院長のマインドセット|“失敗=経験”として活かす働き方

クリニック経営の現場では、どうしても「失敗しないこと」を最優先に考えてしまいがちです。
患者さんやスタッフに迷惑をかけないように、制度やルールを正しく守らなければならないという強い意識が働くからです。
もちろん医療の安全を守るうえでは、その姿勢自体は非常に大切です。
しかし、経営という観点で見たとき、「失敗をゼロにする」ことは現実的ではありません。
診療報酬改定や地域の人口動態の変化、他院の動き、スタッフの採用状況など、不確実な要素に常に囲まれているからです。
新しいことに挑戦すれば、うまくいかないことも必ず出てきます。
大切なのは「失敗を避けること」そのものではなく、「失敗=経験」として扱うことです。
失敗=経験、2つの扱い方
「失敗=経験」と考えると、その先の行動が整理しやすくなります。
大きく分けると、院長先生が取れる選択肢は次の2つです。
- 失敗を活かす
小さなつまずきを経験として学び、改善に結びつける。
例えば、新しい予約システムを導入した結果、患者さんが戸惑い、電話問い合わせが増えたとします。
この場合、「導入は失敗だった」と片付けるのではなく、「どこで混乱が生じたのか」を整理することで、改善ポイントが見えてきます。
結果として、前よりスムーズな運営が実現できれば、それは「成功への経験」だったといえるでしょう。 - 失敗を避ける
経験を重ねる中で、「この挑戦は負担が大きすぎる」と判断できる場合もあります。
例えば、新しい加算を算定できる条件があっても、24時間対応やスタッフの増員が必要になるなど、クリニック全体が疲弊してしまうようなら導入しないという判断も十分合理的です。
「やらない」という選択もまた、経験を踏まえた経営判断のひとつなのです。
「失敗しない」を目指さない
院長先生方にお伝えしたいのは、「失敗しないこと」をゴールにしない方がよいということです。
失敗は避けられないものですし、むしろ経験として蓄積していくことで、よりよい判断ができるようになります。
経営のマインドセットとしては、
・「失敗=終わり」ではなく「失敗=経験」
・「失敗=マイナス」ではなく「失敗=次の一歩の材料」
と捉え直すことが、持続可能な経営につながります。
伴走支援の役割
当社の伴走支援では、院長先生が「失敗を経験に変える」ためのお手伝いをしています。
失敗を恐れるのではなく、経験として整理し、活かすか避けるかを主体的に選び取れるようにサポートする。
その積み重ねが、結果的にクリニック全体の安定や成長、そして院長先生ご自身のQOLの向上につながると考えています。
経営には正解がありません。だからこそ、失敗をゼロにすることを目指すよりも、経験として扱い、前に進む力に変えることを大切にしていただきたいと思います。
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