開業医の“お金の不安”をどう整理するか──正解よりも、自分の納得解を
30代・40代に重なるお金の不安
30代・40代は、人生のなかでも「お金の不安」が重なりやすい時期です。住宅ローンや教育費、老後資金に加え、親の介護や自分の健康も気になり始めます。
開業を考えている医師の方にとっては、「この先、生活していけるのか」「どこで開業すればうまくいくのか」といった問いがつきまとうのも自然なことです。
私自身も40代を迎え、小さな事業を営みながら日々を積み重ねています。収入の波や将来の不安を感じる瞬間は少なくありません。だからこそ同じ世代の先生方が抱える葛藤に、少しでも寄り添いたいと思いながらこの文章を書いています。
「正解」ではなく、「生き方」から考える
不安に向き合うとき、人はつい「正解」を探してしまいます。「どこなら安心か」「どうすれば患者さんが集まるか」といった問いに答えを求めるのは自然な反応です。
診療圏調査やシミュレーションも大切ですが、それだけでは心の不安は消えません。
大切なのは、「自分はどう生きたいのか」という視点です。
どんな日々を送りたいのか。家族との時間をどれだけ大切にしたいのか。地域でどんな役割を果たしたいのか。
この「生き方」を軸に考えることで、お金の不安は“迷い”ではなく“判断基準”へと変わっていきます。
相談でよくある3つの質問
これまでのご相談でも、次のような質問をよくいただきます。
「どこで開業すればいいでしょうか」
「どうすれば流行りますか」
「生活していけますか」
どれも大切な問いです。
ただ、その前にお話ししているのは、「何を提供して、どのように対価を得たいのか」ということです。
経営は数字の積み上げですが、その土台には“生き方の選択”があります。ここを見つめ直すだけでも、方向性が整理されていくのです。
「提供する価値」を言葉にする
ここでいう「提供するもの」とは、診療科目のことではありません。
たとえば「生活習慣病を長期的に見守りたい」「地域の高齢者に安心して相談してもらいたい」など、どんな価値を届けたいかという想いです。
この想いが“自分の軸”になります。軸があると、立地やサービスの選択もぶれず、困難に直面しても「なぜ開業したのか」を思い出せます。
逆に軸がないままでは、数字や周囲の声に振り回され、「これでよかったのか」と迷い続けることになりかねません。
正解を求めたくなる気持ちとどう向き合うか
「正解」を求めたくなるのは、人として自然なことです。
大きな投資の前に安心したい、医師として常に正答を出してきた、失敗を避けたい、家族や職員に説明責任がある――どれも理解できる理由です。
けれども、経営や人生に「唯一の正解」はありません。
だからこそ、「正解を探す」のではなく、「自分が納得できる解(納得解)」をつくることが大切です。
納得解は、他人に教えてもらうものではなく、対話や整理を通じて自分の中から見えてくるものです。
お金の不安を、整理の出発点に変える
お金の不安を完全に消すことはできません。
しかし、「自分はどう生きたいか」という軸を持てば、その不安は判断のための材料に変わります。
たとえば「家族との時間を大切にしたい」という軸があれば、診療時間やスタッフ体制の決め方が変わり、「地域で信頼される医療を続けたい」という軸があれば、情報発信や地域活動の方向性も定まっていきます。
このように、不安を“整理のきっかけ”に変えることが、納得のある経営につながります。
考えを整理するための対話から
初対面で「どう生きたいか」を語るのは勇気のいることです。
それでも、まずは考えを整理するための相手として話してみるだけで、新しい視点が見つかるかもしれません。
答えを急がず、少しずつ輪郭を描いていく時間を、私たちは大切にしています。
※本記事は2025年に執筆しました。
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