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クリニック開業・経営コラム

「うちに向いていない人」を示すと応募が増える?!


求人票や採用ページでは「未経験者歓迎」「やる気のある方なら誰でも」といった表現をよく見かけます。もちろん門戸を広げる姿勢は大切ですが、実は「うちに向いていない人」をあえて示すことが、結果的に応募者を増やし、定着率を高めることにつながります。


なぜ「向いていない人」を書くと良いのか?



  • 働くイメージが湧く:応募者は「自分に合うか合わないか」を知りたいと考えています。合わない条件が書かれていれば、逆に安心して応募できる人も増えます。

  • ミスマッチを防ぐ:合わない人を採用してしまうと、教育コストや人間関係のトラブルが増え、早期離職につながります。事前に明記することで、お互いに無理のない採用ができます。

  • 本気度の高い応募者が集まる:「自分には合いそうだ」と思って応募してくる人は、志望動機も強く、長く働く可能性が高いです。


「向いていない人」を言語化するには?


クリニック経営者が「うちに合わない人」を明確に言語化するのは簡単ではありません。特に現場に入っている院長先生は、日々の診療に追われ、スタッフ全体を俯瞰する時間が少ないのが実情です。次の視点から整理すると考えやすくなります。



  1. 過去の退職理由を振り返る:これまで一緒に働いてきたスタッフが、なぜ辞めてしまったのかを整理することが出発点です。「業務量に耐えられなかった」「患者対応が苦手だった」など、退職理由は“向いていない人”を知るヒントになります。さらに、今いるスタッフの特徴と対比することでより鮮明になります。たとえば、長く定着している人が「患者さんとの会話を楽しめるタイプ」であれば、その逆の人は定着しにくい、と整理できます。

  2. 今のスタッフに共通する特徴を探す:長く定着しているスタッフには共通点があります。たとえば「細かい事務作業が得意」「チームで協力できる」など。これを基準に考えると、“向いていない人”が自然に浮かびます。

  3. 1日の業務フローを分解する:受付、会計、診療補助、レセプト業務…どの場面でつまずく人が多いかを観察すれば、「向いていない人」のイメージが浮かびます。


書き方の工夫(ネガティブにしすぎない)



  • ✗ 「いい加減な人はお断り」

  • ○ 「患者さんとの会話を大切にできる方を歓迎します。人と接することが苦手な方には合わないかもしれません」


こう書くことで、応募者に不快感を与えず、自然にマッチングができます。


具体的なケース


実際にあったケースでは、求人票で「未経験者歓迎」とだけ書いた結果、応募者の幅は広がったものの、患者さん対応に消極的な人材が採用され、数か月で退職してしまったクリニックがありました。一方で、別のクリニックでは「患者さんと会話を楽しめる人」と明記したところ、応募数は少し減ったものの、入職した人材は長く勤務を続け、スタッフ全体の雰囲気も安定しました。


「うちに向いていない人」を示すのは、応募を減らすためではなく、合う人に長く働いてもらうための工夫なのです。


経営者にとってのメリット



  • 採用したのにすぐ辞める、という悪循環を防げる

  • 応募者数は一時的に減るかもしれないが、結果的に定着率が上がり、採用コストが下がる

  • 職場に合う人材が集まることで、チーム全体の雰囲気も安定する


まとめ


「うちに向いていない人」を示すことは、採用を狭める行為ではなく、応募者の安心感を高め、長期的な定着につなげる採用戦略です。さらに、経営者自身が「向いていない人」を言語化することで、採用基準が整理され、結果的に職場全体の安定につながります。


結果として、応募者の数も質も上がり、経営にとって大きなプラスとなります。

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