【生活習慣病と内科クリニック経営①】慢性腎臓病(CKD)と生活習慣病──地域で支える「治し支える医療」への第一歩
「検査はしているのに、患者が途中で来なくなる」──そんな課題を感じていませんか?
慢性腎臓病(CKD)は、糖尿病や高血圧と深く関係する“静かな病気”です。
2026年の診療報酬改定では、慢性疾患管理料や生活習慣病管理料の見直しが議論されており、「治す医療」から「治し支える医療」への転換が進んでいます。
本記事では、CKDを切り口に、内科クリニックが地域で担うべき慢性疾患管理のポイントを整理します。
この記事でわかること
- 慢性腎臓病(CKD)の基礎と生活習慣病との関連
- 2026年診療報酬改定で注目される「慢性疾患管理」の方向性
- 内科クリニックでの実践ポイントと地域連携の工夫
- 患者・地域への情報発信の具体例
慢性腎臓病(CKD)とは
慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)は、腎機能の低下や尿異常が3か月以上続く状態を指します。
日本では成人の8人に1人が該当し、国民病とも呼ばれています。
進行すると透析や移植が必要となり、医療費の増大や生活の質の低下を招くため、「早期発見・早期介入」が重要です。
生活習慣病との関連と、クリニック経営への示唆
CKDの主要な原因は、高血圧・糖尿病・脂質異常症といった生活習慣病です。
生活習慣病の管理はそのままCKDの進行抑制につながり、再診率・定期通院率にも影響します。
つまりCKD対策は、医療の質の向上と経営の安定を両立するテーマでもあります。
慢性疾患の診療は「継続性」と「関係性」が鍵。
患者が“通い続けたい”と思える環境を整えることが、CKD対応の第一歩です。
2026年診療報酬改定の焦点:慢性疾患管理と地域連携
次回改定では、生活習慣病管理料や特定疾患療養管理料の体系見直しに加え、腎機能検査や合併症管理の評価が議論されています。
また、かかりつけ医機能報告制度や外来機能の明確化により、「地域での慢性疾患管理をどう担うか」が問われます。
慢性疾患は単独管理ではなく、他科連携・ICT活用・チーム医療を通じて支える流れへ。
診療所が「地域のハブ」として機能するためには、こうした制度動向を踏まえた設計が欠かせません。
クリニックでの実践ポイント
- 定期的な血液・尿検査のルーチン化(年齢・リスク層別)
- 生活習慣指導:食事・減塩・運動の支援体制を明確化
- 循環器内科・糖尿病内科・腎臓内科との紹介ルート整備
- 薬剤調整・多職種カンファレンスによる副作用予防
- ICTを活用した検査結果共有・フォローアップ
これらをシステムとして定着させることが、「属人的な診療」から「仕組みとしての慢性疾患管理」への転換につながります。
患者・地域への周知と情報発信
CKDの予防や受診継続を促すには、診察室外でのコミュニケーションが欠かせません。
- 健診結果に基づいた再診案内の徹底
- 院内掲示・パンフレットで「腎臓を守る生活」を啓発
- ホームページやブログで、生活習慣病との関連をわかりやすく解説
- 地域住民向けの健康講座や学校・企業との連携
こうした取り組みは「予防・啓発」を通じた地域貢献であり、同時にかかりつけ医機能の可視化にもつながります。
まとめ:CKDを通じて考える、内科クリニックの次の一歩
慢性腎臓病は、生活習慣病の“出口”ではなく、“入口”です。
患者と長く向き合う診療だからこそ、経営の視点で捉え直す価値があります。
「治し支える医療」を実践することが、地域から選ばれるクリニックづくりにつながります。
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