2030年を見据えて|院長向け・療養担当規則チェックリスト ― 持続可能なクリニック経営の原点
「療養担当規則」という言葉を聞くと、どこか“お堅い決まり”のように感じるかもしれません。けれど、この規則は日々の診療を支えるだけでなく、地域から信頼される医療を続けるための原点でもあります。
患者への説明、処方の取り扱い、院内掲示や情報発信――いずれも療養担当規則に根ざした行為であり、その積み重ねが“続く経営”につながります。
本稿では、院長がすぐ運用に落とせるチェックリストとあわせて、2030年に向けた視点で見直すポイントを整理します。
1.なぜ「原点」なのか
療養担当規則は、診療の方法、患者対応、処方、広告など、クリニック運営の基本を定めています。これを軽視すると、返還請求や行政処分、地域からの信頼低下といった重大なリスクに直結します。一方、規則を理解して運用できれば、診療に集中できる安定した土台を整えられます。
2.院長が押さえる3つの実務ポイント
① 患者への説明と同意
診療方針・検査・費用などを丁寧に説明し、記録として残すことが求められます。口頭だけでなく、書面・院内掲示・説明ツールを活用して、スタッフ間の共通認識も保ちましょう。
② 処方の適正化
漫然とした長期処方や、自院への誘導にあたる行為は避けるべきです。診療科・疾患別の処方日数基準を院内で明文化し、処方箋交付ルールを月次で点検します。
③ 表現と広告の管理
ウェブサイト・SNS・院内掲示の表現も、最終責任は院長にあります。医療広告ガイドラインを踏まえ、第三者チェックを取り入れ、定期的に見直す体制を整えると安心です。
3.軽視した場合のリスク(経営視点)
- 返還請求:不適切請求は数百万円規模になることも
- 行政処分:最悪の場合は保険医療機関指定の取消し
- 信用失墜:地域の信頼低下は受診行動に直結
これは“罰”というより、信頼を失うことによる経営リスクです。日々の小さなルール運用が、結果として医療の継続性を守ります。
4.月次チェックリスト(2030年を見据えた運用)
- 院内掲示は最新ルール(料金表示・時間外対応など)に適合しているか
- 処方日数・処方箋交付のフローに抜けがないか
- 患者説明の内容が記録として保存され、スタッフ間で共有できているか
- HP・SNS・掲示の文言に誤認・誘引表現がないか(第三者チェック)
- 規則・ガイドラインの更新点を月次ミーティングで共有しているか
5.三方よしの経営と療養担当規則
「患者のため」「制度のため」「医師自身のため」――この三方のバランスを保つことが、療養担当規則の精神です。規則の遵守=地域との信頼構築であり、ルールを守ることは経営を守ることと同義です。
6.まとめ ― 2026年改定、その先の2030年へ
医療制度の変化が続くこれからの時代、重要なのは変化を受け止めつつ原点を忘れないこと。療養担当規則は、単なる行政ルールではなく、信頼される医療を続けるための最小かつ最重要の仕組みです。まずは来月の院内会議で、上のチェックリストから1項目だけでも見直してみませんか。
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