2026年診療報酬改定|病院とクリニックの役割をどう整理するか(紹介患者受け入れ・生活習慣病管理)
2026年診療報酬改定(短冊)では、
これまで明確に評価されてこなかった「病院とクリニックの役割分担」を、
あらためて整理し直すような項目が並んでいます。
なかでも目立つのが、
病院から紹介された患者を地域のクリニックが受け入れることに対する評価です。
一見すると、新しい集患策や初診強化の話に見えるかもしれません。
しかし、短冊全体を通して読むと、
これはすでに役割を担っている医療機関が、どう評価されるかを問う整理だと受け取れます。
本記事では、紹介患者の受け入れ評価を切り口に、
生活習慣病管理料や地域連携との接続も含めながら、
病院とクリニックの役割をどう整理すべきかを考えていきます。
① この評価は「どんなクリニック」が対象になりやすいか
結論から言うと、
すでに地域の中で“受け皿”として機能し始めているクリニックです。
具体的には、次のような前提が自然に成り立っているところが想定されます。
- 特定機能病院・地域医療支援病院と、顔の見える関係がある
- 治療方針が概ね確定した患者を日常的に診ている
- 状態が安定した後の継続フォローや生活指導が中心
- 高度検査や急性期対応は、自院で抱え込まない線引きができている
循環器内科、糖尿病内科、呼吸器・腎臓など、
慢性疾患のフォローを主とする診療科は、特に相性が良い構造です。
この評価は、新規患者を増やすためのものではありません。
すでに役割分担ができている診療体制が、静かに評価される位置づけと考えるのが自然でしょう。
② 外来設計・紹介受け入れ体制で意識しておきたいこと
ここで求められているのは、診療技術の高さではなく、
外来の構造が整理されているかどうかです。
(1)紹介患者の動線を、あらかじめ意識しておく
- 紹介状のある患者を、通常初診と完全に同列には扱わない
- 受付・予約時点で「○○病院からのご紹介ですね」と共有できる
- 初診枠を、無理のない範囲で少し確保しておく
仕組み化というより、
院内で共通認識が持てているかどうかが重要です。
(2)初診で完結させようとしすぎない
制度が評価しているのは、
抱え込みや過剰な再評価ではなく、
「受け取る」という行為そのものです。
- すべてを自院で完結させない
- 逆紹介・再紹介の前提を残す
- 「ここまで診る/ここから戻す」を言葉にしておく
(3)書類・算定は、淡々と対応する
現時点では、特別な説明義務や同意取得が強く求められている整理ではありません。
紹介状の確認・保存を前提に、
事務的に対応できる内容と考えられます。
③ 生活習慣病管理料・かかりつけ医機能との接続
紹介患者の受け入れ評価は、単体では大きな点数ではありません。
しかし、生活習慣病管理料や、かかりつけ医機能と組み合わせることで、
位置づけがはっきりしてきます。
特定機能病院 ↓(専門導入・急性期) 地域クリニック(紹介患者の受け入れ) ↓ 生活習慣病管理料 ↓ かかりつけ医機能
すべてを担う必要はありません。
自院がどの役割を引き受けているのかを整理し、言葉にできているかが重要です。
こうした継続管理を前提にした外来設計を考えていくと、
生活習慣病管理を院内だけで完結させない視点も、自然に意識されてきます。
④ 歯科・眼科との連携は、どこまで意識しておくか
今回の改定では、
眼科医療機関連携強化加算や歯科医療機関連携強化加算など、
他科との連携そのものを評価する枠組みも示されています。
新たに体制を作り込むというより、
生活習慣病管理料を算定する外来の中で、
必要に応じて他科につなぐ前提が整理されているかを確認する、
それくらいの温度感が現実的でしょう。
生活習慣病管理料の整理や、歯科・眼科との連携の考え方については、
こちらの記事で詳しく整理しています 。
まとめ|新しい施策より、「役割が整っているか」
- 今回の評価は、新規集患を目的としたものではない
- すでに役割分担の中で診療している体制が前提
- 外来設計・生活習慣病管理・地域連携を一続きで考える
2026年診療報酬改定は、
何かを新しく始めたかどうかよりも、
これまでの診療が構造として整理されているかを確認する改定といえそうです。
参考資料(出典)
本記事は、以下の公表資料をもとに整理しています。
厚生労働省:令和8年度診療報酬改定(短冊)
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001639439.pdf
- 紹介患者の受け入れに関する評価;315ページ
- 生活習慣病管理料;274〜278ページ
- 眼科・歯科地域医療連携に関する整理;277〜278ページ
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