ベースアップ評価料はいつまで?届出期限とクリニック経営の判断を整理【院長の経営相談Q&A】
本記事は2026年6月施行予定の制度をもとに整理しています。今後、厚生労働省から疑義解釈や事務連絡等が公表された場合は、内容を順次更新してまいります。
Q:ベースアップ評価料はいつまでに届出すればよいのでしょうか?
2026年度(令和8年度)診療報酬改定では、ベースアップ評価料の見直しと引き上げが行われます。
そのため最近、開業医の院長から
- ベースアップ評価料はいつまでに届出すればよいのか
- 今からでも算定できるのか
- 算定した方がよいのか
といった質問や相談を受けることが増えてきました。
この記事では、制度の期限を整理するとともに、クリニック経営としてどう判断すればよいのかをまとめます。
制度の解説というよりも、院長の経営判断を整理するための記事として読んでいただければと思います。
結論|ベースアップ評価料の届出期限
2026年度改定では、ベースアップ評価料の新しい点数は2026年6月1日から適用されます。
6月1日から算定を開始する場合の届出期間は、2026年5月7日〜6月1日(必着)です。
届出先は、クリニック所在地を管轄する地方厚生(支)局です。
ただし、ここで誤解されやすいのですが、この期間を過ぎたら制度が使えなくなるわけではありません。
ベースアップ評価料は、算定開始月の前月末までに届出を行えば算定することができます。
- 7月から算定 → 6月末まで届出
- 8月から算定 → 7月末まで届出
つまり、6月1日は制度の期限ではなく、6月算定開始の届出期限という位置づけです。
ベースアップ評価料の算定スケジュール
2026年度診療報酬改定では、ベースアップ評価料は2026年6月1日から算定が始まります。
また、この制度は段階的な引き上げが予定されています。
2026年6月
ベースアップ評価料引き上げ(第1段階)
2027年6月
評価料の追加引き上げ(第2段階)
このように、ベースアップ評価料は複数年度にわたって賃上げを進める仕組みとして設計されています。
ベースアップ評価料とは
ベースアップ評価料は、算定した医療機関が賃上げを実施することを前提とした制度です。
診療報酬に一定の点数を上乗せすることで、
- 看護師
- 医療技術職
- 医療事務
- 若手医師
などの給与改善に充てることが想定されています。
例えば外来診療では、初診や再診に点数が加算されます。2026年6月〜2027年5月の外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)では、新たに賃上げを行う施設で初診17点、再診4点、継続的に賃上げを行っている施設で初診23点、再診6点とされています。さらに2027年6月以降は、たとえば新たに賃上げを行う施設で初診34点、再診8点となる予定です。
クリニックの診療内容や算定状況によって金額は変わりますが、スタッフの賃上げ原資として活用することが制度の目的です。
なお、算定した場合は賃金改善の実施状況について報告が必要になります。
院長がベースアップ評価料届出・算定可否の判断で迷う理由
ベースアップ評価料について調べていると、
- いつまでに届出すればよいのか
- 算定した方がよいのか
と迷う院長も少なくありません。
その理由は主に3つあります。
まず、制度が比較的新しいことです。
ベースアップ評価料はまだ歴史の浅い制度のため、
- 手続き
- 算定方法
- 届出
などについて、現場では分かりにくい部分もあります。
次に、周囲の動きが気になることです。
スタッフから「他のクリニックでは賃上げしているらしい」と聞くと、院長としては判断に迷うこともあります。
そしてもう一つは、経営判断が必要な制度であることです。
ベースアップ評価料は単なる届出制度ではなく、賃上げとセットの制度です。
そのため、「制度があるから算定する」というよりも、クリニックとしてどう判断するかが重要になります。
期限だけで判断してよいのか
ベースアップ評価料については、期限だけで判断するのは難しい制度です。
クリニック経営としては、次の3つの視点を整理しておくことが大切です。
まず、スタッフ処遇です。
制度の目的は賃上げであるため、
- どの職種に反映するのか
- どの程度の給与改善を行うのか
を整理する必要があります。
次に、患者負担です。
ベースアップ評価料は診療報酬に加算されるため、患者さんの窓口負担にも影響します。
そのため、
- 院内掲示
- 患者への説明
も必要になります。
そして、制度の継続性です。
診療報酬制度は改定によって内容が変わることがあります。
そのため、
- 今後制度がどう見直されるのか
- クリニック経営としてどう考えるのか
を踏まえて判断する院長も多いようです。
院長が整理しておきたいポイント
ベースアップ評価料について迷ったときは、次の3つを整理すると判断しやすくなります。
1つ目|算定するかどうか
必ずしも算定しなければならない制度ではありません。クリニックの状況によって判断は分かれます。
2つ目|スタッフへの説明
制度の目的は賃上げのため、給与改善との関係を整理して伝えることが大切です。
3つ目|患者への説明
算定する場合は、院内掲示などを通して制度の目的を丁寧に説明する必要があります。
なお、ベースアップ評価料の判断については、こちらの記事でも整理しています。
制度の内容だけでなく、クリニック経営としての判断ポイントをまとめています。
まとめ|制度の正解ではなく院長の納得解
ベースアップ評価料について、
- いつまでに届出するのか
- 算定した方がよいのか
と迷う院長は少なくありません。
ただ、クリニック経営ではすべてに明確な正解があるわけではありません。
スタッフ、患者、クリニック経営のバランスを見ながら、クリニック経営の状況を整理しながら院長自身が納得して判断することが大切です。
制度の期限だけに振り回されるのではなく、クリニックの状況を整理しながら院長ごとの納得解を見つけていくことが、クリニック経営では重要ではないでしょうか。
参考資料
厚生労働省「令和8年度診療報酬改定説明資料等について・令和8年度診療報酬改定・1. 賃上げ対応」
参考資料を見る(厚生労働省PDF)