本記事は「開業準備」カテゴリです。立地を“場所の良し悪し”ではなく、 提供する医療サービス × 地域ニーズの一致から考える整理法をまとめました。
1. そもそも「いい立地」とは何か?
「駅前が正解?住宅地が正解?」——立地は絶対解がないテーマです。共通する指標は、家賃や人通りだけではありません。 まず問いを言い換えましょう。「自院のサービスが“誰に”価値を出すのか」です。
2. 立地判断=“サービス”と“地域ニーズ”の適合度
事業は「サービス」と「地域ニーズ」の一致で成立します。
例えば、
- 小児科:子育て世帯比率、保育園・小学校分布、日中の人口動態
 - 内科:高齢化率、生活習慣病有病率、公共交通の便・駐車環境
 - 美容皮膚科:就業女性比率、商業集積、夜間人口と可処分所得の目安
 
つまり、“地域にある人々の困りごと”に、自院の強みが噛み合うかを見ます。場所の人気度よりも、適合度です。
3. 3ステップで整理:サービス定義 → ニーズ仮説 → 立地候補
ステップ1|サービスを明確化する(提供価値の言語化)
- 診療領域と強み(例:生活習慣病マネジメント、アレルギー、小児感染症 など)
 - 来院前後の体験(予約・Web問診・待ち時間・支払い)で差別化するポイント
 - “誰の何を良くするのか”を一文で言う(例:「共働き家庭の通院負担を半減する内科」)
 
ステップ2|地域ニーズを仮説立てする(簡易診療圏)
- 人口構成(0–14歳、15–64歳、65歳以上の構成比)
 - 競合の分布と特徴(診療科・診療時間・予約導線・口コミ傾向)
 - アクセス特性(駅距離・駐車台数・生活動線:スーパー/学校/職場)
 
ステップ3|立地候補を比較する(手触りの検証)
- 平日夕方/土曜午前などピーク帯に回遊観察(親子連れ・高齢者・働く層の比率)
 - 実動線でのテスト(駅から歩く・車で入る・駐車→入店→退店の流れ)
 - “自院の体験”が溶け込むかの仮設オペ(看板視認・導線掲示・予約導線の案内)
 
判断の軸(簡易スコア例): ①対象人口の厚み/②競合との分化度/③アクセス実感/④家賃と損益分岐の整合
4. よくある落とし穴と回避策
- 家賃先行:家賃が安い=勝てるではない。損益分岐×対象人口×分化度の三点で見る。
 - “駅前信仰”:駅前でも対象人口が薄いとミスマッチ。来院手段(徒歩・自転車・車)を実態で。
 - 競合過小評価:診療時間・予約体験・スタッフ体制も“競合力”。点ではなく体験全体で比較。
 
5. まとめ:場所ではなく「適合度」で決める
立地選びは“人気の場所探し”ではありません。サービスの定義 → 地域ニーズの仮説 → 現地検証の順で、 自院の価値が最も伝わる地点を選ぶ——これが成果につながる近道です。
頭の中の“もやもや”を整理し、次の一歩を見つけたいときに
日々の診療や業務のなかで、「言葉にしづらい違和感」を抱える院長先生は少なくありません。
初回整理セッションでは、経営の前提となる“考え”を丁寧に言語化し、納得感のある方向性を一緒に見つけていきます。
即答よりも、「腑に落ちる」時間を大切にしています。まずは話すことから、整理がはじまります。
▶ 「即答より、納得を。」──まえやまだ純商店の考え方はこちら