クリニック開業や経営の迷いを整理し、 自分なりの「納得解」で進むために。 ――医師の考えに伴走する対話型支援。

クリニック開業・経営コラム

泌尿器科クリニック経営シリーズ第1回 「治す」と「支える」の両立が安定経営をつくる

はじめに ― 結論から

泌尿器科クリニック経営の核心は、「急な症状にしっかり応え、長く寄り添う診療を続けること」にあります。

一見すると当たり前のように聞こえるかもしれません。ですが、泌尿器科ではこれが経営の土台そのものになります。

尿路結石の激しい痛みで「今すぐ何とかしてほしい」と駆け込む方。
検診で異常を指摘され「がんではないか」と不安に眠れない夜を過ごす方。
夜中に何度もトイレに起き「このまま生活が続けられるのか」と悩む高齢の方。

患者さんにとっては、その瞬間ごとに「ここで救われたい」「安心したい」という切実な思いがあります。そして、急な症状を確実に治す場面も、長く支えて安心を届ける場面も、どちらも泌尿器科が期待されている大切な役割です。

だからこそ、この「当たり前」をしっかりと積み重ねることが、結果的に地域で信頼され、安定した経営につながっていきます。

泌尿器科が持つ二つの顔

1. 「治す医療」― 患者さんを一気に引き寄せる瞬間

尿路結石や膀胱炎、急性前立腺炎などは、生活に直結する強い症状を伴います。患者さんは「今すぐ治したい」という一心で来院されます。

その場で適切な検査・処置を行い、症状を改善できるかどうかは、「このクリニックなら安心できる」と信頼を得る大切な場面です。

2. 「治し支える医療」― 長く寄り添う日常診療

一方で、前立腺肥大症や過活動膀胱、CKDといった病気は、長期的な通院が必要です。

「夜間のトイレが減って少し楽になった」「透析にならないように、一緒に気をつけながら頑張っている」――こうした診療は、患者さんにとって生活の安心となり、医師にとっては地域で信頼を積み重ねる診療になります。

開業医が押さえておきたい視点

泌尿器科の二面性を経営にどうつなげるか。そのカギは「知ってもらう場面」「信頼を育てる場面」を意識することにあります。

  • 急性期対応は“知ってもらう入り口”
    結石や感染症で駆け込んだ患者さんに「ここなら安心できる」と感じてもらうことが、再診や継続診療へとつながる。
  • 慢性期診療は“信頼を積み重ねる場”
    薬物療法や定期検査を通じて、長く通える関係を築く。
  • 地域連携は“診療の幅を広げる”
    内科(生活習慣病管理)、婦人科(尿失禁や性感染症)、透析施設などと協働することで、患者さんにとってもクリニックにとっても選択肢が広がる。

「四方よし」で見る泌尿器科クリニックの姿

  • 患者よし:急な症状にも、長期的な悩みにも応えてくれる安心感。
  • 医師よし:診療のやりがいと経営の安定を同時に実現できる。
  • 地域よし:他科や病院と連携し、地域医療全体を支える。
  • 将来よし:高齢社会に不可欠な「排尿ケア」を担う存在となる。

おわりに

泌尿器科は、“治す”と“支える”の両方を自然に担える診療科です。この特徴を意識して診療を組み立てることができれば、患者さんにとっても、医師にとっても、地域にとっても価値あるクリニックとなり、長く続けていける基盤が整います。

次回は、この二つの顔のうち、まず急性期対応と知ってもらう入り口について掘り下げていきます。

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