恐怖に振り回されない、変化を受け入れる医院経営へ

診療報酬の改定や社会の変化を背景に、医院やクリニックを取り巻く環境は大きく変わろうとしています。SNSなどで「次回の改定で大量倒産が起きる」「今のうちに自由診療へ切り替えるべきだ」といった刺激的な情報も見られますが、恐怖に振り回されるだけでは正しい判断にはつながりません。重要なのは「変化を受け入れる姿勢」を持ち、自院に合った対応を冷静に準備することです。
開業医は「医師」であると同時に経営者
開業医は臨床を行う一方で、患者さんにサービスを提供し、その対価をいただく存在です。一般の方からすれば「地域の生活に直結するサービスを担う経営者」と見られる面があります。勤務医のときには診療に専念できても、開業すれば経営者としての判断が避けられません。診療技術や専門性に加えて、経営視点を持つことが不可欠です。
勤務医との違いを理解する
勤務医であれば病院が用意した仕組みの中で診療に集中できます。しかし開業医は、集患やスタッフ採用、収支管理といった課題も自ら担います。これは決して楽ではありません。経営者としての覚悟がなければ続けるのは難しいでしょう。裏を返せば、開業医には自院の診療方針や雰囲気を自らつくり上げられる自由があります。苦労と同時にやりがいも大きいのです。
自由診療一本化のリスクと選択肢
一部で語られる「自由診療一本化」も現実的な選択肢ではありますが、既存患者を失う可能性が高く、集患や信頼構築には時間がかかります。最低でも数年単位の資金計画が必要とされます。むしろ現実的なのは「保険診療を基盤にしながら自費メニューを取り入れる」などの混合戦略です。地域包括ケアへの参加や、かかりつけ医機能の発揮といった方向性も改定への対応策になり得ます。
支援者の役割も変化している
外部支援者についても、単なる事務作業の代行だけでは十分ではない局面に入ってきています。診療報酬改定や社会変化のスピードが速い今、先生方と一緒に経営の方向性を考え、仕組みを整える伴走型の支援が求められています。当社も「右から左へ流す業務代行」ではなく、地域医療を共につくる存在としての責任を意識しています。
まとめ
- 変化は避けられず、受け入れる姿勢が必須条件
- 開業医は「地域に選ばれるサービス業の経営者」という視点を持つ
- 勤務医とは大きく環境が異なり、経営への意識転換が欠かせない
- 自由診療一本化はリスクが大きく、現実的には混合戦略や地域連携が有効
- 支援者は「事務作業の代行」にとどまらず、経営と未来を共に描く存在
恐怖を煽る情報に惑わされるのではなく、現実を受け入れた上で備えと工夫を積み重ねていくことが、これからの医院経営を支える力になります。
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