2026年度診療報酬改定に向けて ― 厚労省が目指す「治す医療」と「治し支える医療」

はじめに
2025年9月26日、中医協(中央社会保険医療協議会)にて「令和8年度(2026年度)診療報酬改定の基本方針(案)」が示されました。
診療報酬改定は点数の上下に注目されがちですが、実際には国がどんな医療を守りたいか、どんな体制を築こうとしているかを映す方針そのものです。
本記事では、そのポイントとクリニック経営への実務的な意味を整理します。
厚労省が描く二つの医療
「治す医療」
がん、生活習慣病、救急、小児、周産期など、従来型の病気やケガを治す医療。現場診療に直結する領域です。
「治し支える医療」
もう一つの柱は医療を長く持続させる仕組み・体制です。具体的には以下が挙げられています。
- 外来機能分化とかかりつけ医の評価
- 医療DX(マイナ保険証・電子処方箋・医療情報PF)の推進
- アウトカム(成果)に基づく評価
- 人件費・物価高への配慮
- 費用対効果や給付適正化
開業医にとっての意味
日常診療は「治す医療」で多忙になりがちですが、今後は「治し支える医療」への取り組みが経営の安定を左右します。
紹介・逆紹介の実績、マイナ保険証の利用率、慢性疾患の受診・検査フォロー率、スタッフの働きやすさと賃上げ対応──これらが評価に直結していきます。
今からできる4つの準備(実務チェック)
1. DX対応の棚卸し
資格確認・電子処方箋・PF参加状況、マイナ保険証の利用率をKPI化し、改善を進める。
2. かかりつけ医機能の点検
紹介・逆紹介、時間外対応、相談体制を整理・文書化する。
3. アウトカム指標の見える化
継続受診率・検査実施率・服薬継続率を疾患別に把握し、改善に活用する。
4. 人件費と効率化の両立
賃上げを前提に、タスクシフトや業務設計で生産性を高める。
まとめ
2026年度の診療報酬改定は、単なる点数調整ではなく、「治す医療」と「治し支える医療」の両輪をどう経営に組み込むかが分岐点となります。
準備の早さがリスクを強みに変える鍵です。
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