「辞めたい」と言われたとき、院長が守るべきもの ― 退職対応を“学びの機会”に変える
はじめに
どれだけ丁寧に職場づくりをしていても、スタッフが「辞めたい」と考える瞬間をゼロにすることはできません。
人にはそれぞれの事情があり、人生のタイミングがあります。大切なのは、退職のサインを早めに察知し、誠実に向き合うことです。
本記事では、小規模クリニックが「退職」という出来事をどう捉え、どう対応すべきかを整理します。
1.退職を考え始めるスタッフのサイン
退職のサインは、日常の小さな変化に表れます。たとえば次のような様子が見られたときは、注意深く観察してみましょう。
- 挨拶や会話が減り、表情が硬くなる
- 残業・シフト変更への協力が減る
- これまで熱心だった業務への関心が薄れる
- 報告や相談が減り、ミスが増える
- 「家庭の事情」「体調」の話が増える
一度で判断せず、普段との違いが“積み重なっているか”を見極めることが重要です。
早い段階で違和感をキャッチできれば、本人への負担を減らし、組織としての備えもできます。
2.サインを見逃さないための日常観察
サインを察知するために特別な面談制度は必要ありません。
むしろ、「最近どう?」と声をかける日常のやりとりが一番の予防策です。
小規模クリニックでは、院長自身の声かけが職場の空気を大きく左右します。
忙しい日々の中でも、スタッフ一人ひとりの変化を“気づける関係性”をつくることが、離職の芽を早期に見つける第一歩です。
3.退職希望が出たときの対応
実際に「辞めたい」という言葉が出たとき、焦って引き止める必要はありません。
まずは、本人の話を遮らずに最後まで聴き、気持ちを受け止めましょう。
- 引き止めを目的にせず、まず話を聞く
- 不満や課題があれば、改善できる部分を一緒に整理
- 無理な引き止めは、本人にも職場にもマイナスになる
「話を聞いてくれる」「誠実に向き合ってくれる」と感じてもらうことが、職場全体への信頼回復につながります。
4.引き止めよりも大切な“残る人の安心”
少人数の職場では、一人の退職が大きな影響を与えます。
しかし、辞めたい人を無理に引き止めるよりも、残るスタッフが安心して働ける環境を守ることの方が長期的にはプラスです。
「辞める=失敗」ではなく、変化に耐えられる職場づくりこそが経営の土台です。
5.経営者ができる3つの備え
- 退職理由を丁寧に聞き取る:改善できる点を次の採用や体制づくりに反映
- 理念を再確認する:残るスタッフに「この職場で大切にしていること」を改めて共有
- 仕組みを整える:マニュアル・業務共有・外部委託など、人が変わっても回る体制を準備
退職対応は「終わり」ではなく、次の定着をつくる経営行動です。
スタッフの変化に丁寧に向き合う姿勢こそが、組織の信頼を育てていきます。
まとめ
退職は避けられない出来事のひとつですが、早期察知・誠実な対応・職場の安定化という3つの視点で臨むことで、残るスタッフの信頼を守れます。
退職を「マイナスの出来事」として終わらせず、学びの機会として経営に活かすことが、次の一歩につながります。
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