神経内科経営シリーズ 第5回|“支える医療”を続けるための組織づくり──スタッフと共に育てるクリニック経営
神経内科のクリニックでは、長く患者さんと関わるからこそ、“支える医療”をどう続けていくかが経営の根幹になります。
制度やツールは整っていても、それを動かし続けるのは人。つまり、「仕組みを育てるのはチーム」です。
本記事は神経内科クリニック経営の視点から、院長が一人で背負いすぎず、スタッフとともに“続ける力”を育てるための組織づくりを整理します。
仕組みを動かすのは“人”
神経内科の本質は「治す」と「支え続ける」の両立にあります。
どれだけ効率的な制度やITツールを導入しても、理解し、共感し、実践するのは人です。
院長が意識すべきは、仕組みを整えることと同時に、仕組みを動かせる人を育てること。
“人が育つ”組織ほど、仕組みも自然に磨かれていきます。
とくに神経内科は慢性期の比重が高く、患者さんとの関係が年単位で続く診療科です。外来・リハビリ・地域資源との多職種連携が日常であり、
たとえば認知症やパーキンソン病などでは、診療が年単位で続くからこそ、スタッフの継続が“治療の一部”になります。
だからこそ、神経内科クリニック経営では「人が続く仕組み」を中心に据える必要があります。
チームが育つクリニックの共通点
多くのクリニックを見ていると、チームがうまく機能しているところには共通点があります。
- 方針が明確:「何を大切に診療するか」が全員に共有されている
- 役割が明瞭:自分がどの部分を担うのかを理解している
- 裁量がある:院長の承認を待たずに判断できる範囲が決まっている
- 連携が見える:医師・看護・受付・リハ・地域資源の多職種連携の動線や連絡責任が明確
“スタッフが続く=関係が続く”。
慢性期患者が多い神経内科では、スタッフの継続こそが患者さんの安心に直結します。
院長一人ではなく、チーム全体が「続ける医療の担い手」である意識を共有することが、組織づくりの第一歩です。
スタッフが定着する“仕組みの見える化”
見える化とは、マニュアルをつくることではありません。
「なぜこの仕組みがあるのか」を全員が理解し、必要に応じて更新できる状態を指します。
- 受付・問診の流れをスタッフ自身が改善・更新できるようにする
- 定例ミーティングで“改善提案”が自然に出る場を設ける
- 感謝や協力を言葉で共有する仕組み(週1回の「ありがとう共有」など)
“動かす仕組み”を整えると、参加意識と定着率が同時に上がる。
結果として、患者さんにも「ここは雰囲気がいい」と感じてもらえるクリニックになります。
数字を“責める道具”ではなく“支える道具”に
経営数値は、評価や管理のためだけに使うと現場が萎縮します。
数字を「対話のきっかけ」として共有すると、チームの主体性が高まります。
- 来院数の変化 → 「混む時間帯の見直し」や動線改善の議論に
- 待ち時間データ → 受付・診察・会計の配分見直しの根拠に
- 患者アンケート → スタッフ発の改善提案の材料に
数字をチームの共通言語に変えると、透明性と信頼感が育ちます。
「院長に見せる数字」から、「全員で考える数字」へ――この転換が、組織を強くします。
院長が抱えすぎない“伴走する経営”
「任せたいが不安」「結局すべて自分が決める」──多くの院長が抱く葛藤です。
解決の鍵は、“任せる”ではなく“伴走する”姿勢にあります。
方向性を示しつつ、進みながら調整する。任せる範囲を小さく設定し、成功体験を共有する。
その繰り返しが、スタッフの成長と院長の安心を両立させます。
目的(=患者さんを支える)を会話の中心に置けば、院長がすべてを抱えなくても回る体制が整います。
まとめ|“人が続く”から“医療が続く”へ
神経内科の“支える医療”を続けるための最大の基盤は、人が続くこと。
仕組みを整え、チームを育て、信頼関係を重ねることで、医療と経営の両輪は安定します。
院長が一人で背負うのではなく、スタッフと共に“支える医療”を育てていく――それが、続くクリニックの姿です。
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