まえやまだ純商店

クリニック開業・経営コラム

2026年 ベースアップ評価料の実績報告・中間報告|対象・期限・提出対応を整理

更新日:2026年8月25日
この記事は、2026年8月25日時点の厚生労働省・地方厚生局の公表資料をもとに、主に無床診療所向けに整理しています。提出時には、最新の公式資料と管轄の地方厚生局の案内をご確認ください。

2026年8月のベースアップ評価料では、次の点を確認する必要があります。

  • 実績報告書と中間報告書のどちらを提出するのか
  • 令和7年度分と令和8年度分で、どの様式を使うのか
  • 令和8年度から算定を始めた場合も中間報告が必要なのか
  • 受理された区分とレセコンの請求設定が一致しているか

今回の対応では、令和7年度算定分の賃金改善実績報告書と、令和8年度算定分の賃金改善中間報告書を分けて考えます。

令和8年度の中間報告は、原則として令和8年6月・7月の賃金改善実績が対象です。ただし、令和8年8月以降に新たに算定する場合、中間報告書は不要と案内されています。

最初に確認すること

  1. 令和7年度に算定していたか
  2. 令和8年度の何月から算定を始めたか
  3. 必要な報告書と最新の様式はどれか
  4. 提出先と提出方法は何か
  5. 受理された区分とレセコン設定が一致しているか

2026年8月に確認する報告書

令和7年度に算定していた場合

令和7年度にベースアップ評価料を算定していた医療機関は、2026年8月に令和7年度算定分の賃金改善実績報告書を提出します。

給与台帳や会計資料をもとに、主に次の内容を確認します。

  • ベースアップ評価料等による収入実績額
  • 対象職員に行った賃金改善額
  • 基本給や毎月支払う手当への反映状況
  • 賞与、時間外手当、法定福利費への影響
  • 対象職員数や給与総額
  • 収入実績額と賃金改善額との差分

令和8年6月・7月に算定していた場合

令和8年6月または7月にベースアップ評価料を算定していた医療機関は、令和8年度算定分の賃金改善中間報告書を確認します。

報告対象は、原則として令和8年6月・7月の賃金改善実績です。4月から賃上げを行っていた場合でも、4月・5月分は中間報告書に記載する欄がありません。

両方の報告書が必要になる場合

令和7年度から継続して算定し、令和8年6月・7月にも算定していた場合は、令和7年度算定分の実績報告書と令和8年度算定分の中間報告書の両方を確認します。

判断に迷う場合は、医療機関コード、算定開始月、各年度の算定状況を整理し、管轄の地方厚生局へ確認してください。

提出期限と提出方法

2026年8月の報告は、原則として8月31日までの提出が案内されています。提出先、メールアドレス、ファイル名などは、管轄の地方厚生局の案内を確認します。

Excelファイルでの提出が基本です。PDFへの変換、パスワード設定、ZIP形式での圧縮、クラウド上の共有リンクなどは受理されない場合があります。

施設基準等の8月定例報告とは別の報告です
ベースアップ評価料の実績報告書・中間報告書と、施設基準等の8月定例報告は分けて管理してください。

令和7年度分と令和8年度分で使用する様式が異なる

令和7年度算定分の実績報告書と、令和8年度算定分の中間報告書では、使用するExcelファイルが異なります。

  • 令和7年度算定分:令和7年度の実績報告書様式
  • 令和8年度算定分:令和8・9年度算定分の実績・中間報告書様式

以前保存したファイルを流用せず、提出時点の厚生労働省の公式ページからダウンロードしてください。

様式番号だけで判断しない

「様式98」などの番号だけで探すと、過年度の様式や、届出用と報告用の様式を取り違える可能性があります。

  • 対象年度
  • 書類の正式名称
  • 自院の算定区分
  • ファイルの更新日

以上をセットで確認します。

令和8年度分から賃金改善計画書は不要

令和8年度算定分からは、賃金改善計画書の作成・提出は不要です。一方、令和7年度算定分の実績報告では、過去に提出した計画書が当時の届出内容を確認する資料になる場合があります。

提出前に今やること

1.給与・会計資料をそろえる

  • ベースアップ評価料の算定額が分かる資料
  • 給与台帳・賃金台帳
  • 対象職員の一覧
  • 基本給や手当の変更記録
  • 賞与、時間外手当、法定福利費が分かる資料
  • 以前提出した届出ファイルや報告書

2.対象職員を確認する

院内で勤務している全員が、同じように対象になるとは限りません。医師・歯科医師、経営者、法人役員、業務委託者などは、年齢、立場、契約内容により取扱いが異なります。

過年度の対象者をそのまま使用せず、最新の様式と説明資料に沿って確認してください。

3.収入実績額と賃金改善額を照合する

ベースアップ評価料等による収入実績額と、対象職員に行った賃金改善額を照合します。

賃金改善額には、制度上認められる範囲で、基本給や毎月支払う手当のほか、賃上げに伴う賞与、時間外手当、法定福利費の事業主負担分などが含まれる場合があります。

令和7年度からの繰越額などには別の取扱いがあるため、当年度の収入額と給与の増加額だけを単純に比較しないようにします。

4.差額が生じた理由を整理する

収入実績額と賃金改善額に差がある場合は、次のような原因を確認します。

  • 算定件数の増減
  • 職員の入退職や勤務時間の変更
  • 基本給や手当を変更した時期
  • 賞与、時間外手当、法定福利費の増加
  • 前年度からの繰越額
  • 集計期間や集計方法の違い

5.スタッフへの説明を整理する

報告書を提出できても、誰が賃上げの対象なのか、なぜ支給額に差があるのか、今後も同じ金額が支給されるのかなど、スタッフへの説明が必要になる場合があります。

制度の説明だけでなく、自院ではどのような考え方で給与へ反映しているのかを整理しておくことが大切です。

対象職員と賃金改善額の注意点

院長本人や法人役員を自動的に含めない

院長本人、経営者、法人役員などを、一般の従業員と同じように対象職員へ含められるとは限りません。役員報酬や雇用関係など、実際の立場を確認します。

医師・歯科医師の取扱いを一律に判断しない

令和8年度の区分計算では、40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師数などを用いる項目があります。年齢、勤務形態、経営者や役員に該当するかを確認してください。

入金額と給与増加額だけで判断しない

報告書では、賞与、時間外手当、法定福利費、過年度からの繰越額なども様式の定義に沿って確認します。単純に入金額と給与の増加額だけを比較しないことが重要です。

ケース別に確認したいこと

令和8年度から算定を始めた場合

令和8年度から新たに算定を始めた医療機関は、算定開始月によって今回の中間報告書の要否が異なります。

  • 令和8年6月・7月に算定していた場合:中間報告書を確認する
  • 令和8年8月以降に算定を始めた場合:今回の中間報告書は不要

算定開始月、施設基準の受理状況、実際に請求を始めた月、賃上げを開始した時期を整理してください。

新規開業の場合も算定開始月を確認します
2026年8月以降に開業し、同月以降に初めて算定する場合、今回の中間報告書は不要です。ただし、今後の実績報告に備え、算定開始時から給与資料や算定額の記録を保存しておく必要があります。

算定区分を変更した場合

旧区分と新しい区分の対象期間を混同しないようにします。地方厚生局が受理した区分、変更後の算定開始月、レセコンの設定内容を確認してください。

職員の入退職などがあった場合

現在在籍している職員だけで集計せず、報告対象期間に在籍していた職員と各月の勤務状況を確認します。

確認先を分ける

  • 提出対象、様式、施設基準:地方厚生局
  • 対象職員、給与計算、社会保険:社会保険労務士
  • 会計処理や税務:税理士
  • レセコンの請求設定:保守事業者

受理区分と診療報酬請求を照合する

2026年8月診療分以降の請求に注意

厚生労働省は2026年8月19日、施設基準の届出内容と診療報酬の請求内容に疑義が生じている医療機関等が見られるとして、受理内容を改めて確認するよう注意喚起しました。

報告書の提出とは別に、次の3点を照合します。

  1. 地方厚生局が受理した評価料の種類・区分
  2. レセコンに登録されている種類・区分
  3. 2026年8月診療分以降に実際に請求している内容

届出書を提出していても、希望した区分で受理されているとは限りません。また、受理内容が正しくても、レセコンが以前の設定のままになっている可能性があります。

受理通知や届出の控えを確認し、必要に応じて地方厚生局とレセコンの保守事業者へ確認してください。

報告書と請求内容は分けて確認します
実績報告書・中間報告書を正しく提出していても、請求区分が受理内容と異なっていれば問題が残ります。

制度対応と院長の判断を分ける

区分 主な内容
制度上の確認 提出対象、期間、様式、施設基準、受理区分
専門家等への確認 給与計算、社会保険、会計処理、レセコン設定
院長の判断 給与への反映、院内説明、算定継続、管理方法

提出様式が分かっても、スタッフへの説明や今後の支給方法まで自動的に決まるわけではありません。制度上の確認、専門家への確認、院内での判断を分けると、対応が止まっている場所を把握しやすくなります。

翌年度に備えて毎月確認する

  • 評価料による収入額
  • 対象職員数
  • 基本給・手当による賃金改善額
  • 賞与、時間外手当、法定福利費への影響額
  • 収入額と賃金改善額との差分

完成した報告書だけでなく、給与台帳、計算に使用した一覧表、対象職員の判断根拠も保存します。

まとめ|報告書と請求内容を順番に確認する

2026年8月は、令和7年度算定分の実績報告書と、令和8年度算定分の中間報告書を分けて確認します。

中間報告は原則として令和8年6月・7月分が対象です。令和8年8月以降に新たに算定する場合、今回の中間報告書は不要です。

今やることは次のとおりです。

  • 各年度の算定状況と算定開始月を確認する
  • 必要な報告書と最新のExcel様式を確認する
  • 評価料収入と賃金改善額を照合する
  • 対象職員の範囲を確認する
  • 受理区分とレセコン設定を照合する
  • 制度上の確認と院内の判断を分ける

参考資料

提出期限や提出方法は、必ず自院を管轄する地方厚生局の最新情報をご確認ください。

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まえやまだ純商店 前山田純

この記事を書いた人

前山田 純まえやまだ純商店

2011年から医療機関の開業・経営支援に従事。院長が一人では整理しきれない経営課題について、現状や背景、判断すべき論点、選択肢を整理し、自院として判断しやすい状態づくりを支援しています。

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