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クリニック開業・経営コラム

“作って終わり”にしないマニュアル運用|クリニックで根づく仕組みづくり



本記事は クリニック開業前のスタッフ研修で大切にしたい3つの視点 の続編です。
開業後に形骸化しがちな「マニュアル」を、どうすれば“現場で育つ仕組み”にできるのか――その運用の工夫を整理します。



マニュアルづくりは「作成」で終わりではありません。
むしろ、本当のスタートは「運用」から始まります。
診療・受付・清掃・発注など、日常業務の一つひとつを整理しても、更新されなければすぐに古くなり、“守られないルール”になってしまいます。
この記事では、“現場で使われ、育っていくマニュアル”をつくるための6つの工夫を紹介します。



1. チェックリスト化で“使われる”クリニックマニュアルにする


長文マニュアルは読まれません。
そこで、日常業務はチェックリスト形式に整理します。



  • 受付業務チェック表(開院前・診療中・閉院前)

  • 診療終了時の片付け表(器具・清掃・戸締り)

  • 在庫確認・発注表(頻度・担当・報告方法)


「読む」より「使う」。
実際にチェックを入れることで、行動が習慣化し、ルールが自然と定着していきます。




2. 定期的な“振り返り”でマニュアルを自然に更新する


月1回、10〜15分の短時間ミーティングを設け、「最近困ったこと」を共有しましょう。
出てきた課題を解決策とあわせてマニュアルに反映すれば、常に現場に沿った内容を保てます。


ポイントは、困りごと → 解決策 → マニュアル反映のサイクルを回すこと。
口頭で終わらせず、修正版を共有フォルダやバインダーに差し替え、「これが正」と明確にしておくと混乱を防げます。




3. 新人教育でマニュアルを“更新のきっかけ”にする


新人指導の場こそ、マニュアルを見直す好機です。
教える側が確認しながら説明することで、抜けや改善点が自然に見えてきます。
紙やPDFを見せるだけでなく、チェックリストと実地ロールプレイを組み合わせると理解度が上がり、現場のリアルに合った修正が進みます。




4. 改善提案を“歓迎する文化”をクリニック内に育てる


「マニュアル通りにやってください」だけでは形骸化します。
院長やリーダーが、「より良くする提案を歓迎する雰囲気」をつくることが大切です。
小さな提案でも試してみて、良ければ正式に反映。
その際に「なぜ変えたのか」を一言添えると、納得感をもって浸透します。




5. マニュアル更新の責任者を明確にする


「誰でも直せる」とすると、誰も直さなくなります。
事務長や看護師リーダーなど、マニュアル管理の責任者を一人決めましょう。
更新日・更新者・変更点を記録しておくと、いつ・誰が・何を修正したかが明確になり、継続的な改善につながります。
最初の数回は、院長自身が一緒に内容を確認し、改善の方向性を共有するとスムーズです。




6. 見直しの“頻度”をクリニックの成長段階に合わせて調整する


開業直後(0〜3か月)はトラブルや調整が多いため、週1回・10〜15分の短時間共有を。
小さな気づきを即反映することで、立ち上がりがスムーズになります。

運営が安定してきたら(4か月以降)は月1回の定例見直しへ。
無理なく続けることが、仕組みを文化に変える第一歩です。


短時間で成果を出すコツ



  • 15分で終えると決める

  • 発言は希望者のみ(負担を減らす)

  • 修正は翌週までに反映

  • 改善提案には必ず「ありがとう」を返す




まえやまだ純商店の支援スタンス


当社では、マニュアルを外部で作り込む支援は行っていません。
なぜなら、マニュアルは現場で使われ、更新されてこそ意味があるからです。
私たちの役割は、章立てや優先順位、改善の仕組みづくりといった「初期の枠組み」を一緒に整えること
そのうえで、最終的に運用・改善を担うのは、院長先生とスタッフの皆さん自身です。


外部が作り込みすぎると“借り物のルール”となり、定着しません。
現場主体で回る仕組みは、自分たちの声が反映されるため、自然と使われ続けます。
私たちは「仕組みを共に作り、院内で自走できるよう伴走する」スタンスで支援しています。




意識したい視点


マニュアルは業務効率のためだけではなく、「患者さんの安全と安心を守るための仕組み」です。
この共通認識があると、スタッフ全体の姿勢が変わり、改善が“文化”として根づいていきます。




まとめ


マニュアルは全員で育てる資産です。
チェックリスト化・定期振り返り・新人教育・改善提案・責任者設定・見直し頻度の調整。
これらを組み合わせることで、形骸化せず進化し続ける仕組みになります。
“守るため”ではなく“支えるため”のマニュアルを、クリニックの文化として根付かせましょう。


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こうした仕組みづくりの第一歩を整理したい先生へ。
現場のマニュアルや運用ルールをどう“育てていくか”を、一緒に整理してみませんか。




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