【生活習慣病と内科クリニック経営④】フレイルと慢性疾患管理──地域で「治し支える」医療へ
「患者さんの“元気が少しずつ減っている”──そんな変化をどう支えていますか?」
フレイル(Frailty)は、健康と要介護の間にある“中間の状態”を示す概念です。
単なる加齢現象ではなく、慢性疾患や社会的要因と密接に関わる医療テーマとして注目されています。
2026年の診療報酬改定に向け、内科クリニックがどのように「慢性疾患管理+フレイル予防」を一体的に取り組むか──本記事ではその実践の方向性を整理します。
フレイルの定義と意義
フレイルは、身体的・認知的・社会的側面を含む心身の脆弱性を表す概念です。
日本老年医学会では「早期発見と予防」を重視し、地域医療における必須テーマと位置づけています。
体力や筋力だけでなく、食欲・意欲・人とのつながりの減少など、生活全体の変化を捉える視点が求められます。
フレイルと慢性疾患の関係性
フレイルは単なる「加齢の結果」ではなく、慢性疾患との双方向の関係を持ちます。
疾患がフレイルを進行させ、フレイルが疾患を悪化させる──その悪循環をどう断ち切るかが重要です。
- 慢性腎臓病(CKD): 貧血・栄養障害がサルコペニアや活動性低下を招く
- ポリファーマシー: 薬剤副作用が転倒・意欲低下・食欲不振の要因に
- SAS(睡眠時無呼吸症候群): 睡眠の質低下が生活リズムの乱れと体力低下に直結
つまりフレイルは、慢性疾患の“結果”であり、同時に“進行因子”でもあるのです。
2026年診療報酬改定に向けた動き
近年の改定では、生活習慣病管理加算や地域包括ケアとの連携強化が進められています。
次回改定では、フレイルチェック・高齢者機能評価・在宅支援との連動が議論される見込みです。
クリニックが慢性疾患管理にフレイルの視点を組み込むことで、評価・加算面での優位性も期待されます。
クリニックでの実践ポイント
- 簡易フレイル評価: 体重減少・歩行速度・握力・食欲・活動性を定期確認
- 多職種連携: 栄養士による食事指導、リハ職による運動プログラム設計
- 薬剤整理: ポリファーマシー是正と服薬状況の共有
- 健診・予防接種時のチェック: 定期診察のなかで気づきを促す仕組み化
こうした積み重ねが、「治す」から「支える」への診療転換を具体化します。
患者・地域への周知と連携
- 院内掲示やパンフレットで「食べる・動く・つながる」をキーワードに発信
- ホームページ・ブログでフレイル予防の実践例や運動動画を紹介
- 地域包括支援センター・自治体と連携し、介護予防事業に参画
医療と介護の間にあるフレイル領域をクリニックが支えることは、地域医療連携の新しい形となります。
まとめ:「慢性疾患+フレイル」で支える医療へ
フレイルは、慢性疾患管理と切り離せないテーマです。
「治療」と「予防」の間を埋めるこの取り組みは、地域で暮らしを支える医療の中核となります。
内科クリニックにおける“包括的な対応”こそが、次の時代の経営基盤を築く鍵です。
シリーズ記事
- 【生活習慣病と内科クリニック経営①】慢性腎臓病(CKD)と生活習慣病 ― 内科クリニックに求められる視点
- 【生活習慣病と内科クリニック経営②】ポリファーマシー対策 ── 薬を「減らす」ではなく「支える」へ
- 【生活習慣病と内科クリニック経営③】睡眠時無呼吸症候群(SAS) ── 生活習慣病とともに支える医療へ
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