医療事務スタッフの採用が難しくなる中で、院内の業務は静かに積み上がっていきます。

特にレセプト点検・総括・提出といった請求業務は、「誰かが必ず責任を持たなければならない業務」であるがゆえに、特定のスタッフへの集中や属人化が起こりやすい領域です。

今回は、支援先のクリニックでレセプト点検代行サービスを部分的に活用することになった事例をもとに、「院内で抱え続けるかどうか」をどのように整理したのかをご紹介します。

1. ご相談内容は「レセプト点検をどうするか」でした

支援先のあるクリニックでは、レセプト点検をはじめとした請求業務が、特定のスタッフに集中している状況がありました。

月末・月初になると、点検、総括、提出に関する業務が重なり、通常業務と並行しながら対応する負担が大きくなっていました。

院長先生としても、返戻や査定への不安だけでなく、「この体制のまま続けていけるのか」という課題感を持たれていました。

そこで、すぐに代行サービスを入れるかどうかを決めるのではなく、まずは院内で何が起きているのかを整理するところから始めました。

2. 最初に行ったのは、担当者の対応時間の可視化でした

最初に行ったのは、担当者のレセプト業務の対応時間を可視化することでした。

レセプト点検、総括、提出までにどの程度の時間を要しているのかを整理し、業務負荷がどこに集中しているのかを確認しました。

確認した主な内容

  • レセプト点検に要している時間
  • 総括・提出までにかかる時間
  • 月末・月初に業務が集中する時間帯
  • 主に担当しているスタッフ
  • 確認作業や判断が特定の人に集中していないか
  • その担当者が不在になった場合、請求業務がどうなるか

レセプト業務は、外から見ると「請求作業」の一言でまとめられがちです。

しかし実際には、点検、確認、修正、総括、提出、その後の返戻対応まで、複数の工程があります。

だからこそ、まずはどの工程に時間がかかっているのか、誰に負荷が集中しているのかを見える状態にすることが必要でした。

3. 可視化して見えてきたこと

対応時間を可視化することで、単純な人手不足だけではない課題が見えてきました。

  • 月末・月初に、特定スタッフへ業務が集中していたこと
  • 責任の重い確認作業を、一部のスタッフが担い続けていたこと
  • 残業や心理的な負担が生じやすい状態だったこと
  • 担当者が不在になった場合、請求体制が不安定になりやすいこと
  • 患者対応や日常業務に使える余白が少なくなっていたこと

請求業務は「間違えられない」「止められない」という性質があります。

そのため、担当者にとっては、単なる作業量以上に心理的な負担が大きくなりやすい業務です。

今回整理すべきだったのは、単に「レセプト点検を誰がやるか」ではなく、院内の余白をどう確保するかという課題でもありました。

4. 今回は、レセプト点検代行を部分的に活用する判断になった

整理した内容をもとに、まずは院内での業務分担を見直せないか検討しました。

そのうえで、このクリニックでは、レセプト点検代行サービスを部分的に活用する判断になりました。

これは、「レセプト業務は外に出すべき」という話ではありません。すべての請求業務を外部に任せるという話でもありません。

今回のポイントは、院内で抱える業務と、外部の力を借りる業務を整理し、負荷が集中していた部分を切り分けたことです。

院内スタッフが担うべき業務を残しながら、点検業務の一部を外部と分担することで、請求体制を止まりにくくすることを目指しました。

5. 導入後に生まれたのは、仕事の余白でした

レセプト点検代行を部分的に活用したことで、導入後にはいくつかの変化が生まれました。

導入後に見えてきた変化

  • 月末・月初の残業時間を抑えやすくなった
  • 特定スタッフへの依存を減らしやすくなった
  • 返戻や査定への不安を一人で抱え込みにくくなった
  • スタッフの心理的な負担が軽くなった
  • 患者さんへの対応にも、以前より余白を持ちやすくなった

特に大きかったのは、単に業務時間が減ったことだけではありません。

スタッフに余白が生まれたことで、日々の患者さんへの接し方にも落ち着きが出やすくなりました。

また、業務負担を院内だけで抱え込まない体制は、実質的には採用コストの抑制にもつながります。

新たに人を採用し、育成し、定着してもらうには、時間も費用もかかります。もちろん採用が必要な場面もありますが、今回のように既存業務の一部を外部と分担することで、すぐに人を増やさなくても体制を整えられる場合があります。

将来的に採用を行う際にも、「業務負担の分散に取り組んでいる職場」であることは、一つの魅力として伝えられる可能性があります。

人手不足の時代には、給与や勤務時間だけでなく、無理を一人に集中させない体制づくりも、職場の魅力の一部になっていくと考えています。

6. 私が大切にしていること

私は、レセプト点検代行サービスを導入すべきかどうかを、最初から決める立場ではありません。

また、「外注すれば解決する」と考えているわけでもありません。

大切なのは、まず院内で何を抱えているのか、どこに負荷が集中しているのか、どの業務が止まると困るのかを整理することです。

そのうえで、院内で担う業務と、外部の力を借りる業務を分けて考える。

今回の事例は、現状を整理して、次の行動に移した一つの例です。

すべてを院内で抱えることが正解とは限りません。一方で、すぐに外部へ任せることが正解とも限りません。

だからこそ、判断の前に、まず現状を整理することを大切にしています。


同じように、院内で抱え続けている業務はありませんか

レセプト点検、採用、スタッフ配置、システム導入、業者提案など、クリニック経営では「このまま院内で抱え続けるべきか」「外部の力を借りるべきか」で迷う場面があります。

まえやまだ純商店では、答えを急ぐ前に、まず現状や論点を整理し、次の行動に移りやすい状態をつくることを大切にしています。

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