医療DXは「高価なシステムを入れること」ではありません。まずはクリニックの困りごと(課題)を明らかにし、人のやり方を変えるのか/道具で補うのかを選ぶことから始めます。目的はただ一つ、『持続可能な経営』に近づく現場改善です。
DXとは:経営課題を解くための現場改善
- 意味:デジタルの力で、これまでのやり方から“より良い回し方”へ変えること。
- 狙い:待ち時間・電話滞留・入力ミス・会計の詰まりなど、日々の負担を減らす。
- 前提:道具を買う前に、誰の・何の困りごとかを言葉にする(スタッフ/患者さん)。
クリニックDXの“標準装備”
- Web問診:来院前に必要情報を集め、受付と診察の会話を短くする。
- オンライン予約:混雑の波をならし、電話本数を減らす。
- 自動音声案内(番号選択式):よくある問い合わせを一次振り分けし、対応の手間を下げる。
- 携帯へのショートメッセージ:予約リマインドや来院案内を確実に届ける。
- セルフ会計・キャッシュレス:会計の滞留を解消し、レジ締めの負担も軽くする。
- 電子サイン・電子同意:紙のやり取りを短くし、保管も楽にする。
どれを採用するかは、課題の優先順位で決めるのがコツです。
集患×DX:患者さんの動線を切れ目なく
- 見つける:ホームページ・地図・検索の情報を揃え、診療内容と予約導線を明確にする。
- 予約:各ページに「このまま予約」ボタンを置き、無駄なクリックを減らす。
- 来院前:Web問診で情報収集し、必要に応じてショートメッセージで案内を送る。
- 来院:受付の案内を見える化し、必要に応じて自動音声案内と連携する。
- 会計:セルフ会計・キャッシュレスで滞留を解消する。
- 再来・フォロー:次回受診の目安を示し、必要時にショートメッセージでお知らせする。
進め方:課題 → 優先順位 → 道具選び → 運用 → 振り返り
- 課題の見える化:誰のどんな困りごとか(例:受付の滞留、会計の詰まり)。
- 優先順位の決定:スタッフの負担軽減か/患者満足か、今いちばん効く所から始める。
- 道具選び:機能が目的に合うか、既存の運用に無理なくはまるかを確認する。
- 導入と教育:手順書とミニ動画で定着を早め、最初の1週間はフォローを厚めにする。
- 振り返り(元が取れているかの確認):お金と手間に見合う改善が出ているかを数で見る。例:待ち時間は何分短縮したか/電話はどれだけ減ったか/会計締めはどれだけ早くなったか。
優先順位づけの考え方(効果×手間の目安)
効果が大きく、手間が低い:Web問診の徹底/予約導線の短縮/ショートメッセージでの案内。
効果が小さく、手間が低い:ホームページ文言の更新/外来表示の微修正。
効果が大きく、手間が高い:セルフ会計の導入/自動音声案内の再設計/電子サイン運用。
効果が小さく、手間が高い:在庫連携・システム統合など(必要性を慎重に検討)。
90日で小さく始めるプラン
- 週1・30分の観察:混む時間帯に受付〜会計の流れを見て、詰まりを記録する。
- 即効施策を1つ:Web問診の定着、予約導線の1クリック短縮、自動音声案内のメニュー見直しなど。
- 短時間の募集とシフト調整:ピーク2〜4時間の支援枠を作り、属人化を外す。
- 連絡の約束を決める:問い合わせや合否連絡は当日〜翌営業日を目安にする。
- 数で効果確認:待ち時間・電話件数・会計締め時間など、3つだけ数字を追う。
チェックリスト(抜け取り用)
- 課題が誰の何かで表現できている。
- 優先順位が合意されている(ぶれない)。
- 道具は目的に合致し、運用に無理がない。
- 導入時の手順書とフォロー体制がある。
- 効果を示す数字を3つ決め、毎週確認している。
まとめ
医療DXは「買えば解決」ではありません。課題→優先順位→道具→運用→振り返りの順で、小さく回すほど定着します。クリニックの現実に合うやり方で、確実に負担を減らし、持続可能な経営に近づけていきましょう。
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