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糖尿病外来で地域連携・紹介をどう考える?|自院で担う範囲を整理するポイント

更新日:2026年8月17日

糖尿病外来では、自院の中だけでは診療が完結しない場面があります。

眼科や歯科との連携、合併症に応じた病院・他科への紹介、薬局や訪問看護との情報共有など、院外とのつながりも診療体制の一部です。

そのとき、「紹介するか、しないか」だけで考えると、自院で何を担い続けるのかが曖昧になりやすくなります。

地域連携は、患者さんを外へ任せることではありません。
患者さんに必要な医療、自院で担うこと、院外につなぐこと、連携後も自院で担うことを分けて考えることが出発点です。

この記事では、個別患者の紹介基準や治療方針ではなく、糖尿病外来を運営するクリニックが地域連携を考えるときの確認事項を整理します。

糖尿病外来で院内だけでは完結しない場面

糖尿病では、網膜症、腎症、神経障害のほか、心血管疾患、脳血管疾患、足病変など、複数の診療領域との連携を考える場面があります。

クリニック運営の視点で大切なのは、すべてを自院で担うことではなく、次の3つを分けることです。

  • 自院で継続して確認すること
  • 病院や他科へつなぐこと
  • 連携後も自院で担うこと

患者さんの状態が変わってから初めて連携先を探すのではなく、「どのような場面で自院だけでは完結しなくなるか」をあらかじめ整理しておくと、外来運営にもつなげやすくなります。

まず、自院で担うことを整理する

地域連携を考えるとき、最初から紹介先を決める必要はありません。まず確認したいのは、現在の自院が何を担っているかです。

診療内容と体制を見る

同じ糖尿病外来でも、院長の専門性、スタッフ体制、設備、診療時間、周辺医療機関との関係は異なります。自院で日常的に行う診療と、他院との連携を前提とする領域を分けます。

紹介後も担うことを考える

他院へ紹介したからといって、自院での診療がすべて終了するとは限りません。専門的な評価・治療は他院で受けながら、日常的な糖尿病診療は自院で継続することもあります。

そのため、「何を院外につなぐか」と同時に、連携後も自院で何を担うのかを考えておくことが重要です。

眼科・歯科との連携をどう考えるか

糖尿病外来の地域連携を具体的に考えるうえで、眼科と歯科は代表的な例です。

眼科との連携

糖尿病網膜症などを踏まえ、必要な眼科受診につながっているか、受診状況をどこで確認するか、眼科から得られた情報をその後の診療へどうつなぐかを考えます。

歯科との連携

糖尿病と歯周病の関係を踏まえ、かかりつけ歯科の有無、歯科受診の案内、情報共有が必要な場合の院内対応などを整理しておくことができます。

2026年度改定では、眼科・歯科との連携も評価

2026年度診療報酬改定では、生活習慣病管理料(Ⅰ)・(Ⅱ)を算定する糖尿病患者について、一定の要件のもとで眼科・歯科との連携を行った場合、「眼科医療機関連携強化加算」「歯科医療機関連携強化加算」として、それぞれ患者1人につき年1回60点が評価されます。

単に紹介すれば算定できるものではなく、診療上の必要性、患者さんの同意、必要な連携などの要件を確認する必要があります。

生活習慣病管理料は2026年診療報酬改定でどう変わる?|療養計画書・6か月検査・連携評価・充実管理加算の4論点(答申反映)

なお、患者さんの経過によっては、産婦人科など別の診療領域との連携を考える場面もあります。たとえば妊娠糖尿病を経験した方の産後フォローなど、必要な支援が途切れないよう情報や役割を確認するケースがあります。

合併症から見ると、連携先は一つではない

糖尿病の慢性合併症は、神経障害・網膜症・腎症を「しめじ」、足壊疽・脳梗塞・虚血性心疾患を「えのき」と覚える方法があります。

ここで重要なのは覚え方そのものではなく、患者さんの状態によって、眼科、腎臓領域、循環器領域、脳血管領域、足病変に対応する領域など、連携先が変わることです。

「糖尿病患者をどこへ紹介するか」という一つの紹介先を決めるのではなく、どのような課題が生じたときに、どの領域とつながるのかを整理する方が実務的です。

「紹介するか」ではなく、何をどこまでつなぐか

地域連携では、紹介状を書いて患者さんを送り出すところだけでなく、その前後まで見ます。

連携先に何を確認したいのか

紹介の目的、自院で把握している情報、連携先に確認したい内容を整理します。

自院が引き続き担うことは何か

専門的な評価や治療を他院へつないだ後も、自院で継続する診療がある場合は、その役割を明確にします。

患者さんにどう伝えるか

なぜ別の医療機関を受診するのか、紹介後も自院で何を診るのかが分かるように整理します。

「どこへ紹介するか」だけでなく、「何をつなぎ、何を自院に残すか」まで考える。
ここまで整理すると、地域連携を外来運用の中に位置づけやすくなります。

連携後、自院が何を担うか

地域連携では、紹介後の情報をどう受け取り、次の診療へつなぐかも重要です。

  • 紹介先からの情報を誰が確認するか
  • どこに記録するか
  • 次の診察で何を確認するか
  • 再度の連携が必要な場合、誰が対応するか

連携先をつくること自体を目的にせず、院外へつないだ情報が自院へ戻り、その後の診療につながるところまでを一つの流れとして考えます。

糖尿病外来の役割分担はどう整理する?|院長に判断・説明・確認が集まるときの考え方

病院から患者さんを受け入れる連携もある

地域連携は、クリニックから病院へ紹介する一方向だけではありません。病院で専門的な診療を受けた患者さんの日常診療を地域のクリニックが担い、必要に応じて病院と情報共有する形もあります。

2026年度診療報酬改定では、外来医療の機能分化・連携に関する見直しとして、特定機能病院等紹介患者受入加算の新設や、連携強化診療情報提供料の見直しが行われています。

ただし、制度上の評価と、自院が実際にどの患者さんを受け入れ、継続して診療できるかという判断は分けて考える必要があります。

特定機能病院等紹介患者受入加算とは?届出・対象病院・算定要件と連携強化診療情報提供料との違い

自院で担う範囲を見直すときの確認ポイント

  1. 患者さんに必要な医療・支援を確認する
  2. 現在、自院で何を担っているか確認する
  3. 院外と連携する部分を分ける
  4. 連携先に何を確認したいのか整理する
  5. 連携後も自院が担うことを整理する

すべての患者さんに同じ連携方法を当てはめる必要はありません。患者さんの状態、自院の診療内容、地域の医療資源によって必要な連携は変わります。

患者さんに必要なこと、自院が担えること、現在の体制で続けられること、地域と分担した方がよいことを確認しながら、その時点の自院に合った範囲を考えます。

まとめ|自院で担うことと、地域につなぐことを分けて考える

糖尿病外来では、眼科、歯科、病院の専門診療、薬局、訪問看護など、自院以外の医療機関・支援者とつながる場面があります。

地域連携を考えるときは、「紹介するか、しないか」だけではなく、患者さんに何が必要か、自院で何を担うか、どこから院外につなぐか、連携後も何を担うかを分けて考えます。

患者さんに必要な医療が途切れないことと、自院が担う診療を無理なく続けられること。その両方から役割と情報の流れを整理することが大切です。

自院でどこまで担い、どこから地域と連携するか整理したい方へ

現在の患者層、診療内容、スタッフ体制、地域の医療機関との関係などを確認しながら、自院で担うこと、院外と連携すること、今は変えないことを分けて考えることができます。

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まえやまだ純商店 前山田純

この記事を書いた人

前山田 純まえやまだ純商店

2011年から医療機関の開業・経営支援に従事。院長が一人では整理しきれない経営課題について、現状や論点、選択肢を整理し、自院として判断しやすい状態づくりを支援しています。正解をお伝えするのではなく、自院として納得して判断できる状態づくりを大切にしています。

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