クリニック開業・経営の伴走支援|まえやまだ純商店

クリニック開業・経営コラム

医療機器選定で意識すべき:「価格交渉」と「生きた情報」の両立


医療機器を導入する際、見積もりや価格交渉だけにとらわれると、思わぬトラブルや後悔の要因になります。特に、単に価格に注目するだけでなく、「保守費・消耗品・情報力」を同時に見極める視点が重要です。本稿では、価格交渉と平行して“活きた情報”を得るための心構えや具体的な手法をご紹介します。


複数社から相見積もりを取ることの意義


医療機器業界では、院長先生が特定のメーカーや型番にこだわってしまい、つい一社の見積もりだけで済ませてしまうことがあります。ただし、それでは最適な選択を見落とすリスクがあります。


機器選定では、まず機能や性能が似たモデルを複数ピックアップし、複数メーカーから相見積もりを取得することが基本です。その際、本体価格だけでなく、消耗品費用・保守・メンテナンスの費用も含めて見積もりをもらうこと が欠かせません。将来的なコストが見えないまま導入してしまうと、経営を圧迫する要因となります。


ただし、見積もりを取れば最も安い機器をバラバラに揃えるという選択は、接続性の不整合や保守管理の煩雑さを生むことがあります。こうした点を踏まえ、複数社比較一社集中購入による交渉力強化 をバランスよく組み合わせることが現実的な戦略です。


消耗品・保守メンテナンスも含めて交渉すべき理由


医療機器は、単に機械本体を設置すれば完結するものではありません。定期的な点検や保守、交換部品・消耗品の費用が恒常的に発生する構造だからです。よって、見積もり交渉の段階でこれらのコストを必ず確認しておく必要があります。


本体価格が安くても、その後の消耗品・保守契約料が高額であれば、トータルコストはかえって割高になってしまいます。導入後に「思ったより維持費がかかる」と悩まないためにも、契約前に「本体+消耗品+保守込みの総額」で比較できる見積もりを取得するのが賢明です。


生きた情報を先取りして有利な交渉を


実際には、どのメーカーのどの製品が値引き対象になっているか、どの用途で需要が高まっているか、他社がどんな値付けをしているか――こうした「生きた情報」は非常に価値があります。これを手に入れるかどうかで、同じ見積もり価格でも得られる価値に差が生まれます。


たとえば、勤務先クリニックや以前の勤務先で取り引きしていたメーカー担当者とは早めに関係を構築しておくといいでしょう。彼らから、現在の値引き余力、他社動向、関連商品の連携性といった情報を引き出しておくことで、交渉時に有利な立ち回りが可能になります。


また、展示会やセミナー、業界ニュースを通じて動向を把握することも重要です。機器を導入する前段階から情報収集を始めておくと、見積もりの兼ね合いや商談中の判断に余裕が生まれます。


まとめ:交渉で勝つためには全体視点が欠かせない


現代では、物価上昇や材料費・人件費の高騰といった外的要因が価格交渉の幅を狭めています。また、医療機関間で情報流通が進んでおり、あまりにも差が大きな見積もりを出すと「その情報」が広がるリスクもあります。


だからこそ、見積もり比較だけで終わらせず、価格だけでなく保守・消耗品を含めたトータルコスト、そして メーカーが提案できる価値(患者満足度向上・効率化など) を合わせて評価する姿勢が必要です。さらに、早期から情報収集を行い、他社動向を把握しておくことが、交渉を有利に進める鍵になります。


医療機器の選定は、価格交渉だけで決められるものではありません。価格、維持費、情報力、そのすべてを視野に入れて判断できる体制を整えることで、クリニック経営の安定と質の向上につなげられるのです。

関連記事
クリニックにおける医療機器選定と導入後のポイント ― 価格交渉から患者説明まで ―
医療機器リース vs 購入:開業時に押さえておきたい判断軸と実務ポイント
診療スタイルと収益性の視点で考える医療機器の導入戦略




無料相談のご案内


医療機器の選定や価格交渉、保守・消耗品費用を含めたトータルコストの把握は、クリニック経営に直結する重要な課題です。 「複数見積もりの比較に迷っている」「交渉のポイントを整理したい」「情報収集をどう進めればよいか分からない」といったお悩みをお持ちの先生は、ぜひ一度ご相談ください。


まえやまだ純商店では、依存させない伴走型の支援を基本に、先生方が主体的に判断できる環境づくりをお手伝いしています。 初回のご相談は無料ですので、安心してお問い合わせいただけます。


無料相談に申し込む



記事一覧