糖尿病内科経営シリーズ第8回|院内だけで抱えないという判断── 糖尿病外来を“閉じない”ための境界設計
第7回では、糖尿病外来の中で「判断をどこで受け止めるか」という境界を、院内の中で整理してきました。
院長が受け止める判断。
チームに委ねる判断。
仕組みで支える判断。
この整理が進んだとき、多くの院長が、次に同じ問いに行き当たります。
「これは、本当に院内だけで受け止め続ける判断だろうか?」
第8回は、その問いを正面から扱う回です。
院内で境界を引くと、「外」が見えてくる
不思議なことですが、院内での役割や判断が整理されてくるほど、「院内だけでは受け止めきれないもの」が、はっきりしてきます。
それは、外来が不安定だからではありません。むしろ逆で、外来を安定させようと真剣に考えているからこそ、見えてくるものです。
ここで初めて、「連携」や「紹介」という言葉が、現実的な意味を持ちはじめます。
連携とは、判断を外に逃がすことではない
「連携する」「紹介する」。そう聞くと、どこかで「患者さんを手放すこと」「自院の限界を認めること」のように感じてしまうことがあります。
ただ、糖尿病外来を構造として眺めると、連携の意味は少し変わってきます。
連携とは、判断を外に押し出すことではありません。
院内で守り続けたい判断を、よりはっきりさせるために、境界を外へひらくこと。
たとえば、病院や他科、訪問看護・薬局など、地域の支え手とつながることで、院内の判断が「軽くなる」場面があります。
それは責任を手放すことではなく、外来を長く続けるための判断でもあります。
院内に残る判断/外に預けたほうが安定する判断
ここで、「これは院内」「これは外部」と明確な線を引く必要はありません。
ただ、こんな視点で眺めてみることはできます。
- 院長の専門性そのものに関わる判断
- 患者さんとの長期的な関係を支える判断
- 日常外来のリズムを保つための判断
一方で、
- 院内で抱え続けるほど、判断が重くなるもの
- 滞留することで、外来全体が揺れやすくなるもの
- 続けること自体が、負担になりやすいもの
それらを「どこで受け止めると、外来が安定しそうか」という視点で見直してみる。
ここでは、正解を出す必要はありません。
ただ、院内に閉じ続けている判断はないかを考えるだけで十分です。
「紹介しても大丈夫」と言える境界線はどこか
「紹介しても大丈夫かどうか」は、制度や紹介先の条件だけで決まるものではありません。
多くの場合、その境界線は、院長自身の中にあります。
- ここまでは自分が受け止めたい
- ここから先は、抱えない方が続く
そして、その線を曖昧にしているのは、しばしば「相手に任せられるか」よりも、院長自身の安心の感覚です。
それは、外来を守るための誠実さから生まれていることも多いでしょう。
ただ同時に、その安心が、いつの間にか惰性になってしまうこともあります。
その線は、誰かに決めてもらうものではなく、外来と向き合い続ける中で、少しずつ引かれていくものなのだと思います。
外を使うことで、院内が守られることもある
院内で判断を守ることと、外に境界をひらくことは、矛盾しません。
むしろ、外をうまく使うことで、院内が落ち着く場面もあります。
この回では、連携のやり方や正解は扱っていません。
その代わりに、一つだけ問いを残します。
「うちの糖尿病外来は、どこで“閉じて”いるだろう?」
それは、院内を守るために引いた線なのか。
それとも、不安を避けるために残っている線なのか。
次回は、この問いを地域の中での糖尿病内科の位置づけへと、少しずつ広げていきます。
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