開業準備・クリニック経営で、 何から決めるべきか分からなくなったときに。 患者数、採用、制度対応、役割分担。 重なった論点を整理し、 院長が自院として納得して決められる状態を整えます。

クリニック開業・経営コラム

2026年度改定に向けて──外来機能・生活習慣病・OTC薬、診療所が備えるべき実務ポイント

最終更新日:2026年4月16日

2026年度の診療報酬改定では、外来機能の分化、生活習慣病管理の質向上、医療機関間連携の整理がさらに進みました。 本稿では、2026年3月5日に公表された告示・通知等と、その後の疑義解釈・関連通知を踏まえながら、診療所が いま整えておくと後で効く実務を、行動ベースで整理します。

この記事は、外来機能分化の実務整理を中心に扱っています。 制度の背景構造から理解したい場合は、 外来機能分化という構造から読み解く記事 もあわせてご覧ください。

※本記事は、2026年3月5日公表の告示・通知等、3月23日疑義解釈、3月27日関連通知、3月31日公表の全体概要版をもとに整理しています。

改定の前提をつかむ|“制度の整理”と“説明可能性”が鍵

今回の改定では、単純な点数の増減よりも、外来機能の明確化継続的な疾病管理の質医療機関間連携の見える化が強く求められています。 現場で重要なのは、「実際にやっていること」を、患者にも他院にも説明できる状態にしておくことです。

要点: 改定後に慌てて整えるより、平時に雛形・掲示・起票ルール・連携手順を揃えておく方が、 現場の負荷が小さく、説明の質もぶれにくくなります。

かかりつけ機能を“見える化”する|掲示・連携・役割の整理

かかりつけ医機能は、「掲げている」だけでは足りず、どう対応するかを院内外に示せるかが問われます。 患者向けの掲示、時間外対応、紹介・逆紹介の流れ、在宅や介護との接続など、診療所としての立ち位置を見える形にしておくことが重要です。

  • 時間外対応の明文化:留守電・転送・折返し基準・記録様式をA4一枚に。
  • 紹介・返書テンプレ:紹介状、返書、情報提供書のひな形を統一。
  • 院内掲示の見直し:患者向け掲示と自院ホームページ掲載の整合を確認。
  • 在宅・介護連携の記録:連携先一覧、連絡経路、計画書控えの保管ルールを固定。
  • BCPの確認:在宅機能を担う場合は、災害時・感染症時の業務継続計画を見直しておく。

生活習慣病管理を“根拠で運用”する|糖尿病連携と署名不要後の設計

生活習慣病管理では、「どれだけ頻回に診るか」よりも、なぜその間隔・内容で管理しているかを短く説明できることが重要です。 今回は、糖尿病患者に対する眼科・歯科連携の評価や、療養計画書の負担軽減、データ提出評価の見直しが入っています。

  • 計画書の一言:「安定のため3か月ごと採血」「合併症リスク高く毎月確認」など理由を短く残す。
  • 糖尿病患者の連携ルーチン化:眼科・歯科への案内文、起票トリガー、受診確認の流れを決める。
  • 患者署名不要後の運用設計:署名をもらう前提の動線を見直し、説明日・説明者・交付方法の記録を簡素化する。
  • 多剤併用チェック:月1回の確認項目を決め、誰が・何を・どこに残すかを固定する。
  • 充実管理加算(旧・外来データ提出加算)への備え:レセコン出力手順、担当者、締切、試行データ作成の流れを事前に整理する。

補足: 外来データ提出の話は、従来の名称で理解している院長も多いため、 「充実管理加算(旧・外来データ提出加算)」と表現した方が伝わりやすいです。

制度の受け止め方そのものを整理したい場合は、 生活習慣病管理加算・充実管理加算をどう受け止めるか──“正解”ではなく“納得解”で考える も参考になります。

外来機能の分化に備える|“逆紹介を受け入れる体制”を前倒し

今回の改定では、大病院と地域の診療所との役割分担がさらに明確化され、 特定機能病院等からの紹介患者を受け入れる診療所側の評価も新設されました。 つまり、「受け入れる余地がある」ではなく、受け入れやすい形を先に作っておくことが実務になります。

  • 受け入れ案内シート:診療内容、主な機器、当日対応可否、検査枠を1枚に整理。
  • 初診・検査枠の確保:週○枠を逆紹介用として確保し、院内で共有。
  • 返書テンプレート:検査共有様式、返送期限、担当者を固定。
  • 公開ルール:どのような患者なら受け入れやすいかを言語化し、連携先に伝えやすくする。

実務上の意味: 大病院から「ここに任せたい」と思われる準備があるかどうかは、 単なる地域連携ではなく、収益と運営の両方に関わる論点になってきています。

長期収載品・OTC議論に備える|院内“説明力”をそろえる

OTC類似薬の保険外化議論は今後も続く可能性がありますが、足元の実務としては、 長期収載品(先発品)の選定療養に関する患者説明の整備が先に効きます。 「制度が変わった」と説明するだけでなく、患者が何を選べるのかを院内で同じ言葉で伝えられる状態を作っておくことが重要です。

  • 自院リスト化:説明が必要になりやすい先発品・OTC類似薬候補を整理。
  • 説明スクリプト:「後発品があること」「先発品希望時は特別の料金が生じうること」を短く共有。
  • 掲示・配布物:患者向けに、制度変更の概要と代替の考え方を見える化。
  • スタッフ共有:受付・看護師・医師で説明の粒度を揃える。

今日からできる“30分チェック”

A. 書式・雛形の棚卸し

  • 紹介・返書テンプレは1ヶ所で最新版管理できている
  • 時間外対応・連携方針のA4掲示案がある
  • 掲示内容と自院ホームページ掲載内容がずれていない
  • 生活習慣病の計画書に「理由」の記載欄がある
  • 患者署名不要を前提にした新しい運用フローを決めている
  • 在宅機能を担う場合のBCP雛形がある

B. 役割と運用の固定

  • 充実管理加算(旧・外来データ提出加算)の担当・手順・締切が決まっている
  • 糖尿病患者の眼科・歯科受診案内の起票ルールがある
  • 逆紹介受け入れ枠の決定と公開ルールがある
  • 長期収載品やOTC類似薬の説明スクリプトを全員が見える場所に保存している

制度対応や外来運営の整理が重くなり始めた院長へ

判断の前提を整理するための入口ページがあります

診療報酬改定、生活習慣病管理、紹介対応、スタッフ体制。 それぞれ別のテーマに見えても、実際には同じ運営判断の中でつながっていることが少なくありません。

こうしたテーマは、何かが破綻してからではなく、違和感が出始めた段階で整理されることが多いです。 臨床と同じように、経営判断も「症状が出てから」ではなく、「少し引っかかる」段階で整理することに意味があります。

まえやまだ純商店では、正解を提示するのではなく、論点と優先順位を整理し、自院としてどう判断するかの前提を整える支援を行っています。

こんな段階で相談されることがあります

  • 制度の論点は追っているが、自院で何を優先すべきか迷っている
  • 生活習慣病管理や外来機能の整理が、単発対応では追いつかなくなってきた
  • 紹介受け入れや院内運用を整えたいが、どこから手をつけるか決めきれない
  • 相談したいことはあるが、まだ論点が整理しきれていない

相談内容が整理できていない段階でも問題ありません。 むしろ、何から考えるべきかを整理するところから始まることが多くあります。

※相談を前提にした案内ではありません。
※実務代行ではなく、判断の前提を整理するための支援です。

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