開業相談で最初に整理したいこと|立地や資金計画の前に考えたいこと
クリニック開業の相談では、最初に「開業は成り立つのか」「どの場所で開業すればよいのか」「お金は借りられるのか」「今の収入を超えられるのか」といったご質問をいただくことがあります。
また、開業支援会社の事前アンケートでも、こうした質問はよく見かけます。もちろん、どれも大切なテーマです。
ただ、これまで開業支援や経営支援に携わってきた経験から感じているのは、立地や資金計画の前に、まず整理しておきたいことがあるということです。
それは、先生がこれまでどのような経験を積み、どのような医療を大切にし、地域の中でどのような役割を担いたいのか、ということです。
1.開業相談で最初に整理したいのは、物件や資金だけではない
開業を考え始めると、どうしても物件、診療圏、資金計画、医療機器、採用など、具体的な準備に意識が向きやすくなります。
もちろん、それらは避けて通れない重要なテーマです。開業後に継続していくためには、現実的な収支や運営体制を考える必要があります。
一方で、最初から「どこで開業すればよいか」「いくら借りられるか」「どのくらい売上が見込めるか」だけを考えてしまうと、肝心の判断基準が曖昧なまま進んでしまうことがあります。
開業準備で大切なのは、先に答えを急ぐことではなく、判断の前提を整えることです。
先生がどのような経験を積み、どのような患者さんの力になりたいのか。どのような診療を大切にし、どのような働き方を望んでいるのか。
その輪郭が見えてくると、立地、診療科目の打ち出し方、診療時間、スタッフ体制、設備投資、広告の方向性も考えやすくなります。
2.開業前に一緒に整理したいこと
開業準備では、立地や資金計画の前に整理しておきたいことがあります。
例えば、次のような内容です。
- これまでどのような経験を積んできたか
- どのような患者さんの力になりたいか
- どのような医療を大切にしたいか
- 開業後にどのような働き方をしたいか
こうした内容は、初対面の相手にはなかなか話しづらいものかもしれません。
一方で、開業すると、先生の医療を選んでいただく相手は地域の患者さんになります。
そのため、ご自身の経験や考えを、患者さんや地域の方にも伝わる言葉に整理していくことが大切です。
開業準備では、物件や資金計画だけでなく、「私はどのような医療を提供したいのか」「どのような患者さんの力になりたいのか」を言葉にしていく作業も重要だと考えています。
開業前に整理しておきたい問い
- なぜ、開業したいと思ったのか
- どのような患者さんに選ばれたいのか
- これまでの経験のうち、開業後も活かしたいものは何か
- 無理に広げたくない診療や業務は何か
- 先生自身が続けられる働き方はどのような形か
3.その経験を、患者さんにどう伝えるか
先生の経験や専門性は、ただ持っているだけでは患者さんに伝わりません。
患者さんは、医療機関を選ぶときに、専門的な診療内容を細かく比較しているとは限りません。むしろ、「自分の症状を相談してよいのか」「この先生はどのような患者を診ているのか」「通い続けやすいのか」といった視点で見ていることも多いです。
そのため、開業準備では、先生の経験を患者さんに伝わる言葉へ置き換えることが大切です。
- どのような症状や悩みに対応するのか
- 初診では何を確認するのか
- どのような検査や治療を行うのか
- 継続通院では何を大切にするのか
- 必要に応じて、どのような医療機関と連携するのか
こうした内容は、ホームページ、院内掲示、予約導線、問診、スタッフ説明などにも関わってきます。
つまり、開業準備は「内装や設備を整えること」だけではありません。先生の医療を、患者さんに伝わる形へ整える作業でもあります。
4.地域医療の中で、どのような役割を担うのか
これからのクリニック経営では、「自院だけで完結する医療」だけを考えるのではなく、地域医療の中でどのような役割を担うのかを考えることが重要になります。
診療報酬改定でも、外来機能、かかりつけ機能、医療DX、在宅医療、病診連携、多職種連携など、地域の中での役割や連携を意識した見直しが続いています。
そのため、開業準備の段階から、次のような視点を持っておくことが大切です。
- 自院で診る患者さんはどの範囲か
- どの症状・疾患は専門医療機関へつなぐのか
- 近隣病院、薬局、介護事業所とどのように連携するのか
- 健診、予防、慢性疾患管理をどう位置づけるのか
- 地域の患者さんに、どのような安心を提供するののか
「どこで開業するか」だけでなく、「その地域で何を担うのか」を考えることが、開業後の方向性を支えます。
立地選定も、単に人口や競合数を見るだけでは不十分です。地域の年齢構成、生活動線、既存医療機関の役割、患者さんの受診行動を踏まえながら、自院が担う役割を考える必要があります。
5.その医療を、事業としてどう成り立たせるか
大切にしたい医療が見えてきたら、次に考えるのは、それを事業としてどう成り立たせるかです。
理念や想いだけでは、クリニックは続きません。一方で、収益だけを優先してしまうと、先生が本来やりたかった医療から離れてしまうこともあります。
だからこそ、開業準備では、先生の考えと現実的な事業設計をつなげる必要があります。
- 想定する患者層と診療単価
- 初診・再診・検査・健診のバランス
- 必要なスタッフ数と人件費
- 医療機器や内装への投資額
- 借入額と返済計画
- 広告、ホームページ、予約導線の設計
- 診療報酬改定や制度対応への備え
ここで重要なのは、「借りられるか」だけでなく、「返しながら続けられるか」です。
また、「今の収入を超えられるか」だけでなく、「どのような働き方で、どの程度の収入を目指すのか」も整理する必要があります。
開業は、医療と経営の両方を考える取り組みです。先生の経験や想いを起点にしながら、患者さんに届き、地域の中で役割を持ち、事業として続く形に整えていくことが大切です。
6.初回整理セッションで行うこと
まえやまだ純商店の初回整理セッションでは、すぐに答えを出すことよりも、まず現在の考えや迷いを整理することを大切にしています。
例えば、次のような内容を一緒に確認します。
- 開業を考え始めた背景
- これまでの診療経験
- 大切にしたい患者さんや診療スタイル
- 開業予定地や候補エリアに対する考え
- 資金面、収入面で不安に感じていること
- 地域医療の中で担いたい役割
- 今後、優先して整理すべき論点
相談の場では、先生の代わりに結論を決めるのではなく、判断しやすくするための前提を整えていきます。
「まだ具体的に決まっていない」「何から話せばよいかわからない」という段階でも問題ありません。むしろ、その状態を言葉にすることから、開業準備は前に進みます。
7.まとめ|開業準備は、先生の考えを言葉にするところから始まる
開業準備では、物件、資金、診療圏、採用、設備など、決めることがたくさんあります。
しかし、それらを判断する前に、先生がどのような医療を大切にし、どのような患者さんの力になりたいのかを整理することが重要です。
- これまでの経験をどう活かすのか
- 患者さんに何を伝えるのか
- 地域医療の中でどのような役割を担うのか
- その医療を事業としてどう続けるのか
これらを一つずつ言葉にしていくことで、立地や資金計画、広告、採用、診療体制の判断もしやすくなります。
開業準備は、正解を探すことだけではありません。先生自身の考えを整理し、患者さんと地域に届く形へ整えていくことでもあります。
開業準備で、考えを一度整理したい先生へ
開業準備では、物件、資金計画、診療圏、業者選定など、決めることが多くあります。
「何から考えればよいか」「このまま進めてよいか」と迷う場合は、現在の状況を一度確認することもできます。
状況確認面談(無料)について
開業準備では、物件、資金計画、診療圏、採用など、同時に考えることが多くあります。現在の状況や迷っていることをお聞きしながら、まず何から整理するべきかを一緒に確認します。
▶ 状況確認面談(無料)について詳細を確認する他の相談テーマを見たい場合は、相談事例もご確認ください。
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