クリニック開業に必要な自己資金はいくら?|融資・生活費を含めた資金計画の考え方
クリニックの開業準備を進めるうえで、「自己資金をどの程度用意すべきか」は避けて通れないテーマです。
自己資金は単なる「お金の話」ではなく、院長としての覚悟と経営のスタートラインを示す指標でもあります。
この記事では、自己資金の基本的な考え方から、融資との関係・リスク・資金計画の立て方までを整理します。
1. なぜ「自己資金」が重要なのか
「自己資金ゼロでも開業できますか?」という質問を受けることがあります。
結論から言えば、自己資金ゼロでの開業は現実的ではありません。
金融機関は、自己資金を「経営者の本気度」や「計画性」を測る材料としています。
全額を融資に頼る場合、返済リスクの高さや経営への準備不足と見なされる可能性があり、希望額を満額借りられないこともあります。
つまり、自己資金は「融資を通すためのお金」ではなく、事業を持続させるための“土台”なのです。
2. 自己資金として認められるお金・認められないお金
金融機関は「どこから来たお金か」を重視します。
形式よりも、資金の出どころが明確で、返済義務のない純粋な資金であることが大切です。
✔ 自己資金として認められるもの
- 本人名義の預金・貯金
- 配偶者名義の預金
- 退職金や相続資金
- 生命保険の解約返戻金
- 不動産・車などの売却資金
- 親族からの贈与(贈与契約書がある場合)
✖ 自己資金として認められないもの
- 銀行など金融機関からの借入金
- 親族・知人からの借入金(契約の有無を問わず)
「借りて一時的に見せる資金(いわゆる“見せ金”)」は信用を大きく損なう行為です。
後の融資にも影響するため、絶対に避けましょう。
3. 自己資金ゼロで開業するリスク
自己資金がないまま開業を進めると、次のようなリスクが生じます。
- 融資審査が通りにくくなる
- 借入額が不足し、設備や人件費に制約が出る
- 開業直後の赤字期間に生活費が不足する
- 「見せ金」など不正な対応に巻き込まれるリスクが高まる
特に開業初期は、患者数が安定するまで時間がかかります。
生活費・運転資金を十分に見込めていない場合、経営よりも資金繰りに追われることになりかねません。
4. 自己資金の使い方と「生活費を含めた資金計画」
開業費用の多くは融資でまかなうことが可能ですが、自己資金をすべて開業費用に使ってしまうのは危険です。
開業後3〜6か月は、想定よりも収益化が遅れるケースが多く見られます。
この期間を安心して乗り切るために、次のようなバランスで資金を考えるのがおすすめです。
- 設備資金(医療機器・内装など)… 数百万円〜数千万円
- 運転資金(人件費・家賃・光熱費など)… 3〜6か月分
- 生活費 … 3〜12か月分を目安に確保
- 自己資金比率 … 総額の10〜30%程度が目安
生活費の確保を軽視すると、経営判断に焦りが生まれます。
「借りられるか」ではなく、「安心して続けられるか」という視点で資金を設計しましょう。
5. まとめ ― 数字よりも「姿勢」としての資金準備
自己資金は、単なる数字ではなく経営者としての姿勢を示すものです。
融資を引き出すための条件であると同時に、周囲から信頼される開業の第一歩でもあります。
「自己資金=経営への覚悟」。
借りる前に、自分の手で準備できることを一つずつ整えることが、安定したスタートにつながります。
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