開業や経営の“もやもや”を整理し、納得して進むために。 ――医師の考えに伴走する、対話型の経営支援。

クリニック開業・経営コラム

物価高と新規患者減少|急性から慢性へ橋渡しするための院内導線設計


2025年の春以降、「新規の患者さんが減っている」という声を複数のクリニックで耳にするようになりました。
診療体制やスタッフに大きな変化がないにもかかわらず、患者数がじわりと減る。背景には、物価高だけでなく、生活者の“医療との向き合い方”が静かに変わり始めたことがあります。


受診行動の変化 ― 「急性は行く」「慢性は待つ」


発熱や胃腸炎などの急性疾患は、「今すぐ治したい」という切迫感があり、受診につながりやすい。一方で、高血圧や糖尿病といった慢性疾患は「今月は様子を見よう」と後回しにされがちです。


毎月の薬代・診察料が“固定費”として意識され、家計を圧迫する中で節約対象になってしまう。特に40〜60代の働き盛り層では「痛みがなければ受診しない」傾向が強まっています。



患者負担の一例(自己負担3割換算)



  • 糖尿病治療:月5,000〜8,000円前後(年間6〜10万円)

  • 急性疾患(インフル・胃腸炎など):1回3,000〜5,000円


“一度きりの出費”よりも、“毎月の固定費”が心理的に重く感じられる。これが、受診間隔の延伸や慢性疾患のフォロー離脱につながっています。



クリニックが取れる3つの方向性


① 急性疾患を“入口”として機能させる



  • ホームページや院内掲示で「発熱外来」「花粉症」「胃腸炎」など、具体的な対応を明示する。

  • 季節疾患(冬:インフル/春:花粉/夏:熱中症)に合わせて情報を更新し、「困ったときに頼れる」認知を確立する。


急性疾患で訪れた患者との接点を「信頼の入口」として活かす視点です。


② 慢性疾患への“橋渡し導線”を設計する



  • 急性受診時に血圧測定やHbA1cチェックを提案し、潜在リスクを“見える化”。

  • 地域健康チェックデー(自由診療)を開催し、健診機会の少ない層と接点をつくる。
    例:血圧測定は無料、HbA1c+脂質セットを1,000円などの低額で設定。

  • 医師会や自治体に趣旨を共有し、「地域の健康啓発活動」として協調を図る。


急性から慢性へ。単発の受診を“継続的な健康支援”に転換する仕組みです。


③ 費用情報を“安心材料”として伝える



医療広告ガイドラインに配慮しつつ、「患者の選択肢を広げる情報提供」として表現するのが安全です。



  • ジェネリック医薬品:同成分で薬剤費が2〜3割下がるケースがある。処方時に相談可能と掲示。

  • 公的制度:高額療養費制度や医療費控除など、自己負担を抑える仕組みを紹介。

  • 通院間隔の調整:病状が安定している場合は医師判断で間隔を調整できる旨を案内。



“安さの訴求”ではなく、“安心の可視化”。これが患者心理を支える第一歩です。


経営の視点から見たまとめ



  • 物価高は「急性=優先」「慢性=後回し」という受診構造を生む。

  • 急性疾患の接点を起点に、慢性疾患への継続支援へつなぐ設計が鍵。

  • 費用は“情報提供”として伝え、安心と信頼を積み重ねる。


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(注)本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診療判断・法的助言を行うものではありません。実施内容は所管ガイドライン・自治体ルール・医師会の運用実態をご確認のうえでご判断ください。


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