クリニックのAI活用入門|人手不足でも回る“少人数経営”のつくり方
                「AIは大きな病院の話でしょ?」――そんな声をよく伺います。けれど、外来・事務の“ちょっとした手間”を軽くするところからなら、個人クリニックでも十分に始められます。ここでは、採用難・業務過多に悩む先生方向けに、今日から試せる具体例と導入手順をやさしく整理しました。
まず結論:AIは「人を置き換える道具」ではなく「負担を減らす補助輪」
- 少人数でも回る仕組みづくり(受付・事務の定型業務を短縮)
 - 離職予防(“雑務の山”を減らし、スタッフが医療に集中)
 - 院長の時間創出(文書作成や調整業務の下準備をAIに)
 
クリニックで使えるAI活用の具体例(小さく始める用)
- 文書下書き(カルテ要約・紹介状・診断書のたたき)
まずは“下書きのみ”AIに。最終判断・署名は人で行います。 - よくある質問の一次対応
「診療時間/持ち物/検査の流れ」など、HPのFAQやチャットで即時回答。電話本数の平準化に。 - 研修・患者説明のテンプレづくり
生活習慣病のセルフケア、検査前の注意点など、標準化した説明文や配布資料の草案を作成。 - 院内マニュアルの整備
受付~会計までの手順や、電話対応スクリプトをテキスト化→AIで整形→配布。 - 音声メモ→テキスト化
カンファや回覧事項を音声で残し、AIで要約。スタッフ共有が速くなります。 - HP・お知らせ文の素案作成
休診案内、季節のワクチン、健診フォロー等、通知文のひな形づくりに。 - 在宅・他職種連携の情報整理
ケアマネ/訪看とのやり取りメモをAIで箇条書き化→抜け漏れ防止。 
ポイント:
1) 「下書き」「一次対応」「整形」など、判断を伴わない部分を任せる/ 2) 院内にある既存文書(FAQ・マニュアル)を“材料”に使う/ 3) 患者情報は原則入力しないルールからスタート
1) 「下書き」「一次対応」「整形」など、判断を伴わない部分を任せる/ 2) 院内にある既存文書(FAQ・マニュアル)を“材料”に使う/ 3) 患者情報は原則入力しないルールからスタート
導入ステップ(最短1週間のスモールスタート)
- 目的を1つに絞る(例:診断書の下書き10分短縮/電話本数の平準化)
 - 素材を用意(過去文例、HPのFAQ、院内規程、よくある質問リスト)
 - 試用ルール(個人情報を入れない/最終確認者を明確に/誤回答の記録)
 - 2週間の院内トライアル(対象業務だけに限定・紙1枚の手順書を配布)
 - 効果測定(処理時間・電話件数・職員の主観負担・誤回答率)→続行/改善/保留を判断
 
安全に使うための注意点
- 最終判断は人:医療判断・署名・転記は人が行い、AIはあくまで補助。
 - 個人情報の扱い:患者特定情報は入力しない。匿名化して使う/社内ルールを明文化。
 - 記録の残し方:AIが生成した文書は“下書き”として保存し、採用・修正の履歴を残す。
 - 責任の所在:導入責任者を1名決め、運用フローと承認ラインを固定。
 
ケース別ミニアイデア
- 内科:生活指導プリントの素案/ワクチン案内の定型化
 - 睡眠時無呼吸:検査の流れ・費用の目安の説明文ひな形(※費用は目安で個別に要確認)
 - 健診フォロー:再検査案内のテンプレ/連絡票の整形
 
よくあるつまずきと解決策
- 「誰も使わない」→ “使う人”が決まる仕事から(受付FAQ、院長の文書下書きなど)
 - 「品質が不安」→ “比較検証”(AI案+人案で1回だけAB比較→良い表現をテンプレに)
 - 「広げ方がわからない」→ 月1回の見直し(効果が出た業務のみ対象を追加)
 
まとめ:小さく始めて、良い型だけ残す
AIは“魔法の杖”ではありません。ですが、下書き・整形・一次対応のような領域では、確実に負担を減らす力があります。先生のクリニックの規模や診療科に合わせて、やることを1つだけ決めて、まずは2週間試してみませんか。
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