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クリニック開業・経営コラム

医師国保とは|開業医が制度を選ぶときに知っておきたい基本視点




医師国保(医師国民健康保険組合)は、各都道府県の医師会が運営する健康保険制度です。開業医本人とその家族、診療所スタッフが対象となり、開業・運営を考えるうえでの判断材料のひとつになります。この記事では、仕組みと特徴、国民健康保険・社会保険との違いを文章で丁寧に整理し、自院に合った制度を検討する際の基礎知識をまとめます。




1.医師国保とは


医師国保は、各都道府県の医師会が運営する公的医療保険制度で、医師会員およびその家族、診療所で働くスタッフが加入対象です。市町村が運営する国民健康保険や、企業・法人が加入する社会保険とは運営主体が異なり、医師という専門職集団に焦点を当てて設計されている点が特徴です。


具体的な保険料水準や給付内容、細かな取扱いは都道府県ごとの組合で異なります。加入の可否や金額は、所属見込みの医師会・組合の最新案内で必ずご確認ください。




2.加入対象と条件


加入の中心は、開業医本人とその家族、そして診療所スタッフです。前提として医師会への加入が必要になります。一方で、スタッフ数が概ね5人以上になると、事業所は「健康保険適用事業所」と見なされ、社会保険への加入が必要になります。採用を進める段階や、医療法人化を検討する段階では、将来的に制度の切り替えが生じ得ることを念頭に置いておくと安心です。




3.保険料の仕組み――定額制の特徴を理解する


多くの組合で保険料は収入に連動しない定額制です。開業初期のように収益が変動しやすい時期でも負担額が見通しやすく、資金計画を立てやすい点はメリットです。その一方で、世帯の人数によって加算が生じるため、扶養家族が多い場合には負担が増える傾向があります。収入が増えても保険料が一定であるため、所得が高い場合には国民健康保険より有利になるケースもあります。


つまり、安定性を重視するか、家族構成に応じた柔軟さを重視するか――このバランスの捉え方が、検討時のポイントになります。




4.国民健康保険・社会保険との違い(文章で整理)


まず運営主体が異なります。医師国保は都道府県の医師会が、市町村の国民健康保険は自治体が、社会保険は健康保険組合や協会けんぽがそれぞれ運営します。運営が異なれば、保険料の決まり方や給付の設計にも違いが生じます。


保険料の考え方にも差があります。国民健康保険は一般に所得に応じて保険料が増減しますが、医師国保は年齢や区分などに応じた定額制が基本です。社会保険は給与に比例して保険料が決まり、事業主と被保険者が折半します。したがって、収入が高いほど医師国保の定額制が有利に働く可能性がある一方、扶養が多い世帯では医師国保の負担が相対的に重くなる場合もあります。


加入対象の範囲も異なります。国民健康保険は自営業者や退職者など幅広い層をカバーしますが、医師国保は開業医とその家族・スタッフに限られます。社会保険は法人の職員など、いわゆる会社員を中心に適用されます。診療所が一定規模を超えて人員が増えると、医師国保から社会保険へ切り替える必要が生じる点は、採用計画と関連づけて押さえておきたいところです。


もう一つ、自家診療の扱いにも違いがあります。医師国保では自院での診療費を原則として保険請求できず、薬のみ請求可とされる場合があります。国民健康保険や社会保険では自家診療の請求が可能とされるのが一般的で、この相違は家族の受診の扱い、さらには会計・税務上の整理にも関わります。事前に所属予定の組合のルールを確認しておくと安心です。




5.実務でのチェックポイント


制度を選ぶタイミングは、開業の各種届出や医師会加入の手続きと並行して進めるとスムーズです。採用を強める予定がある場合は、スタッフ数が5人を超える見込みがないかを早めに点検し、社会保険への切り替えに伴う手続きや負担の変化を見積もっておきましょう。家族構成によって医師国保の負担感は変わるため、年間キャッシュフローに反映させておくと予期せぬ負担増を避けやすくなります。最後に、都道府県ごとに保険料や給付、細かな運用が異なる点は、必ず最新情報で確認してください。




6.まとめ――制度を「理解し、活かす」ために


医師国保は、開業医と家族・スタッフの生活を支える制度です。定額制による安心感は魅力ですが、家族構成や組織規模、今後の採用計画によって最適な制度は変わります。制度を“選ぶかどうか”という二択ではなく、自院の状況にどう活かせるかを考える判断材料のひとつとして整理することが、結果的に無理のない運営につながります。


本記事は一般的な解説です。具体的な適用・金額・取扱いは、所属見込みの都道府県医師国保組合の最新案内をご確認ください。





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