クリニックの患者が減ったときに確認したいこと|新規患者減少の原因を整理する
更新日:2026年10月4日
これまで一定数来院していた患者さん、とくに新規患者が以前より減っている。
そのような変化に気づくと、「集患を強化した方がよいのではないか」「広告やホームページを見直した方がよいのではないか」と考えることがあります。
しかし、患者さんが減った理由は、認知不足だけとは限りません。
地域の患者ニーズが変わった場合もあれば、予約が取りにくくなっている、電話がつながりにくい、新患を受け入れられる枠が減っているなど、自院側の受入体制が影響していることもあります。
最初に確認したいのは、「どう患者さんを増やすか」ではなく、「自院で何が起きているのか」です。
この記事では、特に新規患者が以前より減っている場合を中心に、数字や患者さんとの接点を確認し、何が変わったのかを整理する方法を紹介します。
先に確認したいこと
- 本当に患者数・新規患者数が減っているか
- 新患と再診のどちらが減っているか
- どの患者層・診療内容・時間帯で減っているか
- 患者ニーズ・認知・受診導線・受入体制のどこに変化があるか
- 減少前後で院内や地域に変化がなかったか
- 本当に新規患者を増やす必要があるか
患者が減ったと感じたら、新患と再診を分ける
患者数全体が減ったように感じた場合、最初に新患と再診を分けて確認します。
- 新規患者だけが減っている
- 再診患者も減っている
- 新患は減っているが再診は増えている
- 患者数自体は同程度だが、受診内容が変わっている
どの状態なのかによって、確認する内容は変わります。
例えば、新規患者は減っていても再診患者が増えているのであれば、クリニック全体の患者数や診療負担は減っていない可能性があります。
一方、新患・再診ともに減っている場合は、地域需要や診療内容、患者さんとの接点などをもう少し広く確認する必要があります。
この記事では、特に「以前と比べて新規患者が減っている場合」を中心に扱います。
開業後、想定より患者数が少ない場合
開業して間もなく、開業前の想定より患者数が少ない場合は、 クリニック開業後、患者数が想定より少ないときに確認したい7つのこと で整理しています。
本当に新規患者が減っているか確認する
感覚だけで判断せず、まず同じ条件で数字を比較します。
新規患者の数え方をそろえる
「新規患者」といっても、自院を初めて受診した患者さんなのか、電子カルテへの新規登録患者なのか、初診料を算定した患者なのかによって数字は異なります。
比較するときは、自院で使う「新規患者」の定義をそろえます。
前月だけで判断しない
新規患者が減ったように感じても、1か月だけの数字では判断しにくいことがあります。
- 直近3〜6か月の推移
- 前年同月との比較
- 診療日1日あたりの新規患者数
- 祝日や臨時休診の影響
などを確認します。
1か月だけ減っている場合と、複数月続けて減っている場合では、考え方が異なります。
最初に確認したい数字
- 月ごとの新規患者数
- 診療日1日あたりの新規患者数
- 前年同月との比較
- 直近3〜6か月の推移
- 新規患者を受け入れられる曜日・時間・予約枠
どの新規患者が減っているのか
新規患者全体の数字だけを見るのではなく、どこに変化が集中しているかを確認します。
診療内容・受診目的
- 急性症状
- 慢性疾患の初回相談
- 健診後の受診
- 予防接種・健康診断
- 専門外来や検査
- 紹介患者
患者層・時間帯
- 年齢層
- 居住地域
- 曜日
- 午前・午後
- 担当医
- 来院経路
例えば、特定の曜日だけ新規患者が減っているのであれば、地域全体の需要よりも、診療時間や新患枠、スタッフ体制などを先に確認した方がよい場合があります。
新規患者が減る理由を4つに分ける
原因を「集患不足」と一括りにせず、大きく4つに分けると整理しやすくなります。
| 考えられる状況 | 最初に確認すること |
|---|---|
| 患者ニーズそのものが減っている | 季節、患者層、地域人口、疾患構成、近隣医療機関 |
| ニーズはあるが、自院が知られていない | ホームページ、Google検索・マップ、紹介、地域への情報提供 |
| 知られているが、受診につながっていない | 診療内容の伝わり方、予約方法、電話、診療時間 |
| 受診したい患者はいるが、自院が受け入れにくい | 新患枠、待ち時間、スタッフ体制、診療能力 |
1.患者ニーズそのものが減っている
季節性疾患の流行、地域人口、年齢構成、健診時期などによって、新規受診の需要そのものが変化する場合があります。
また、近隣医療機関の開院・閉院や診療内容の変更などによって、患者さんの受診先が変わることもあります。
この場合、広告を増やしても以前と同じ患者数に戻るとは限りません。
2.ニーズはあるが、自院が知られていない
地域に対象となる患者さんがいても、自院が対応している診療内容が十分に伝わっていない場合があります。
この場合は、ホームページ、Google検索・マップ、紹介、地域への情報提供などを確認します。
「ホームページがあるか」だけではなく、患者さんが検索したときに、自分の症状や悩みを相談できる医療機関だと分かるかを見ることが大切です。
3.知られているが、受診につながっていない
検索やホームページ閲覧などの接点はあるのに新規患者が少ない場合は、認知よりも受診までの流れを確認します。
- この症状で受診してよいか分かるか
- 初診を受け入れていることが分かるか
- 診療時間と受付時間の違いが分かるか
- 予約方法が分かりやすいか
- 電話がつながるか
- 希望する時間に予約できるか
4.受診希望はあるが、自院が受け入れにくい
新規患者が減ったように見えても、実際には新患枠が少ない、予約が埋まっている、電話対応が難しいなど、受入側に理由がある場合があります。
例えば、既存患者の継続診療が増えたことで、新規患者を受け入れられる時間が以前より少なくなっているケースも考えられます。
この場合、認知を広げる前に院内運用を確認する方が優先です。
患者が減った前後で何が変わったのか
患者数の変化だけを見るのではなく、減少し始めた時期の前後で何が変わったのかを確認します。
院内の変化
- 診療時間や休診日を変更した
- 新患用の予約枠を減らした
- 予約方法を変更した
- 電話対応できる時間が変わった
- 医師やスタッフの勤務体制が変わった
- 対応する診療内容や受入条件を変更した
地域・外部環境の変化
- 近隣に新しい医療機関が開院した
- 近隣医療機関が閉院した
- 既存医療機関の診療時間や診療内容が変わった
- 紹介元の医療機関や関係者に変化があった
- 地域の人口や年齢構成が変化した
- 健診や予防接種などの運用が変わった
一つの出来事だけを原因と決めず、実際に減っている患者層や診療内容と一致するかを確認します。
一時的な変動かどうかも確認します
1か月程度の減少で、前年も同じ時期に変動している、祝日や休診などで説明できる場合は、一時的な可能性があります。
一方、複数月続いている、前年同月より減っている、複数の診療内容・来院経路で減っている場合は、継続的な変化として確認した方がよいでしょう。
本当に新規患者を増やす必要があるか
新規患者が以前より減っていても、「以前の水準まで戻す」ことが必ずしも最優先とは限りません。
次の状況も合わせて確認します。
- 既存患者の継続診療が増えていないか
- 現在の診療枠に余裕があるか
- 一人あたりの診療時間が長くなっていないか
- 待ち時間が長くなっていないか
- スタッフの負担が大きくなっていないか
- 現在の患者数で収支上の課題があるか
- 院長が今後どのような診療を続けたいか
| 状況 | 考え方 |
|---|---|
| 診療枠に余力があり、地域需要もある | 新規患者との接点を増やす余地がある |
| 検索・閲覧はあるが予約につながっていない | 来院前情報や予約導線を確認する |
| 新患枠が少ない・予約が取りにくい | 認知より先に受入体制を確認する |
| 既存患者への対応で診療枠が埋まっている | 単純に新規患者数を増やす必要があるか検討する |
原因に合わせて必要な対応を選ぶ
原因を整理すると、必要な対応も変わります。
最初から新しいシステムや広告を導入するのではなく、まず現在使っている人員、予約方法、ホームページ、患者さんとの接点、地域との関係で見直せることがないか確認します。
| 確認した状況 | 考えられる対応 |
|---|---|
| 一時的な変動 | 確認する数字と期限を決めて推移を見る |
| 予約や受付に支障がある | 現在の予約枠・受付・電話対応などを見直す |
| 診療内容が伝わっていない | 既存のホームページやGoogle上の情報を整える |
| 地域で十分知られていない | 情報発信や地域への周知を行い、必要に応じて広告を検討する |
| 受入能力が不足している | 予約枠、人員、業務分担、診療体制を確認する |
| 地域需要そのものが変化している | 今後どの患者層・診療を担うのか改めて考える |
院内で対応できることまで、必ず外部へ依頼する必要はありません。
一方、広告、ホームページ、システム、人事など専門的な対応が必要であれば、その分野に適した専門家や事業者へ確認する選択もあります。
まず自院で確認したい項目
すべてを細かく分析する必要はありません。まず、確認できる範囲から書き出してみます。
| 確認項目 | 見るもの |
|---|---|
| 新規患者は本当に減ったか | 直近3〜6か月、前年同月 |
| 診療日数の影響はあるか | 診療日1日あたり新患数 |
| どの患者が減ったか | 年齢、疾患、受診目的 |
| いつ減ったか | 曜日、午前・午後 |
| 来院経路は変わったか | 検索、紹介、看板、家族紹介など |
| 検索・閲覧などの接点は減っていないか | ホームページ・Google等で確認できるデータ |
| 問い合わせはあるか | 電話、Web予約、問い合わせ |
| 予約できる状態か | 初診枠、予約待ち日数 |
| 院内で変更はなかったか | 診療時間、受付、スタッフ、予約方法 |
| 地域で変更はなかったか | 近隣医療機関の開院・閉院、紹介元、患者ニーズ |
確認した結果、「原因が一つではなさそう」と分かることもあります。
その場合は、無理に一つの原因へ絞らず、影響が大きそうなものから順番に確認します。
まとめ|患者が減ったら、まず何が変わったかを確認する
患者数、とくに新規患者が以前より減ったからといって、すぐに集患施策を増やす必要があるとは限りません。
まずは、
- 本当に新規患者が減っているか
- 新患と再診のどちらが変化しているか
- どの患者層・診療内容で減っているか
- 患者ニーズ・認知・受診導線・受入体制のどこに変化があるか
- 院内や地域で何が変わったか
- 本当に新規患者を増やす必要があるか
を確認します。
広告や情報発信が必要な場合もあります。一方で、予約方法、受付、診療時間など、今ある仕組みを整える方が先の場合もあります。
大切なのは、「患者が減ったから何かをする」のではなく、現在何が起きているのかを確認したうえで、自院として必要な対応を選ぶことです。
患者数の変化について、何から確認するか整理しにくいときは
患者数、新規患者、予約、スタッフ体制、診療内容、患者さんとの接点、地域の変化などが重なると、どこから確認すればよいか分かりにくくなることがあります。
無料相談では、現在の状況やこれまでの経緯を伺いながら、何が変わっているのか、次に何を確認するのかを一緒に整理します。
まずは現在の状況を確認するところから
相談内容がまとまっていない段階でも構いません。
無料相談は、有料支援の利用を前提とした面談ではありません。
支援内容や料金を先に確認したい方は、経営相談の内容・流れ・料金をご覧ください。
