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クリニック開業・経営コラム

求人票でよくある表現“アットホームな職場”は逆効果?


求人票で頻繁に使われる表現のひとつに、「アットホームな職場」があります。一見すると雰囲気の良さをアピールしているように見えますが、実は応募者にとってはあまり響かない、場合によってはマイナスに働くこともあります。


なぜ「アットホーム」が逆効果なのか?



  • 人によって受け取り方が違う:「家族的で温かい」と感じる人もいれば、「上下関係が曖昧」「馴れ合いが多そう」と警戒する人もいます。

  • 本当に雰囲気がいいのか分からない:言葉だけではイメージが伝わらず、応募者は「実際はどうなんだろう」と不安に思います。

  • 他の求人と差別化できない:多くの求人票で同じ言葉が使われているため、印象に残りません。


実際に、面接時に「求人票ではアットホームとありましたが、どんな雰囲気ですか?」と確認されるケースも少なくありません。抽象的な表現は不安を招き、応募をためらう理由になり得ます。


他によくある“曖昧ワード”



  • 「未経験歓迎」:どの業務なら未経験でも大丈夫か、研修体制はあるのかが不明。

  • 「風通しが良い」:意見を言いやすいのか、単に上下関係が曖昧なのか解釈が分かれる。

  • 「働きやすい職場」:休暇制度なのか業務量なのか、何を指すのかが曖昧。


こうした抽象ワードは、一歩間違えば「何も特徴がない」と捉えられてしまいます。


代わりに伝えるべきこと(=日常を伝える)


「アットホーム」という抽象的な言葉の代わりに、具体的なエピソードや習慣を書きましょう。求人票では雰囲気を語るより、具体的な行動や職場の様子を描写すること=日常を伝えることが大切です。



  • 「スタッフ同士でお互いをサポートし合い、質問しやすい雰囲気があります」

  • 「月に1回のミーティングで、患者さん対応の工夫を共有しています」

  • 「昼休みは休憩室で一緒に食事をするスタッフが多く、自然と相談できる関係が生まれています」


1日の業務の流れ(例)



  • 午前:外来対応が中心(受付・診療補助・会計)

  • 午後:予約患者さん・検査対応が多め

  • 診療終了後:片付けとレセプト業務を行い、平均15分程度で退勤

  • 週1回:診療後に短時間のミーティングを実施


こうした具体的な記載があると、応募者は「自分が働いたときの1日」をイメージしやすくなります。


経営者にとっての損失(抽象表現のリスク)


抽象的な求人票で採用すると、入職後のギャップから早期離職につながりやすくなります。すると――



  • 求人広告費(数万円〜数十万円)

  • 面接・教育にかかった経営者とスタッフの時間

  • 再募集・再教育のやり直しによる生産性低下


これらが蓄積して大きな経営コストになります。一方、日常を具体的に伝えると応募数は少し減るかもしれませんが、入職後のミスマッチが減り、結果として定着率が上がります。


まとめ


「アットホームな職場」という言葉は便利ですが、抽象的すぎて逆効果になることがあります。求人票では雰囲気を伝えるよりも、具体的な行動や職場の様子を描写すること=日常を伝えることが重要です。


応募者にとっても、「背伸びするよりも日常」を感じられる職場の方が安心でき、無理なく働き続けられるイメージが持てます。結果として、長く活躍してくれる人材の採用につながります。

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