正解を急がず、 クリニック経営で重なりやすい論点を整理するために。 患者さんの視点も踏まえながら、 開業準備や日々の経営で迷いやすい場面の前提を整える時間です。

クリニック開業・経営コラム

なぜ私はクリニック経営の実務代行を行わないのか ──2026年診療報酬改定から考える診療所の役割と責任

更新日:2026年4月11日

クリニック経営の相談を受けていると、「実務の代行はお願いできますか?」と聞かれることがあります。
たとえば届出対応や採用、業者調整、日常運営の整理など、院長が一人で抱えきれない仕事が増える場面は少なくありません。

その一方で私は、基本的に実務代行は行っていません。
それは、私が担いたいのが「作業」そのものではなく、「院長が自院の役割と責任を整理し、納得して判断するプロセス」だからです。

※本記事は令和8年度診療報酬改定の制度設計および2026年4月11日時点で公表されている資料をもとに整理しています。

実務代行が必要な場面は、たしかにあります

まず前提として、実務代行そのものを否定したいわけではありません。

開業準備やクリニック運営の現場では、実務を誰かが支える必要がある場面は確かにあります。

特に

  • 開業前後の準備が重なる時期
  • スタッフ体制がまだ整っていない時期
  • 院長が診療に集中する必要がある時期

こうした局面では、代行型支援が大きな意味を持つこともあります。

だからこそ私は、「代行が不要」と考えているわけではありません。

そのうえで、自分が担う役割をあえて限定しています。

私が支援しているのは「実務」ではなく「判断整理」です

クリニック経営では、日々さまざまな判断が発生します。

  • 何を優先するのか
  • どこまで引き受けるのか
  • 誰に任せるのか
  • 地域の中でどんな役割を持つのか

制度の理解や情報収集によって整理できる部分もありますが、 「自院としてどう考えるか」 という部分は院長自身の判断になります。

私は、この判断を整理するプロセスを支援しています。

情報が増えた時代ほど、判断は難しくなっています

現在は、クリニック経営に関する情報が非常に増えています。

  • 制度解説
  • 成功事例
  • SNS発信
  • AIによる整理

その結果、

情報は理解できている
制度も読めている
でも判断が決まらない

という状態がむしろ増えています。

だからこそ私は

正解を提示する支援ではなく
納得解を整理する支援

を重視しています。

2026年診療報酬改定が問いかけているもの

2026年の診療報酬改定は、単に点数が変わる改定ではなく、 診療所が地域の中でどの役割を担うのか を問いかけている改定だったと感じています。

継続的な管理
地域との連携
体制の維持
役割の可視化

こうした評価の方向性は共通しています。

制度の構造面については 外来機能分化という構造から読み解くクリニックの役割 でも整理しています。

医療機関は地域に何を提供し続けるのかを決める存在です

医療機関は

  • 地域にどのような医療を提供するのか
  • どこまでの役割を担うのか

を決める存在です。

そしてその役割には

細く長く提供し続ける責任

が伴います。

保険診療か自由診療かという選択も、その役割を実現するための手段として整理されるものだと考えています。

診療所の役割は代行することができません

地域に対して何を提供するのか
どこまで担うのか
どのように続けていくのか

こうした設計は院長自身が決める必要があります。

支援の立ち位置については 判断整理という支援の立ち位置 でも整理しています。

相談先を選ぶときに整理しておきたいこと

実務を進めたいのか
体制づくりを任せたいのか
判断そのものを整理したいのか

この違いを分けて考えることが重要です。

相談先整理の記事として クリニック経営は誰に相談すればいいか も参考になります。

すべての医療機関にこの支援が合うわけではありません

状況によっては

  • 実務代行型支援
  • 運営支援
  • 事務長機能

が必要になる場面もあります。

その場合には、その時期に合った支援の形を選ぶことが大切だと思います。

もし今、判断が重くなっていると感じているなら

制度の理解はできているけれど判断が決まらない
自院としての方向性を整理したい
地域の中でどの役割を担うのか考えたい

そんな状態があるときには、考えを整理する時間が役に立つかもしれません。

ここまで読んでくださった先生は、おそらく「代行ではなく、まず考えを整理する必要がある場面」にいらっしゃるのだと思います。

今いちど。「詰まっている一点」だけ、ほどきませんか

制度の内容は理解できている。
けれど、自院としてどう考えるかが決まらない。
何を優先し、どこまで引き受けるかを一人で抱えてしまっている。

そんなときは、正解を増やすことよりも、まず「いま詰まっている一点」を言葉にしてみる方が、次の一歩が見えやすくなることがあります。

まえやまだ純商店では、開業準備中〜開業後5年以内の院長先生を中心に、考えの整理と判断の言語化をお手伝いしています。

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※売り込みや即決を前提とした場ではありません。
※まずは、今どこで考えが詰まっているのかを整理する入口としてご利用ください。

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