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クリニック開業・経営コラム

クリニック経営が厳しいと感じたときに確認したいこと

更新日:2026年9月18日

クリニック経営について、次のように感じる院長は少なくありません。

「患者数は極端に悪くないのに、利益や時間の余裕がない」
「忙しく診療しているのに、人件費や固定費の重さを感じる」
「制度対応やスタッフ対応が増え、何から見直せばよいのか分からない」

クリニック経営が厳しいと感じるとき、それは必ずしも「患者さんが来ない」「売上が大きく減った」という話だけではありません。

患者数が伸びないからホームページを見直すべきなのか。スタッフが忙しいから採用するべきなのか。それとも、予約や受付などの院内運用を先に見直すべきなのか。

複数の課題が重なると、目の前で起きていることと、その背景にある原因が混ざり、どこから手を付けるべきかが見えにくくなります。

経営が厳しいと感じたときは、すぐに一つの施策を選ぶのではなく、まず次の4つの視点から現在の状況を確認します。

  • 数字:患者数、売上、利益、固定費
  • 業務:予約、受付、診察、会計までの流れ
  • 人:採用、定着、役割分担、スタッフの負担
  • 患者さんとの接点:ホームページ、予約、来院までの流れ

この記事では、クリニック経営が厳しいと感じる背景と、何をどの順番で確認すればよいのかを整理します。

クリニック経営が厳しいと感じる主な理由

クリニック経営が厳しいと感じる背景は、一つではありません。

  • 人件費や物価の上昇により、利益が残りにくくなっている
  • スタッフの採用や定着が難しくなっている
  • 診療報酬を含む収入を大きく伸ばしにくい
  • システム費用や外部サービス費用が増えている
  • 制度改定や施設基準への対応が増えている
  • 予約、問診、会計などの院内運用を見直す必要がある

患者数や売上を維持していても、同じ運営方法を続けるために必要な費用や労力が増えれば、院長が感じる経営の余裕は小さくなります。

また、欠員が出れば採用、患者数が伸びなければ集患、電話対応が増えればシステム導入というように、目の前の問題ごとに施策を追加すると、院内運用が複雑になることもあります。

クリニック経営が厳しいという感覚は、売上だけの問題ではなく、現在の運営方法を見直す時期に来ていることの表れでもあります。

「厳しい」は赤字だけを意味しない

クリニック経営が厳しいと聞くと、患者数の減少や赤字を想像するかもしれません。

もちろん、患者数、売上、利益、資金繰りは重要です。

ただし、数字だけでは説明しきれない厳しさもあります。

  • 患者数はあるが、院長やスタッフの負担が大きい
  • 売上は維持しているが、人件費や固定費が増えている
  • 院長の診療時間を増やさなければ、売上を維持しにくい
  • 欠員や残業を院長や一部のスタッフが補っている
  • 新しい提案を比較し続けているが、決めきれない
  • スタッフへ説明する前に、院長自身の考えがまとまっていない

表面的には経営が回っていても、院長の中で「このままでよいのだろうか」という違和感が積み重なることがあります。

経営が厳しいという感覚は、赤字だけで生まれるものではありません。

売上を維持するために、院長やスタッフの時間と負担を増やし続けなければならない状態も、運営方法を見直す兆候の一つです。

まず4つの視点から現在の状況を確認する

経営環境が変わっているからといって、必ずしも大きな投資や新しい取り組みから始める必要はありません。

まずは、現在の診療や運営を4つの視点に分けて確認します。

1.数字|患者数や売上だけでなく、利益や負担との釣り合いを見る

  • 患者数、売上、利益はどのように推移しているか
  • 人件費、委託費、システム費などが増えていないか
  • 売上を維持するために、診療時間や院長の負担が増えていないか

患者数や売上だけを見ていると、運営負担の増加や利益の減少を見落とすことがあります。

2.業務|予約から会計までの流れに無理がないかを見る

  • 予約から受付、診察、会計までの流れに滞りはないか
  • 電話、問診、予約変更などに時間を取られすぎていないか
  • 一部のスタッフや院長に業務が集中していないか

スタッフを増やす前に、現在の業務の流れを見直すことで負担を減らせる場合もあります。

3.人|採用の前に役割分担や業務量を確認する

  • 院長、看護師、医療事務などの役割分担は明確か
  • 欠員が出た業務を、そのまま同じ職種で補う必要があるか
  • 採用後の教育や定着まで含めて運用できるか

欠員が出たからすぐに求人を始めるのではなく、業務を減らせないか、役割を変更できないかを確認することも大切です。

4.患者さんとの接点|認知から予約・来院までを見る

  • ホームページの内容は、現在の診療内容と合っているか
  • 自院がどのような患者さんを支えたいのか伝わっているか
  • 予約方法や受診の流れは分かりやすいか

患者数が伸びない場合でも、必ずしも広告やSEOだけが課題とは限りません。

ホームページ、予約の取りやすさ、院内の受入体制を一つの流れとして確認する必要があります。

最初に確認したい4つの視点

  • 数字:患者数・売上・利益・固定費
  • 業務:予約・受付・診察・会計までの流れ
  • 人:採用・定着・役割分担
  • 患者さんとの接点:認知・ホームページ・予約・来院

施策を決める前に、経営が厳しい原因を分ける

経営が厳しいと感じると、すぐに具体的な施策へ進みたくなることがあります。

  • 患者数が少ないから、ホームページを作り直す
  • スタッフが忙しいから、新たに採用する
  • 電話対応が大変だから、新しいシステムを入れる

ただし、目の前の困りごとと、その背景にある原因が同じとは限りません。

患者数が伸びないように見えても、予約枠が取りにくい、診療内容が伝わっていない、受入体制に余裕がないなど、背景は異なります。

スタッフが忙しい場合も、採用だけでなく、業務フローや役割分担を見直した方がよいことがあります。

原因を整理しないまま施策を決めると、費用や手間をかけても、現場の負担だけが増える可能性があります。

施策を選ぶ前に、本当に判断する課題を確かめます。

現在起きていること、背景にある事情、事実として確認できていることを分けることで、原因と対応のずれを減らしやすくなります。

判断するときは、次の順番で確認します。

  • 現在、何が起きているのか
  • これまでどのような経緯があったのか
  • 事実として確認できていることは何か
  • 本当に判断する必要がある課題は何か
  • 自院として何を判断基準にするのか

院長一人では整理しにくいときは、論点を分ける

院長は、診療だけでなく、患者対応、スタッフ対応、採用、制度対応、システム導入など、複数の判断を同時に担っています。

そのため、複数の課題が重なると、現在もっとも困っていることと、本当に判断する必要がある課題が混ざることがあります。

一人で考え続けるよりも、次のように論点を分けることで整理しやすくなります。

  • 今すぐ決める必要があることは何か
  • 後から確認してもよいことは何か
  • 誰に何を確認する必要があるか
  • 比較する選択肢は何か
  • 今回は見送る場合、どのような理由を持てるか

現状や論点、判断基準が整理されると、次に何を確認し、何を決めればよいのかが見えやすくなります。

まとめ|今すぐ変えることと、時間をかけて整えることを分ける

クリニック経営が厳しいと感じる背景には、人件費や固定費、採用、制度対応、院内運用、患者さんとの接点など、複数の課題があります。

そのため、いきなり一つの施策へ進むのではなく、まず数字、業務、人、患者さんとの接点という4つの視点から現在の状況を確認します。

その上で、何が起きているのか、背景に何があるのか、本当に判断する課題は何かを分けていきます。

すべてを一度に変える必要はありません。

今すぐ対応すること、後から確認すること、今回は見送ることを分けることで、自院として次の一手を考えやすくなります。

また、目の前の応急処置だけではなく、院長やスタッフが無理なく続けられる運営になっているかを考えることも大切です。

現在の状況と判断基準を整理し、自院として次に何をするかを考えること。

それが、無理なく診療を続けていくための土台になります。

何から見直すべきか、整理しきれないときは

クリニックの開業・経営について相談内容をご確認ください

クリニック経営が厳しいと感じていても、患者数、スタッフ、費用、院内の業務など、複数のことが重なると、どこから確認すればよいのか分かりにくくなることがあります。

まえやまだ純商店では、現在起きていることやこれまでの経緯、今ある人員・業務・仕組みなどを確認したうえで、自院として次に何をするのかを一緒に考えます。

相談内容が最初から整理されている必要はありません。どのような場面で相談できるのか、まずは内容をご確認ください。

ご自身や院内で進められる内容であれば、そのまま進めていただいて構いません。当方が関わることで判断や行動を進めやすくなる場合には、対応内容をご提案します。

まえやまだ純商店 前山田純

この記事を書いた人

前山田 純 まえやまだ純商店

2011年から医療機関の開業・経営支援に従事。院長が一人では整理しきれない経営課題について、現状や背景、論点、選択肢を整理し、自院として納得して次の一手を判断しやすい状態づくりを支援しています。

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