まえやまだ純商店

クリニック開業・経営コラム

CKD(慢性腎臓病)を生活習慣病管理の中でどう支えるか|地域包括診療加算・継続管理の考え方

本記事は、2026年度診療報酬改定に関する2026年6月時点の公表資料を踏まえて、クリニックの経営・運用整理の観点からまとめています。医学的判断や個別患者への診療方針を示すものではありません。制度運用や届出の詳細は、今後の通知・疑義解釈・運用変更等により追加整理される可能性があります。

高血圧や糖尿病、脂質異常症の患者さんを継続して診療している内科クリニックでは、CKD(慢性腎臓病)を生活習慣病外来の中でどう位置づけるかが、運用上の重要なテーマになります。

CKDは、症状が目立ちにくく、検査値の異常があっても患者さん自身が深刻に受け止めにくいことがあります。
そのため、検査、説明、再診導線、スタッフの声かけ、必要時の専門医連携まで含めて、院内の流れとして整理しておくことが大切です。

2026年度診療報酬改定では、生活習慣病管理料、地域包括診療加算・地域包括診療料、慢性腎臓病透析予防指導管理料など、慢性疾患を継続的に支える外来のあり方が改めて問われています。
CKD対応を単独の疾患対応として見るのではなく、生活習慣病外来全体の運用をどう設計するかという視点で整理しておくことが大切です。

この記事でわかること

  • CKD(慢性腎臓病)の基本と、生活習慣病診療とのつながり
  • 生活習慣病管理料や地域包括診療加算の文脈でCKDをどう整理するか
  • 慢性腎臓病透析予防指導管理料と糖尿病透析予防指導管理料の整理
  • CKD対応で院長が運用上整理しておきたい論点
  • 内科クリニックで継続管理を無理なく回すための役割分担と導線設計

CKD(慢性腎臓病)とは

慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)は、腎機能の低下や尿異常が一定期間以上続く状態を指します。
初期には自覚症状が乏しい一方で、進行すると透析や心血管疾患のリスク上昇につながるとされています。

内科クリニックにとってCKDは、「腎臓だけの病気」というよりも、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病診療の延長線上で関わる慢性疾患として捉えた方が、外来運用に落とし込みやすいテーマです。

CKDと生活習慣病管理料・地域包括診療加算の関係

CKDの背景には、高血圧、糖尿病、脂質異常症など、日常診療で頻繁に関わる疾患があります。
つまり、普段の生活習慣病外来の中でCKDをどのように把握し、どのように継続管理の流れへ組み込むかが、外来全体の質や運用に関わってきます。

地域包括診療加算・地域包括診療料では、対象となる疾病の中に慢性腎臓病(慢性維持透析を行っていないもの)が位置づけられています。
そのため、CKDをどう把握し、どのように継続管理し、必要時にどう専門医へつなぐかは、かかりつけ医機能を考えるうえでも重要な論点になります。

一方で、生活習慣病管理料との関係で考えると、CKD対応は単に「検査項目を増やす」だけでは整理しきれません。
検査結果の説明、次回来院の意味づけ、生活指導、院内での役割分担、必要時の専門医紹介まで含めて、継続管理の流れとして設計する必要があります。

生活習慣病管理加算や充実管理加算を、単なる加算対応としてではなく、慢性疾患外来全体の設計としてどう受け止めるかについては、 生活習慣病管理加算・充実管理加算をどう受け止めるか──“正解”ではなく“納得解”で考える でも整理しています。

2026年度改定で押さえておきたいCKD関連の論点

2026年度改定では、CKDの重症化予防を評価するものとして、慢性腎臓病透析予防指導管理料が新設されています。

ただし、ここで注意したいのは、すべてのCKD患者さんが同じ制度整理になるわけではないという点です。
慢性腎臓病透析予防指導管理料は、糖尿病患者や現に透析療法を行っている患者は対象から除かれています。糖尿病性腎症の患者さんについては、糖尿病透析予防指導管理料との整理が必要になります。

つまり、内科クリニックでは、CKDを生活習慣病外来の中で拾い上げるだけでなく、糖尿病の有無、腎機能低下の程度、透析リスク、生活習慣病管理料との関係を踏まえて、どの管理の流れに整理するのかを考える必要があります。

また、慢性腎臓病透析予防指導管理料では、医師、看護師または保健師、管理栄養士による透析予防診療チームの関与が前提になります。
そのため、役割分担は単なる業務効率化の工夫ではなく、制度上もチーム医療として求められる方向にあります。

制度対応を目的にしすぎる必要はありません。
しかし、制度の流れを踏まえると、CKD対応は「検査をするかどうか」ではなく、誰が、どのタイミングで、何を説明し、どの管理へつなげるかを外来全体で整理するテーマになっていると考えられます。

CKD対応で院長が整理しておきたいこと

CKD対応で大切なのは、「CKDを診るべきかどうか」だけではありません。
実際には、院長が自院の診療体制やスタッフ体制、地域連携の状況を踏まえて、どこまでを自院の通常外来で担い、どこから専門医連携につなぐのかを、運用として整理しておく必要があります。

1. どの患者さんをCKDリスクとして意識するか

高血圧、糖尿病、脂質異常症の患者さん全員に同じ対応をするのか。
年齢、検査値、合併症、通院状況などを踏まえて、どの患者さんに注意を向ける必要があるのか。
ここを曖昧にしたままだと、現場の確認や説明がその都度変わり、継続管理が属人的になりやすくなります。

2. 糖尿病由来のCKDか、それ以外のCKDか

CKD対応では、糖尿病の有無によって、制度上の整理や管理の導線が変わることがあります。
糖尿病性腎症として糖尿病透析予防指導管理料の対象を考えるのか、糖尿病以外のCKDとして慢性腎臓病透析予防指導管理料の対象を考えるのか。
この仕分けを院内で共有しておくと、算定だけでなく、説明や紹介判断も整理しやすくなります。

3. 検査後の説明と再診導線をどう整理するか

CKD対応では、検査そのものだけでなく、検査後に何を説明し、次の受診へどうつなげるかが重要になります。
検査頻度や説明内容は医学的判断に基づくものですが、院内運用としては、結果説明、次回予約、生活指導、資料配布などの流れを整理しておく必要があります。

4. どこまでを自院で担い、どこから専門医連携につなぐか

CKDは、すべてを自院だけで抱え込む必要はありません。
むしろ、専門医へ相談する基準や紹介ルートをあらかじめ整理しておくことで、院長の迷いを減らし、患者さんにも説明しやすくなります。

5. スタッフに何を任せるか

CKDの継続管理では、医師の説明だけで完結しない場面もあります。
検査前後の声かけ、次回予約の確認、生活指導の補足、配布物の案内など、スタッフが関われる部分を整理すると、医師だけが説明を抱え込む状態を減らせます。

6. 制度対応として見るか、外来設計として見るか

地域包括診療加算、生活習慣病管理料、透析予防指導管理料との関係を考えるとき、制度要件だけを追いかけると、現場の運用が後回しになりがちです。
一方で、CKD対応を慢性疾患外来全体の設計として捉えると、検査、説明、再診、役割分担、地域連携を一つの流れとして整理しやすくなります。
この整理ができると、比較に使う時間や迷う時間を減らし、診療やスタッフ対応に使える時間を増やしやすくなります。

クリニック運用での整理ポイント

  • 高血圧・糖尿病・脂質異常症の患者さんに対し、腎機能や尿所見を確認する流れを院内で共有する
  • 糖尿病由来のCKDか、それ以外のCKDかを整理し、管理料や説明導線を混同しないようにする
  • 異常値が出たときに、単発の説明で終わらせず、次回受診の意味までセットで伝える流れを考える
  • 食事、減塩、体重管理、運動などの生活指導を、医師だけで抱え込まずに役割分担する
  • 腎臓内科、糖尿病内科、循環器内科などへの紹介基準や相談ルートを整理しておく
  • 「検査をした」で終わらず、継続受診につながる声かけや院内導線を見直す

大切なのは、CKDだけを特別扱いすることではありません。
生活習慣病外来の中に、CKDを自然に拾い上げる導線を組み込むことです。

たとえば、検査結果の説明を医師だけで完結させるのではなく、スタッフによる次回予約の確認や、院内掲示、配布物、ホームページでの補足説明と組み合わせることで、患者さんが継続受診の意味を理解しやすくなります。

また、紹介基準や相談先をあらかじめ整理しておくと、異常値が出たときに毎回迷う時間を減らせます。
その結果、院長の判断負担を軽くしながら、患者さんにも一貫した説明をしやすくなります。

実際に継続管理を無理なく回していくには、医師だけで抱え込まず、院内での役割分担をどう整理するかも重要になります。
生活習慣病外来における職種ごとの役割整理については、 生活習慣病外来を無理なく回すために ──職種ごとの役割整理の一例 でも整理しています。

患者さんへの説明導線と、地域への見せ方

CKDは、患者さん自身が「まだ大丈夫」と受け止めやすい疾患でもあります。
だからこそ、異常があったときに不安だけを強めるのではなく、なぜ継続して確認する必要があるのかを、わかりやすく伝える導線が重要です。

  • 健診異常や採血・尿検査結果の意味を、生活習慣病とのつながりの中で説明する
  • 糖尿病、高血圧、CKDの関係を、患者さんに分かる言葉で説明する
  • 院内掲示や配布物で「腎臓は症状が出にくい」ことをやさしく伝える
  • ホームページやブログで、CKDと高血圧・糖尿病の関係を整理して発信する
  • 必要時には専門医紹介も含めて、地域で支える姿勢を示す

こうした情報発信は、単なる広報ではありません。
「このクリニックは、生活習慣病を継続して相談できる場所だ」と地域に伝わることで、かかりつけ医機能の見え方も変わってきます。

また、患者さんへの説明内容を院内でそろえておくことは、スタッフの対応負担を減らすことにもつながります。
説明のたびに迷う状態を減らし、院内で同じ方向を向いて支えられるようにすることが、継続できる運用の土台になります。

まとめ:CKDは、慢性疾患外来の運用を見直す入口になる

CKDは、日常診療の中で関わる機会が多く、生活習慣病外来の運用を見直す入口になりやすいテーマです。

高血圧や糖尿病の患者さんを診療する中で、腎機能をどう確認し、どう説明し、どう次につなげるか。
その積み重ねは、患者さんの継続受診や地域連携だけでなく、クリニックの慢性疾患管理を「その場しのぎ」ではなく「続いていく仕組み」に変えていくことにもつながります。

CKD対応に一つの正解があるわけではありません。
自院の患者層、診療体制、スタッフ数、管理栄養士との連携、地域の専門医療機関との関係によって、取り組み方は変わります。
だからこそ、制度対応だけでなく、自院としてどこまで取り組むのか、どの順番で整えるのかを整理しておくことが大切です。

シリーズ記事

慢性疾患管理の論点を、自院として整理したい院長へ

判断が重くなり始めた段階で、整理のためにご相談いただくことがあります

制度対応や慢性疾患管理の見直しは、すぐに大きな問題として表面化するとは限りません。

だからこそ、何を優先して考えるべきか自院としてどこまで取り組むのかが曖昧なまま、日々の診療のなかに埋もれていくことがあります。

CKD対応、生活習慣病管理料、地域包括診療加算、透析予防指導管理料、院内の役割分担、患者さんへの説明、専門医との連携。

これらは一つひとつ別の論点に見えても、実際には外来全体の運用としてつながっています。

相談内容が整理できていない段階でも問題ありません。

むしろ、何から考えるべきかを整理するところから始まることが多くあります。

比較する時間や迷う時間を減らし、診療やスタッフ対応に使える時間を増やすためにも、違和感の段階で論点を整理しておくことに意味があります。

まえやまだ純商店では、正解を提示するのではなく、論点と優先順位を整理しながら、先生ご自身が納得して判断できる状態を整える支援を行っています。

制度判断、診療体制、役割分担、情報発信など、論点が混ざっている状態でも大丈夫です。

論点を一つずつ整理することで、比較に使う時間や迷う時間が減り、診療やスタッフとの時間を確保しやすくなります。

※この時点で何かを決める必要はありません。
現在の状況を確認し、整理が必要かどうかを一緒に確認します。

記事一覧