クリニック創業時の自己資金の考え方

クリニックを開業する際、自己資金の確保・使い方は早い段階で整理しておくべき非常に重要なテーマです。ここでは、 「自己資金とは何か」「どのようなお金が自己資金と認められるか」「自己資金ゼロのリスク」、 さらに生活費を含めた資金計画の目安についてまとめます。
自己資金は「ゼロでは難しい」という現実
「自己資金ゼロでも開業できますか?」という質問をいただくことがありますが、結論としてはゼロでは難しいのが現実です。 金融機関の融資審査では、自己資金は「経営者としての本気度」や「計画性」を判断する重要な材料です。自己資金がまったくない場合、 融資条件が厳しくなったり、必要な額が借りられない可能性もあります。
自己資金として認められるもの/認められないもの
【自己資金として認められるもの】
- 本人の預金・貯金
- 配偶者名義の預金
- 退職金
- 相続資金
- 生命保険の解約返戻金
- 不動産や車などの売却資金
- 親族からの贈与(贈与契約書がある場合)
【自己資金として認められないもの】
- 金融機関からの借入金
- 親族・知人からの借入金(契約があるものを含む)
金融機関は「借入金ではない純粋な資金かどうか」を特に重視しています。
自己資金ゼロの開業リスク
- 融資審査が厳しくなる(返済力や本気度に疑念を持たれやすい)
- 開業後の収支が想定通りでない場合、返済プレッシャーが増す
- 一時的に資金を借り入れて見せかける「見せ金」は虚偽申告となり信用失墜につながる
- 資金の出どころやタイミングについて家族と認識を合わせる必要がある
自己資金と生活費・資金計画の目安
自己資金をすべて開業費用に回してしまうと、生活費や運転資金が不足し、経営が不安定になりかねません。 特に開業直後は黒字化までに時間がかかるケースが多いため、生活費と運転資金を含めたトータルの計画が欠かせません。
具体的な目安は以下の通りです。
- 設備資金(医療機器・内装・改装を含む):数百万円〜数千万円
- 運転資金(人件費・家賃・光熱費などの固定費):3〜6ヶ月分
- 生活費:3〜12ヶ月分
- 自己資金比率:全体の10〜30%程度が望ましい
まとめ
クリニック創業時の自己資金は、融資を引き出すための信用材料であると同時に、経営者としての覚悟を示すものです。 「開業資金 自己資金」「クリニック開業 資金計画」を検討する際は、単なる数字合わせではなく、 設備資金・運転資金・生活費をバランスよく組み合わせた全体像を描くことが、安定したスタートにつながります。
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