ベースアップ評価料|令和8年度の提出対応の全体像を自院の区分別に整理【院長の経営相談Q&A】
本記事は「院長の経営相談Q&A」および「診療報酬改定(2026年)/ベースアップ評価料」に関する整理記事です。
令和8年度の制度移行に伴う提出対応を、自院の区分別に整理します。
本記事は、厚生労働省が公表している令和8年度ベースアップ評価料の届出・報告関係資料をもとに、無床診療所を中心に整理しています。今後、疑義解釈や事務連絡等が追加で公表された場合には、内容を順次更新していきます。
ベースアップ評価料について、「すでに算定している場合も改めて届出が必要なのか」「令和8年6月から新たに算定する場合は何を確認すればよいのか」と迷う院長は少なくありません。
今回の制度移行では、単に提出期限だけを見るのではなく、自院がどの区分に当たるのかを先に整理することが大切です。提出様式や提出時期の違いは、作業の違いというより、自院の制度上の位置づけの違いを意味するからです。
なお、制度の一次情報は厚生労働省の以下ページで確認できます。
まず整理するのは「自院がどの区分か」です
令和8年度の提出対応で最初に確認したいのは、次の3点です。
- 令和8年5月以前からベースアップ評価料を算定しているか
- 令和8年6月から新たに算定するか
- 外来・在宅ベースアップ評価料(I)のみか、それ以外も関係するか
様式95・96・98の違いも、提出作業の違いではなく、こうした区分整理の結果として見えてくるものです。先に様式を見に行くより、自院の位置づけを確かめる方が考えやすくなります。
実際の様式の分かれ方を確認したい場合は、以下の早見表も参考になります。
ベースアップ評価料の届出に必要な様式 早見表<令和8年度版>
令和8年5月以前から算定している医療機関
まず押さえておきたいのは、すでに算定していても、令和8年6月以降も継続するには改めて届出が必要になるという点です。
「すでに出しているから自動で継続できる」とは考えず、制度移行に伴う再整理が必要だと受け止めた方が安全です。
継続算定の場合の流れ
- 令和8年5月:届出書提出
- 令和8年6月:新制度による算定開始
- 令和8年8月:令和7年度賃金改善実績報告書、令和8年度賃金改善中間報告書を提出
つまり、5月の届出だけで終わる制度ではなく、年度を通じて提出対応が続く前提で見ておく必要があります。
継続算定の場合の全体像は、以下の公表資料でも確認できます。
【令和8年5月以前にベースアップ評価料を算定している医療機関・訪問看護ステーション向け】手続きスケジュール
令和8年6月から新たに算定する医療機関
令和8年6月から新たに算定する場合も、5月中の届出が前提になります。算定開始月だけを見て判断するのではなく、その前月までの準備として捉えておくことが大切です。
新規算定の場合の流れ
- 令和8年5月:届出書提出
- 令和8年6月:算定開始
- 令和8年8月:令和8年度賃金改善実績報告書、令和8年度賃金改善中間報告書を提出
すでに算定している医療機関と、新たに算定する医療機関では、8月に求められる報告の見え方も変わります。自院がどちらに当たるかを先に押さえておくと混乱しにくくなります。
新たに算定する場合の流れは、以下の公表資料も参考になります。
【令和8年6月以降にはじめてベースアップ評価料を算定する医療機関・訪問看護ステーション】手続きスケジュール
令和8年度ベースアップ評価料の提出対応スケジュール
今回の制度移行は、単一の届出ではなく、年度を通じて複数の提出対応が発生します。スケジュールを把握する目的は、単なる作業管理というより、制度運用の全体像を見失わないための前提整理にあります。
| 時期 | 主な対応 | 見ておきたい点 |
|---|---|---|
| 令和8年5月 | 届出書提出 | 継続算定でも再届出が必要か、新規算定かで整理が分かれる |
| 令和8年6月 | 新制度での算定開始 | 制度の理解だけでなく、自院の運用方針も確認したい時期 |
| 令和8年8月 | 実績報告書・中間報告書の提出 | 5月届出だけで終わらない制度であることを確認する |
| 令和9年5月 | 継続算定のための届出 | 外来・在宅ベースアップ評価料(I)のみ継続算定の場合は不要となるケースあり |
| 令和9年8月 | 実績報告書・中間報告書の提出 | 継続算定を前提に、翌年度も見通して整理する |
提出作業の一覧として眺めるだけでなく、「自院はこの制度をどの区分で、どこまで継続していくのか」を考える材料としてスケジュールを見ると、実務と判断が切り離されにくくなります。
必要様式はどう分かれるのか
無床診療所では、代表的な様式として様式95・96・98が出てきます。ただし、これを「どれを出せばよいか」という順番で見るとわかりにくくなります。
先に確認したいのは、外来・在宅ベースアップ評価料(I)のみなのか、(II)も関係するのか、既存算定か新規算定か、といった区分です。様式はその結果として決まってくるため、提出様式の整理は制度理解ではなく区分整理の一部として見る方が自然です。
とくに、外来・在宅ベースアップ評価料(I)のみを継続算定する場合には、翌年度の届出が不要となるケースもあるため、単年度の締切確認だけでなく、継続運用まで含めて見ておく必要があります。
提出対応は「期限」だけでは整理できません
ベースアップ評価料は、届出期限だけで判断してよい制度ではありません。
対象職員の範囲、賃上げ原資の見通し、継続算定の前提、評価料(I)と(II)の考え方によって、整理の仕方は変わります。提出様式は結果であり、先に整理するべきなのは、自院としてこの制度をどう位置づけるかという点です。
届出期限そのものの考え方や、「期限だけで判断してよい制度なのか」という入口の整理は、以下の記事でまとめています。
これも読んでほしい
ベースアップ評価料については、届出期限の考え方、算定判断、患者負担、スタッフ説明、経営上の位置づけなど、論点ごとに整理して読むと考えやすくなります。
制度の理解だけでは、判断が決まりきらないこともあります
ベースアップ評価料について資料を読んでいくと、「制度としてはわかるが、自院の場合をどう整理すればよいか」で迷いが残ることがあります。
算定するかどうか、どの区分に当たるのか、継続算定をどう考えるか。そうした整理が必要なときは、考えを言葉にしながら整えていく方法もあります。