なぜ私は「正解を提示する」のではなく、クリニック経営の判断整理を行うのか
クリニックの開業や経営についてご相談を受けていると、次のような質問をいただくことがあります。
- 開業して大丈夫でしょうか
- どの場所であれば成功できますか
- 融資は受けられますか
- どの選択肢を選ぶのが正解でしょうか
開業や経営には、大きなお金や責任が伴います。スタッフや患者さんへの影響もあります。
そのため、できるだけ失敗を避けたい、第三者の意見も聞いたうえで判断したいと考えることは、ごく自然なことだと思います。
一方で、クリニック経営では、誰かに正解を教えてもらうだけでは決めきれないことがあります。
この記事では、臨床と経営における判断の違い、情報を集めても決めきれない理由、そして、なぜ私が正解の提示ではなく「判断整理」を行っているのかをお伝えします。
クリニック経営では「正解」を求める相談が多い
医師は日々の診療の中で、患者さんから判断を求められます。
「どの治療がよいのでしょうか」
「このままで大丈夫でしょうか」
「一番よい選択肢は何でしょうか」
医学的な根拠や経験をもとに、できるだけ望ましい判断を示すことが、患者さんの安心や信頼につながる場面も少なくありません。
そのため、開業や経営の場面でも、無意識のうちに「正解は何か」を探したくなるのではないでしょうか。
もちろん、正解を求めること自体が悪いわけではありません。
大きな投資を伴う以上、慎重になることは当然です。見落としを減らし、よりよい選択をしたいと考えるのも自然なことです。
臨床と経営では、判断の性質が異なる
臨床では、医学的な根拠やガイドライン、患者さんの状態などをもとに、より望ましい診断や治療を考えるための拠り所があります。
もちろん、患者さん一人ひとりによって事情は異なります。それでも、判断する際に確認すべき基準や方向性があります。
一方、クリニック経営では、すべての医院に当てはまる一つの正解があるとは限りません。
同じ診療科であっても、地域、患者層、資金状況、スタッフ構成、院長の価値観や将来の働き方によって、適切な選択は変わります。
あるクリニックでうまくいった方法が、別のクリニックでも同じようにうまくいくとは限りません。
だからこそ経営では、誰かが示した正解をそのまま受け入れるのではなく、自院の前提に照らして判断することが必要になります。
相談する時点で、判断材料はすでにそろっていることが多い
ご相談をいただく院長先生は、何も分からない状態で相談されるとは限りません。
制度について調べている。
専門家にも話を聞いている。
事業者から提案も受けている。
他院の事例も確認している。
このように、判断するための情報や材料は、すでにある程度そろっていることが多いと感じています。
それでも決めきれないのは、必ずしも情報が不足しているからではありません。
情報や意見が増えるほど、かえって次のような迷いが生じることがあります。
- どの意見を重視すればよいのか
- 自院に当てはめると、何を優先すべきなのか
- 見落としていることはないか
- この判断で本当に進んでよいのか
足りないのは、さらに新しい情報を増やすことではなく、すでに持っている判断材料を、自院の状況に合わせて整理することなのかもしれません。
それでも第三者に相談するのはなぜか
第三者に相談する理由は、単に「失敗したくないから」だけではないと思っています。
自分の考えに見落としがないか確認したい。
自分とは異なる視点から意見を聞きたい。
複数の情報をどのように受け止めればよいか整理したい。
自分の判断に納得して、安心して前に進みたい。
こうした思いから、第三者に相談することもあるのではないでしょうか。
私は、多くの院長先生が第三者に求めているのは、必ずしも判断を代わりに決めてもらうことではないと考えています。
むしろ、自分の考えや判断材料を一度確認し、納得して決めるための機会を求めているのではないでしょうか。
第三者の意見も、一つの判断材料です
第三者に相談すると、自分だけでは気づかなかった視点や、新しい考え方を得られることがあります。
一方で、第三者の意見も絶対的な正解ではありません。
それぞれの経験や専門性、立場によって、重視するポイントや考え方は異なるからです。
私自身の意見も同じです。
私が考えたことを、そのまま院長先生の正解として採用していただきたいとは考えていません。
大切なのは、誰の意見が正しいかを決めることではなく、それぞれの意見を判断材料として受け取り、自院として何を選ぶのかを考えることです。
正解ではなく「自院としての納得解」を考える
私がクリニック経営で大切だと考えているのは、誰にでも当てはまる正解ではなく、自院として納得できる判断です。
ここでいう納得解とは、単に気持ちのうえで納得できればよい、という意味ではありません。
- 必要な判断材料を確認している
- 選択肢ごとの利点やリスクを比較している
- 自院が大切にしたいことと矛盾していない
- なぜその選択をするのかを自分の言葉で説明できる
- 判断の結果を、自分で引き受けられる
こうした過程を経て、自院として理由を持って選べる状態が、私の考える納得解です。
将来の成功を保証する答えではありません。
それでも、自院の前提や考え方を踏まえて決めた判断であれば、状況が変わったときにも、なぜその判断をしたのかを振り返り、改めて見直すことができます。
だから私は、正解の提示ではなく「判断整理」を行っている
私が行っているのは、院長先生に代わって答えを決めることではありません。
院長先生がすでに持っている情報や考えを確認し、現状や論点を分け、選択肢を比較しながら、自院として判断しやすい状態を一緒につくることです。
そのために、
- いま何が起きているのかを確認する
- これまでの経緯や背景を整理する
- 院長先生の考えや違和感を言葉にする
- 複数の問題を論点ごとに分ける
- 不足している判断材料を確認する
- 判断基準や選択肢を整理する
- 優先順位と次の一手を考える
といった過程を大切にしています。
私は、この過程を「判断整理」と呼んでいます。
情報が少ない時代ではありません。
むしろ、情報や選択肢が多いからこそ、自院として何を選ぶのかを整理する機会が、これまで以上に重要になっていると考えています。
判断整理が合う方、合わない可能性がある方
判断整理が合う方
- 情報は集めたものの、自院として決めきれない
- 複数の意見を聞くほど迷いが増えている
- 自分の考えや優先順位を一度整理したい
- 第三者の視点も踏まえて判断したい
- 誰かに決めてもらうのではなく、納得して選びたい
- 一度決めた方向性を、現在の状況に合わせて見直したい
判断整理が合わない可能性がある方
- 結論だけをできるだけ早く提示してほしい
- 判断そのものを第三者に任せたい
- 実務や手続きだけを代行してほしい
- 成功や成果の保証を求めている
私の支援は、正解をすぐに提示する支援と比べると、回りくどく感じられることがあるかもしれません。
それでも、院長先生ご自身が判断理由を持ち、納得して決められる状態をつくることが、長く続けられる経営につながると考えています。
自院として納得できる判断を積み重ねるために
クリニック経営では、制度も地域の状況も、スタッフの構成も変化していきます。
そのため、一度正解を見つければ、その後は迷わずに済むとは限りません。
大切なのは、誰かの正解を探し続けることではなく、必要なときに立ち止まり、判断材料や自院の前提を整理し直すことだと思っています。
第三者の意見も一つの材料として受け取り、自院として何を大切にし、何を選ぶのかを考える。
そうした判断を積み重ねることが、無理なく続けられるクリニック経営につながるのではないでしょうか。
そのために、私は「正解を提示する」のではなく、判断を整理する支援を行っています。
情報や考えはあるものの、自院として決めきれない院長へ
絡み合った考えを整理し、自院としての次の一手を考えます
まえやまだ純商店では、院長先生がすでに持っている情報や考えを外に出し、現状・背景・論点・判断基準・選択肢・優先順位を整理します。
答えを受け取るための相談ではありません。
院長先生ご自身が判断理由を持ち、自院として次の一手を決めやすい状態を目指します。
具体的な支援内容、料金、ご相談から支援までの流れは、経営相談の詳細ページでご案内しています。
※状況確認面談は、無料で答えや解決策を提示する場ではありません。
※現在の状況やこれまでの経緯を伺い、何を整理する必要があるのか、支援がお役に立てそうかを確認します。
※その場で契約を決めていただく必要はありません。
