決めきれなくなるという声を私は何度も聞いてきました。 それは先生の判断力や準備不足の問題ではありません。むしろ、とても自然な反応だと感じています。

なぜ、決めきれなくなるのか

開業準備は多くの場合、「何を導入するか」「どう進めるか」「どの業者に相談するか」といった外側の選択肢から始まります。 一方で、次のような問いを考える時間は、ほとんど用意されていません。

  • 自分は、どんな経験を積んできた医師なのか
  • どんな場面で、自然と力を発揮してきたのか
  • どんな患者さんと向き合うときに、やりがいを感じてきたのか

この自分自身に関する整理がないまま選択肢だけが増えると、判断の基準を外に求めざるを得なくなります。 結果として、「最近はこれが主流らしい」「近くのクリニックもやっている」「業者さんが勧めてくれたから」といった理由で、少しずつ決断していくことになります。

それは能力の問題ではなく「構造」の問題

勤務医として働いてきた先生ほど、この視点を持ちづらい環境にあります。 なぜなら、次のような構造の中で長年働いてきたからです。

  • 診療の満足度と報酬が、直接結びつく機会が少ない
  • 医学教育や専門医制度は「標準化」を重視する
  • 自分の個性や経験を、価値として扱う訓練を受けていない

つまり、「自分の経験や得意を軸に、将来を設計する」という発想ができないのは能力の問題ではありません。 単に、これまで必要とされてこなかった視点なだけなのです。

自分軸が整理されないまま進むと、起きやすいこと

自分なりの判断軸が言語化されないまま開業準備を進めると、次のような状態になりやすくなります。

  • 不安を埋めるために、設備やスペックを積み上げてしまう
  • 比較対象が「他院」だけになる
  • 本当は迷っているのに、立ち止まれなくなる

その結果、「きちんと整っているけれど、どこかしっくりこないクリニック」になってしまうことがあります。 そして開業後に、「何がやりたかったのか、途中で分からなくなりました」という言葉が出てくることも少なくありません。

コンサルタントとして、最初にお伝えしていること

開業を検討されている先生とお話しする際、私はいきなり「お金の話」や「流行る・流行らない」といった話から始めることは、ほとんどありません。 もちろん、収支の見通しや現実的な条件整理は大切です。ただ、それらは後からでも十分に考えられます

それよりも最初にお聞きしたいのは、次のようなことです。

  • これまで、どんな経験を積んできたのか
  • 医師として働く中で、「やってきてよかった」と感じたこと
  • 印象に残っている患者さんや出来事

不思議に思われるかもしれませんが、この話から始めたほうが、結果的に話はとてもスムーズに進みます。 先生ご自身が築いてきた経験の中にこそ、判断の軸・強みの種・大切にしてきた医療の価値観が、すでに含まれているからです。

本当に最初にやるべきことは「自分の整理」

開業準備の最初に必要なのは、物件探しでも、融資のシミュレーションでもありません。自分自身の整理です。

  • どんな経験を重ねてきたのか
  • どんな場面で感謝されたのか
  • どんな診療をしているときに、自然と熱が入るのか

これらを言葉にしていくことで、「自分は、誰に・何を届けたいのか」という輪郭が見えてきます。 この輪郭ができてはじめて、「何にお金をかけるべきか」「何をあえてやらないか」「どんな選択は自分には合わないか」を、落ち着いて判断できるようになります。

正解を急がない、という選択

開業は人生の中でも大きな節目です。だからこそ、「早く決める」よりも「納得して決める」ことのほうが大切だと私は感じています。 正解を出す前に、一度立ち止まって、頭の中を整える。この時間は遠回りに見えて、その後の経営や働き方を静かに支えてくれます。

まとめ|決める前に、整える

開業を考え始めたとき、世の中には「次に何をすべきか」を教えてくれる情報が溢れています。 一方で、「自分はどうありたいのか」を一緒に考えてくれる存在は、決して多くありません。

もし今、「何から決めればいいのか分からない」「不安だけが先に立っている」「正解を急がされている気がする」――そんな感覚があるなら、 それは立ち止まってよいサインかもしれません。
決める前に、整える。その時間が、これからの選択を支えてくれます。

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