クリニックの新規患者が以前より減ったときに確認したいこと
更新日:2026年9月12日
これまで一定数来院していた新規患者が、以前より減っている。
そのような変化に気づくと、「集患を強化した方がよいのではないか」「広告やホームページを見直すべきではないか」と考えることがあります。
しかし、新規患者が減った理由は、認知不足だけとは限りません。
地域の患者ニーズが変わった場合もあれば、予約が取りにくくなっている、電話がつながりにくい、新患を受け入れられる枠が減っているなど、自院側の受入体制が影響していることもあります。
最初に確認したいのは「どう患者を増やすか」ではなく、「自院で何が起きているのか」です。
この記事では、新規患者数の変化を数字や患者接点から確認し、原因の可能性を整理したうえで、自院では何を見直す必要があるのかを考えます。
先に結論
- 本当に新規患者数が減っているか確認する
- どの患者層・診療内容・時間帯で減っているか分ける
- 患者ニーズ、認知、受診導線、受入体制のどこに変化があるか考える
- 減少前後の院内・地域の変化を確認する
- 本当に新規患者を増やす必要があるか確認する
- 原因に合わせて、必要な対応だけを選ぶ
「患者が減った」と感じたら、新患と再診を分ける
患者数全体が減ったように感じても、最初に新患と再診を分けます。
- 新規患者だけが減っている
- 再診患者も減っている
- 新患は減っているが再診は増えている
- 患者数は同程度でも受診内容が変わっている
どのパターンかによって、確認する内容は異なります。
この記事では、そのうち「以前と比べて新規患者が減っている場合」を中心に扱います。
開業後、患者数が想定より少ない場合
開業して間もなく、開業前の想定より患者数が少ない場合は、クリニック開業後、患者数が想定より少ないときに確認したい7つのことで整理しています。
本当に新規患者数が減っているか確認する
感覚だけで判断せず、まず同じ条件で数字を比べます。
新規患者の数え方をそろえる
自院を初めて受診した患者なのか、電子カルテへの新規登録患者なのか、初診料を算定した患者なのかで数字は異なります。
比較するときは、自院で使う「新規患者」の定義をそろえます。
前月だけで判断しない
- 直近3〜6か月の推移
- 前年同月との比較
- 診療日1日あたりの新規患者数
- 祝日や臨時休診の影響
などを確認します。
1か月だけ減っている場合と、数か月続けて減っている場合では意味が異なります。
最初に確認したい数字
- 月ごとの新規患者数
- 診療日1日あたりの新規患者数
- 前年同月
- 直近3〜6か月の推移
- 新規患者を受け入れられる曜日・時間・予約枠
どの新規患者が減っているのか
新規患者全体の数字だけではなく、どこに変化が集中しているかを確認します。
診療内容・受診目的
- 急性症状
- 慢性疾患の初回相談
- 健診後受診
- 予防接種・健康診断
- 専門外来や検査
- 紹介患者
患者層・時間帯
- 年齢層
- 居住地域
- 曜日
- 午前・午後
- 担当医
- 来院経路
例えば、特定の曜日だけ減っているのであれば、地域全体の需要よりも診療時間や受入枠を先に確認した方がよい場合があります。
新規患者が減る理由を4つに分けて考える
原因を「集患不足」と一括りにせず、大きく4つに分けると整理しやすくなります。
| 考えられる状況 | 最初に確認すること |
|---|---|
| 患者ニーズそのものが減っている | 季節、患者層、地域人口、疾患構成、近隣医療機関 |
| ニーズはあるが、自院が知られていない | ホームページ、Googleマップ、紹介、地域への情報提供 |
| 知られているが、受診につながっていない | 診療内容の伝わり方、予約、電話、診療時間 |
| 受診したい患者はいるが、自院が受け入れにくい | 新患枠、待ち時間、スタッフ体制、診療能力 |
1.患者ニーズそのものが減っている
季節性疾患の流行、地域人口、年齢構成、健診時期などによって、新規受診の需要そのものが変化する場合があります。
この場合、広告を増やしても以前と同じ患者数に戻るとは限りません。
2.ニーズはあるが、自院が知られていない
地域に対象となる患者がいても、自院が対応している診療内容が十分伝わっていない場合があります。
この場合は、ホームページやGoogleマップ、地域への情報提供などを確認する意味があります。
3.知られているが、受診につながっていない
ホームページの閲覧や問い合わせはあるのに予約が少ない場合は、認知よりも受診までの流れを確認します。
- この症状で受診してよいか分かるか
- 初診を受け入れていることが分かるか
- 予約方法が分かりやすいか
- 電話がつながるか
- 希望する時間に予約できるか
4.受診希望はあるが、自院が受け入れにくい
新規患者が減ったように見えても、実際には新患枠が少ない、予約が埋まっている、電話対応が難しいなど、受入側に理由がある場合があります。
この場合、認知を広げる前に院内運用を確認する方が優先です。
減少前後で何が変わったのか
院内の変化
- 診療時間や休診日を変更した
- 新患用の予約枠を減らした
- 予約方法を変更した
- 電話対応できる時間が変わった
- 医師やスタッフの勤務体制が変わった
- 対応する診療内容や受入条件を変更した
地域・外部環境の変化
- 近隣に新しい医療機関が開院した
- 既存医療機関の診療時間や診療内容が変わった
- 紹介元の医療機関や関係者に変化があった
- 人口や年齢構成が変化した
- 健診や予防接種などの運用が変わった
一つの出来事だけを原因と決めず、自院で実際に減っている患者層や診療内容と一致するかを見ます。
一時的な変動か、続く変化か
一時的な可能性がある場合
- 減少が1か月程度
- 前年も同じ季節に変動している
- 祝日、休診、天候などで説明できる
- 翌月以降に戻る動きがある
継続的な変化の可能性がある場合
- 複数月続いている
- 前年同月より減っている
- 複数の診療内容や来院経路で減っている
- 院内・地域の変化と時期が重なっている
一時的な可能性が高ければ、何となく待つのではなく、確認する数字と次に見る時期を決めます。
本当に新規患者を増やす必要があるか
新規患者数が以前より減っていても、「以前の水準まで戻す」ことが必ずしも最優先とは限りません。
次の状況も合わせて確認します。
- 既存患者の継続診療が増えていないか
- 一人あたりの診療時間が長くなっていないか
- 現在の診療枠に余裕があるか
- スタッフの負担が大きくなっていないか
- 待ち時間が長くなっていないか
- 現在の患者数で収支上の課題があるか
- 院長が今後どのような診療を続けたいか
新規患者を増やすことを検討しやすい場合
- 診療枠やスタッフ体制に余力がある
- 地域に対象患者の需要がある
- 自院が受け入れたい診療内容が明確
- 認知や情報提供の不足が確認できる
別の課題を先に見直した方がよい場合
- 初診予約が取りにくい
- 電話がつながりにくい
- 待ち時間やスタッフ負担が大きい
- 既存患者への対応で診療枠が埋まっている
- 診療内容や受入方針そのものが変化している
原因に合わせて、必要な対応を選ぶ
原因を整理すると、必要な対応も変わります。
最初から新しいシステムや広告を導入するのではなく、まず現在使っている人員、予約方法、ホームページ、患者さんとの接点、地域との関係で改善できることがないか確認します。
| 確認した状況 | 考えられる対応 |
|---|---|
| 一時的な変動 | 確認項目と期限を決めて推移を見る |
| 予約や受付に支障がある | 現在の運用を見直す |
| 診療内容が伝わっていない | 既存のホームページ等の情報を整える |
| 地域で十分知られていない | 情報発信、地域への周知、必要に応じて広告を検討する |
| 受入能力が不足している | 予約枠、人員、業務分担、診療体制を確認する |
| 地域需要そのものが変化している | 今後担う診療や患者層を改めて考える |
院内で対応できることまで、必ず外部へ依頼する必要はありません。
一方で、広告、ホームページ、システム、人事、法務など専門的な対応が必要であれば、その分野に適した専門家や事業者へ相談する選択もあります。
まず自院で確認したい項目
すべてを細かく分析する必要はありません。まず、確認できる範囲から書き出してみます。
| 確認項目 | 見るもの |
|---|---|
| 新規患者は本当に減ったか | 直近3〜6か月、前年同月 |
| 診療日数の影響はあるか | 診療日1日あたり新患数 |
| どの患者が減ったか | 年齢、疾患、受診目的 |
| いつ減ったか | 曜日、午前・午後 |
| 来院経路は変わったか | 検索、紹介、看板、家族紹介など |
| 検索・閲覧などの接点は減っていないか | HP・Google等で確認できる範囲のデータ |
| 問い合わせはあるか | 電話、Web予約、問い合わせ |
| 予約できるか | 初診枠、予約待ち日数 |
| 院内で変更はなかったか | 診療時間、受付、スタッフ、予約方法 |
| 地域で変更はなかったか | 開院・閉院、紹介元、患者ニーズ |
数字を確認した結果、「原因が一つではなさそう」と分かることもあります。
その場合は、無理に一つに決めず、影響が大きそうなものから順番に確認していきます。
まとめ|新規患者が減ったら、まず何が変わったかを確認する
新規患者が以前より減ったからといって、すぐに集患施策を増やす必要があるとは限りません。
- 本当に新規患者が減っているか
- どの患者層・診療内容で減っているか
- 患者ニーズ、認知、受診導線、受入体制のどこに変化があるか
- 院内や地域で何が変わったか
- 本当に新規患者を増やす必要があるか
を確認したうえで、必要な対応を選びます。
広告や情報発信が必要な場合もあります。一方、予約方法や受付、診療時間など、今ある仕組みを整える方が先の場合もあります。
大切なのは、「新規患者が減ったから何かをする」のではなく、現在何が起きていて、自院としてどのような患者さんを受け入れ、どのような診療を続けたいのかに照らして判断することです。
確認してみても、何を優先するか整理しにくいときに
新規患者数だけでなく、予約、スタッフ体制、診療内容、患者さんとの接点、地域との関係など複数の要素が重なると、どこから確認するか判断しにくくなることがあります。
無料相談では、現在の状況やこれまでの経緯、院長が気になっていることを伺い、次に何を確認し、どのように進めるのがよいかを一緒に整理します。
院長・院内で進められそうであればその方向を、他の専門家や事業者へ相談する方が適していればその方向も含めて考えます。
まえやまだ純商店が関わることで、状況や論点の整理、判断や行動を進めやすくなる場合は、その後の支援内容をご提案します。
