開業準備・クリニック経営で、 何を優先して決めるべきか見えにくくなったときに。 外来の状況、採用、制度対応、役割分担。 重なった論点を整理し、 院長が、自院として納得して判断できる状態を整えます。

クリニック開業・経営コラム

2026年診療報酬改定|CPAP管理料はどう変わる?──導入から継続支援へ移る制度のポイント

※本記事は2026年6月施行予定の制度内容に基づいて整理しています。
制度の詳細は疑義解釈や追加通知、管轄する地方厚生局の案内により確認してください。
なお、本文中で触れる「届出」は、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料そのものではなく、注2の「持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算」を算定する場合の届出を指します。

「CPAP対応、結局どこまでやるべきか?」

まず結論から整理します。

  • すでにCPAP患者さんが一定数いる場合 → 検討の優先度は高め
  • 今はほとんど対応していない場合 → 無理に対応を広げる必要はありません
  • 継続支援まで自院で引き受ける体制が整っていない場合 → 無理に加算算定を前提にしない判断もあり得ます

今回の改定では、CPAPを導入しているかどうかだけでなく、治療が継続されているか、そしてその継続を支える体制があるかが問われる方向に整理されています。

そのため、「算定できるか」だけではなく、自院としてどこまで関わるかという外来運用の視点で整理しておくことが大切です。

2026年診療報酬改定では、在宅持続陽圧呼吸療法(CPAP)の評価体系において、算定要件の整理や使用実績の評価など、これまでの運用の前提を見直す内容が含まれています。

この記事では、2026年改定でCPAP管理がどう変わるかだけでなく、届出を出すべきか自院でどこまで継続支援を担うか、そしてあえて加算算定を前提にしない判断はあり得るかまで整理します。

制度の変更点を確認するだけであれば、告示や通知を読めば一定程度は把握できます。しかし実際のクリニック運営では、使用時間が短い患者さんをどうフォローするか、スタッフがどこまで確認するか、患者案内を見直すかなど、制度だけでは決めにくい論点が残ります。

制度上の要件を確認するだけでなく、自院の外来で無理なく続けられる体制かどうかを考えるための補助線としてお読みください。

CPAP診療の評価は「導入」から「継続」へ整理されつつある

2026年診療報酬改定では、CPAP診療について、算定要件、使用実績、遠隔モニタリング、オンライン診療を含めた継続支援の評価が見直されています。

特に重要なのは、機器を導入しているかではなく、治療が継続されているかが評価の対象として整理されている点です。

今回の改定は、機器提供型の管理から、継続支援型の管理へと評価の軸足が移りつつある制度として読むことができます。

2026年改定における主な変更点

今回の改定では、CPAP診療に関して、以下のような整理が行われています。

  • 導入対象となるAHI基準の見直し
  • 使用時間に基づく算定要件の明確化
  • 持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算の新設
  • オンライン診療で指導管理を行った場合の評価の新設
  • 終夜睡眠ポリグラフィーの評価区分の見直し

今回の改定は、CPAP診療の「入口」と「出口」の両方に手を入れている点が特徴です。

導入対象となるAHI基準は見直され、例えば終夜睡眠ポリグラフィー等による評価において、一定の条件のもとでAHI15以上が対象となるなど、導入対象の裾野は広がる方向が示されています。

一方で、導入後の管理では、使用時間やモニタリングを前提とした整理が強まりました。在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2は250点から240点へ見直され、持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算(15点)が新設されています。

つまり今回の制度は、導入の門戸は広げつつ、継続させる責任は重くしていると読むことができます。

制度の変更点を確認したあとに考えたいこと

届出を目指すか、まずは既存患者さんの使用状況確認から始めるか、スタッフとの役割分担をどうするか。こうした判断は、制度だけでは決まりません。

診療報酬改定を「自院の運用判断」として整理する考え方は、以下の記事でもまとめています。
生活習慣病管理加算・充実管理加算をどう受け止めるか──“正解”ではなく“納得解”で考える

「4時間×20日×4割」が示す方向性

今回新設された持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算では、直近3か月における実績として、CPAP療法の1日使用時間が4時間以上の日が20日以上である管理月数の割合が4割以上であることが求められます。

ここで注意したいのは、これは単純な患者数の割合ではなく、直近3か月における延べ管理月数をもとに確認される点です。例えば、ある患者さんを3か月継続して管理している場合、その患者さんは3か月分の管理月数として整理されます。

この要件が示しているのは、単に機器を導入しているかではなく、実際に治療が継続されているかを評価する制度設計になっているということです。

CPAPは、導入されたこと自体よりも、継続されていることによって効果が得られる治療です。そのため今回の改定は、機器管理としてのCPAP診療から、慢性疾患の継続管理としてのCPAP診療へ位置づけが変わりつつあることを示しています。

生活習慣病外来の中でSAS管理をどう整理するかについては、以下の記事でもまとめています。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は生活習慣病とどう関係する?──内科クリニックでの検査・継続管理の考え方

なぜ定着支援が評価されるのか

CPAPは、導入されたことよりも、継続されていることによって初めて効果が現れる治療です。高血圧、心不全、脳血管疾患、糖尿病などの合併症予防との関係も指摘されています。

また近年は、遠隔モニタリングによって使用状況を把握できる環境が整ってきており、継続支援を診療として評価する基盤が現実的になってきました。

さらに今回の改定では、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2について、モニタリング可能な機器を活用した上で、実施月の前月から数えて3か月のすべての月で、1月当たりの1日平均使用時間が1時間未満である場合には、当該指導管理料を算定しないという整理も入っています。

ただし、この場合でも在宅療養指導管理材料加算は算定できるとされています。つまり、直ちに機器を回収するという話ではなく、継続に向けたアプローチを立て直す余地を残しつつ、本体管理料の評価は厳格化する制度として読むことができます。

CPAPは診察室だけで完結しない

CPAPは、診察室だけで完結する治療ではなく、自宅で継続することで効果が得られる治療です。

そのため、クリニックで行うこと、自宅で行うこと、通院頻度、費用の目安をあらかじめ共有しておくことが、治療継続の安心につながります。

治療中断の背景には、機械そのものの問題だけでなく、「続け方が分からない」「費用が見えにくい」「通院の流れが分からない」といった不安が含まれることもあります。

また、導入前の精密検査である終夜睡眠ポリグラフィーについても、今回の改定では評価区分が整理されています。従来の安全精度管理下で行うものに加え、それ以外の実施方法について、保険医療機関内または訪問して実施するものと、その他のものに整理されるなど、検査の実施体制に応じた評価の見直しが行われています。

役割分担の整理そのものが定着支援になる

CPAPでは、医療機関が確認する内容と、患者さん自身が自宅で継続する内容が分かれています。

医療機関では、使用状況、AHI、装着困難、継続状況などを確認します。一方、患者さん自身は、毎日の装着、違和感の共有、通院継続を担います。

こうした役割の整理そのものが、定着支援の一部になります。

今回の改定は、医師だけで抱える仕組みではなく、看護師や受付も含めて、どの情報を誰が確認し、どう共有するかを整理するきっかけになります。

職種ごとの役割整理については、以下の記事も参考になります。
生活習慣病外来を無理なく回すために ──職種ごとの役割整理の一例

クリニックでも実施可能な確認項目

持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算の施設基準では、CPAP療法の指導管理を実施している入院中以外の全ての患者について、使用時間等の着用状況や無呼吸低呼吸指数等がモニタリング可能な機器を活用し、定期的なモニタリングを行っていることが前提になります。

つまり、一部の患者さんだけを確認すればよいわけではなく、全患者を対象にした継続確認の仕組みが必要です。

医師

□ 使用時間を確認している

□ AHIを確認している

□ カルテに記録している

□ 使用時間が短い患者さんを把握している

看護師

□ 使用困難の訴えを共有している

□ マスク違和感を共有している

□ 使用時間が短い背景を医師へつないでいる

受付

□ 来院間隔が空いた患者さんを把握している

□ 来院中断が疑われる患者さんを医師へ共有している

こうした確認は、医師だけで完結させるより、院内で情報共有できるほど無理のない継続支援につながります。

使用時間が短い患者さんがいる場合は、運用の整理が必要です

今回の改定では、3か月連続して1日平均使用時間が1時間未満の場合、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2を算定しないという整理が入っています。

そのため、誰が使用状況を確認し、どのタイミングで医師へ共有し、患者さんへどう声をかけるかを外来運用として整理しておく必要があります。

CPAP患者の使用時間が短いとどうなる?──2026年改定後に整理しておきたい外来運用の判断ポイント【院長の経営相談Q&A】

オンライン診療・遠隔モニタリングとの関係

近年は、CPAP機器の使用状況を遠隔で確認できる環境が整ってきており、オンライン診療や遠隔モニタリングと組み合わせた継続支援も現実的になっています。

今回の改定では、情報通信機器を用いた診療で指導管理を行った場合の評価として、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2に209点の評価が設けられています。

これは、患者さんの通院負担を軽くしながら継続状況を確認する手段として、オンライン診療を外来運用にどう組み込むかを考えるきっかけになります。

ただし、オンライン診療の導入そのものが目的ではありません。遠隔モニタリングやオンライン診療を活用する場合も、誰が、いつ、どの情報を確認し、どう診療につなげるかを整理しておく必要があります。

医療DXや情報連携の体制整備については、以下の記事でも整理しています。
電子的診療情報連携体制整備加算はどこまで対応すべきか──加算3・加算2・加算1の順で整理する判断ポイント

指導管理料と充実管理体制加算は分けて整理する

今回の制度変更では、似た論点が並んで見えるため、本文でも分けて整理した方が誤解が少なくなります。

一つは、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2そのものです。こちらは、3か月すべてで1日平均使用時間が1時間未満なら算定しない、というルールが関わります。

もう一つは、持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算です。こちらは届出が必要であり、直近3か月の延べ管理月数に占める、1日4時間以上使用した日が20日以上である管理月数の割合が4割以上であることなどを確認していく加算です。

前者は「使えていない状態をどう見るか」、後者は「十分なモニタリング体制と実績をどう評価するか」という整理です。

届出で注意しておきたいこと

持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算(15点)は、要件を満たしていても自動的に算定できるものではありません。算定するには、地方厚生局長等への施設基準の届出が必要です。

さらに届出様式には、直近3か月において管理した実績の記載欄があります。

  • 入院中以外の全てのCPAP患者について、定期的なモニタリングを行っていること
  • 直近3か月の延べ管理月数に占める、1日4時間以上使用した日が20日以上である管理月数の割合が4割以上であること

これらは、届出時点ですでに満たしている必要があります。そのため、「6月から算定したいので6月になってから準備する」という対応では間に合いません。

実務的には、使用時間の短い患者さんへの早期支援、確認フローの整理、看護師・受付を含めたモニタリング体制、延べ管理月数を確認できる院内管理を、事前に整えておく必要があります。

届出期間の具体的な取扱いは地域ごとの案内を必ず確認する必要があります。令和8年6月1日算定開始分については、各地方厚生局の案内に沿って、5月から6月上旬にかけての指定期間内に提出する必要があります。

届出を出すかどうかは、制度要件だけでは決めにくい部分があります。

CPAP患者数、使用状況の把握体制、スタッフの関与、今後どこまで継続支援を担うかによって、判断は変わります。

制度の正解を探すというより、自院としてどこまで引き受けるかを整理する場面とも言えます。

自院の体制として継続支援まで引き受けることが難しい場合は、無理に加算算定を前提にしない判断もあり得ます。

制度対応をきっかけに、院内フローや患者案内、役割分担を見直す必要が出てきた場合は、はじめて利用される方へで整理の進め方をまとめています。

算定するかどうかは「自院で引き受けられる範囲」から考える

今回の改定は、CPAP診療を拡大するかどうかだけを問うものではなく、診療所としてどのような体制で継続支援に関わるのかを問いかけている制度として捉えることができます。

ここで大切なのは、加算算定を前提にして体制を無理に合わせにいくことではありません。

自院の患者数、スタッフ体制、確認フロー、患者さんへの説明負担を踏まえたときに、継続支援まで引き受けられるのであれば、届出を検討する意味があります。

一方で、現時点では使用状況の把握やフォロー体制を十分に組めない場合は、まず体制整備を優先し、無理に算定しないという判断もあり得ます。

算定するかどうかは、点数だけでなく、自院が責任を持って続けられる運用かどうかから考える必要があります。

制度対応を個別テーマごとに整理したい場合

CPAPに限らず、2026年診療報酬改定では「制度は理解できるが、自院でどう判断するかが難しい」という論点が増えています。

院長の経営判断として整理したいテーマについては、以下の一覧にもまとめています。
院長の経営相談Q&A|記事一覧

制度だけでは整理しきれない論点もある

制度の理解だけでは判断は決まりません。

自院としてどこまで関わるのか、どこまで体制として整備するのかは、診療方針、地域での役割、スタッフ体制を含めて整理する必要があります。

CPAP診療は、算定できるかどうかだけでなく、続けられる体制かどうかを考えるテーマです。

特に、届出の可否、院内フロー、患者案内、スタッフとの役割分担が同時に絡む場合は、制度対応というよりも、外来運用の再設計として整理した方が判断しやすくなります。

ただ、ここまで整理しても、実際には「自院でどこまで引き受けるか」「スタッフにどこまで担ってもらうか」「患者案内をどこまで変えるか」で判断が止まることがあります。

ここまで読んで、「制度は理解できたが、自院でどう判断するかが決まらない」という状態であれば、それは自然なことです。

制度を踏まえて、自院としてどこまで関わるかを整理したい先生へ

診療報酬改定の内容を理解しても、実際にどう運用するかはすぐには決まらないことがあります。

CPAP診療をどこまで担うのか、院内でどこまで体制を整えるのか、ホームページや患者案内をどこまで見直すのか。こうした判断が少しずつ重くなり始めた段階で、一度考えを整理される先生もいらっしゃいます。

こちらでは正解を提示する支援ではなく、論点と優先順位、判断の前提を整理する支援を行っています。

相談内容が整理できていない段階でも問題ありません。何から考えるべきかを整理するところから始まることが多くあります。

制度対応をきっかけに、院内の役割分担や患者案内、継続支援の範囲を見直す必要が出てきたときは、以下のページで整理の進め方をまとめています。

はじめて利用される方へ

記事一覧