クリニックを開業すると、診療以外にも課題が次々と出てきます。スタッフ採用、集患対策、制度改定への対応…。最終的な判断や責任は、院長ご自身に委ねられることになります。
その前提を踏まえたうえで、外部にどう相談し、どう動いてもらうかを考えることが欠かせません。相談の仕方ひとつで、経営の安定度も、院長の負担も大きく変わってくるからです。
考え方① 全面的に相談し、動いてもらう
コンサルや業者に経営の判断や実務をほとんどお願いする方法です。短期的には院長の負担が軽くなりますが、想定外の状況に対応できなくなるリスクもあります。「すべてを任せたい」という安心感を持つ方もいれば、逆に不安を覚える方もいるのではないでしょうか。
考え方② 部分的に相談し、動いてもらう
大きな意思決定は自分が担い、専門的な作業や実務の一部を外部にお願いする形です。バランスは取りやすい一方で、相談した範囲がブラックボックス化し、気づかないうちにズレが生じる可能性もあります。どの部分を依頼し、どこまで把握しておくかを意識することが重要です。
考え方③ 伴走者として相談し、動いてもらう
外部を「代行者」ではなく「伴走者」として関わってもらう形です。情報提供や実務の一部を支えてもらいながら、最終判断は自分で行う。相談相手を「一緒に考える存在」と捉えることで、安心感と納得感を両立しやすくなります。
「診療に集中したい」という言葉について
開業したばかりの先生から「診療に集中したい」という言葉を耳にすることがあります。もちろん診療に全力を注ぐ姿勢は大切ですが、一方で考えさせられる部分もあります。
なぜなら、診療だけに専念されたいのであれば、勤務医という選択肢の方が適している場合もあるからです。開業するということは、診療だけでなく、経営や組織運営にも責任を担うこと。その前提を踏まえずに「診療に集中」と言ってしまうのは、裏を返せば「経営に向き合う不安」の表れかもしれません。
大切なのは、経営責任を直視したうえで「診療に集中できる環境をどう整えるか」を考えること。そのためには、外部にどう相談し、どう動いてもらうかを検討する姿勢が欠かせません。
外部にどう相談し、どう動いてもらいますか?
経営の最終責任は院長にあります。そのうえで、外部にどう相談し、どう動いてもらうかを考えることは、これからの開業医にとって欠かせない視点です。正解は一つではなく、状況や時期によって変わっても構いません。
重要なのは、全面的に委ねるのではなく、責任を前提にした相談と依頼の仕方を考え続けることです。
まとめ
クリニック経営においては、
・全面的に相談して動いてもらう
・部分的に相談して動いてもらう
・伴走者として相談して動いてもらう
といった相談と依頼のあり方を見極める姿勢が、院長の負担を減らし、クリニックの持続性を高めるのではないでしょうか。
関連記事
・地域包括ケア時代に生き残る ― かかりつけ医機能と持続可能なクリニック経営(クリニック経営の基本視点シリーズ第4回)
・インシデントレポートは経営者の覚悟を映す鏡
・クリニック経営とリスク管理 ― 感染症・災害・クレーム・情報セキュリティにどう備えるか(クリニック経営の基本視点シリーズ第5回)
無料相談のご案内
「どう相談すればよいのか迷っている」「伴走型の関わり方を具体的に知りたい」という方は、まずは無料相談をご利用ください。院長が納得して判断できるよう、伴走型でサポートいたします。