泌尿器科クリニック経営シリーズ 第4回 がん医療と病診連携:経営を強化する視点
                はじめに
泌尿器科領域のがん(前立腺がん・膀胱がん・腎がん等)は、病院での治療が必須です。クリニックは「早期発見の入口」と「治療後フォローの拠点」として、病院と患者さんをつなぐ役割を担います。この位置づけを経営資源として活かす設計が、持続可能な運営の鍵になります。
経営面でのメリット
- 紹介・逆紹介の循環: 病院へ紹介した患者が治療後にクリニックへ戻る往復動線が確立すると、安定的な患者基盤が形成されます。
 - 慢性期診療への移行: がん治療後はBPHやCKDなどの慢性疾患管理へ自然移行し、継続外来の母集団が拡大します。
 - 専門性による差別化: 「がん診療に強い泌尿器科」というブランドが地域認知を高め、新規流入を後押しします。
 
フォローアップ診療の収益構造
- 再診料・管理料: ホルモン療法や内服管理に伴う定期受診。
 - 検査収入: PSA・血液検査・エコー・尿検査などのルーチンフォロー。
 - 薬剤処方: ホルモン剤・経口抗がん薬等の長期処方による安定収益。
 - 併存症管理: 生活習慣病等のクロスオーバーで収益の多角化。
 
病診連携を強化する仕組み
- 紹介状・返書の標準化: 病院とフォーマットを合わせ、やり取りを迅速・正確に。
 - データ共有の効率化: クリニック検査結果を電子送付し、重複検査を削減して信頼性を高める。
 - リコール体制: 再発チェックや投薬スケジュールをシステム管理し、患者の脱落を防止。
 - 患者教育: 副作用・経過の見通しを分かりやすく説明し、通院継続の納得感を醸成。
 
経営KPIとしての病診連携
- 逆紹介率: 病院治療後にクリニックへ戻った割合。
 - 継続通院率: がん患者の1年・3年フォロー継続率。
 - 検査実施率: 定期フォローアップ時の血液・画像・尿検査の実施割合。
 - 収益比率: 慢性期患者全体に占めるがん関連フォローの構成比。
 
これらを定点観測し、紹介動線・検査運用・リコール体制を改善することで、「連携の強化」=「経営の安定化」に直結します。
まとめ
がん医療は病院とクリニックの連携が前提です。クリニックは「発見の入口」と「治療後の生活支援」の両面で価値を提供し、紹介・逆紹介の循環を仕組み化することで、新規獲得・慢性期移行・収益安定化を同時に実現できます。
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