人を採る前に“場所(=役割)”を決める──クリニック採用に必要な『適所適材』の視点
クリニックの採用活動というと、「人を集める」ことに意識が向きがちです。
しかし、採用を本当に機能させるためには、単に人を集めるのではなく、
「どのような役割を担う人を迎えるのか」を明確にすることが欠かせません。
つまり、「適材適所」ではなく「適所適材」の発想が、採用の質を左右します。
「適所適材」とは──場所(=役割)を決めてから、人を探す
一般的に使われる「適材適所」は、「人に合わせて場所を決める」考え方です。
一方で「適所適材」はその逆。まず、クリニックの中にどんな“場所(=役割)”をつくるのかを決めることから始まります。
その上で、「その役割を担うのにふさわしい人」を探す──この順序を守ることで、採用のミスマッチを減らすことができます。
小規模組織ほど、役割の“設計図”が要になる
規模の小さいクリニックでは、どうしても業務が重なり合い、役割があいまいになりがちです。
例えば、事務が2名しかいない体制で、レセプト・窓口・電話対応を日替わりで担当するような現場も少なくありません。
入職後に「思っていた仕事と違った」とならないためにも、求人票の段階で“どこまでがその人の仕事なのか”をできるだけ明確にしておくことが大切です。
- 「事務スタッフには、レセプト補助や窓口業務も含みます」
- 「看護業務に加えて、患者対応や診療補助をお願いする場合があります」
- 「当院が大切にしている価値観」だけでなく、「合わない価値観」も明示する
こうした前提共有があることで、応募者は自分の働き方を具体的にイメージでき、入職後の不満や離職リスクを減らすことができます。
理念とつながる採用設計──「採用は理念を形にする第一歩」
求人票は、単なる募集広告ではありません。
クリニックの理念やビジョンを言語化し、それを“人の形”にしていくプロセスが採用です。
「どんな医療を届けたいのか」「どんなチームで診療を支えたいのか」──その思いから逆算して役割を設計し、
「この場所(=役割)を一緒に担ってほしい」と伝えることで、価値観が合う応募者に届きやすくなります。
まとめ:人を採る前に、場所(=役割)を決める
採用をうまく進める第一歩は、「人」よりも先に「場所(=役割)」を決めること。
そのうえで、理念と整合する人を迎え入れることで、定着しやすく、チームとして長く機能する体制が生まれます。
採用はスタート地点。「誰を採るか」よりも、「どんな場所(=役割)をつくるか」を、まず考えてみてください。
関連記事
頭の中の“もやもや”を整理し、次の一歩を見つけたいときに
日々の診療や業務のなかで、「言葉にしづらい違和感」を抱える院長先生は少なくありません。
初回整理セッションでは、経営の前提となる“考え”を丁寧に言語化し、納得感のある方向性を一緒に見つけていきます。
即答よりも、「腑に落ちる」時間を大切にしています。まずは話すことから、整理がはじまります。
🗣️ 初回整理セッション(60分)
経営方針・組織づくり・診療体制・情報発信・人との関わり方など、幅広いテーマに対応。
“考えの整理”を通じて、先生の中にある答えを見つけていきます。