まえやまだ純商店

クリニック開業・経営コラム

CPAP患者の使用時間が短いとき、外来としてどう考える?──2026年改定後の判断ポイント

本記事は「院長の経営相談Q&A」に属します。
2026年6月施行の診療報酬改定を踏まえ、CPAP患者さんの使用時間が短い場合に、算定上何を確認し、外来としてどのように対応を考えるかを整理します。
※制度の詳細は、告示・通知・疑義解釈、管轄する地方厚生局の案内により確認してください。

よくあるご相談

CPAPを導入している患者さんの中に、使用時間が短い方が一定数いらっしゃることがあります。

2026年の診療報酬改定を踏まえ、このまま同じ運用でよいのか、使用時間が短い患者さんをどのように位置づけるのか、外来としてどこまでフォローするのか、迷う場面もあるのではないでしょうか。

この記事では、算定上の確認事項だけでなく、低使用の背景、院内での確認方法、スタッフや機器メーカーとの役割分担、自院として無理なく続けられる外来運用を考える順番を整理します。

先に結論

直近3か月すべての月で、1日平均使用時間が1時間未満の場合、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料は算定できません。

ただし、CPAP機器等に関する材料加算は算定可能とされています。

まず算定可否を確認し、その後、なぜ使用時間が短いのか、誰がどの段階で確認するのか、患者さんへのフォローをどこまで行うのかを整理することが重要です。

2026年改定で何が変わったのか

2026年改定では、在宅持続陽圧呼吸療法、いわゆるCPAPに関する評価の考え方が整理されました。

これまでのCPAP外来では、導入した患者さんを継続的にフォローしていることが中心でした。

今回の改定では、それに加えて、患者さんが実際にどの程度CPAPを使用しているかという実績が、算定や評価と結びつく仕組みになっています。

そのため、患者さんごとの使用時間を確認するだけでなく、外来全体として使用状況を把握し、継続を支える体制をどうつくるかが重要になります。

1日平均使用時間が1時間未満の場合

直近3か月すべての月で、1日平均使用時間が1時間未満となった場合、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料は算定できません。

ここでいう直近3か月は、指導管理を実施する月そのものを含めるのではなく、指導管理を実施する月の前月から数えて3か月間で確認します。

確認例

7月に指導管理を行う場合は、4月・5月・6月の使用状況を確認して判定します。

なお、指導管理料が算定できない場合でも、CPAP機器等に関する材料加算は算定可能とされています。

また、材料加算は、月1回ではなく、3月に3回に限り算定する扱いに見直されています。

受診間隔が毎月一定ではない患者さんについても、3か月単位で確認し、算定漏れや重複がないよう院内の確認方法をそろえておく必要があります。

充実管理体制加算への影響

今回の改定では、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2が従来の250点から240点へ見直され、新たに持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算15点が設けられました。

この加算では、CPAP療法の指導管理を行っている外来患者について、1日4時間以上使用した日が月20日以上ある管理月数の割合が、直近3か月の延べ管理月数の4割以上であることなどが要件とされています。

一方で、1日平均使用時間が1時間未満で、指導管理料を算定できなかった月は、充実管理体制加算の計算における延べ管理月数の分母に含めないことが示されています。

使用時間が短い患者さんがいるからといって、直ちにクリニック全体の加算要件へ悪影響が出るわけではありません。算定できる月と算定できない月を正しく判定し、分母・分子の扱いを院内で共有することが重要です。

使用時間が短い背景をどう確認するか

使用時間が短い患者さんがいた場合、算定可否を確認するだけでなく、なぜ使用できていないのかという背景を確認する必要があります。

CPAPは自宅で継続する治療であるため、患者さんの生活や感覚に合っていない部分があると、使用時間が短くなることがあります。

例えば、次のような理由が考えられます。

  • マスクが合っていない
  • 装着時の違和感がある
  • 寝ている間に外してしまう
  • 装着すると眠りにくい
  • 口や鼻の乾燥が気になる
  • 仕事や生活リズムと合っていない
  • 通院や費用の負担を感じている
  • 治療効果を実感できていない
  • 治療を続ける必要性が十分に伝わっていない

患者さんとしても、治療を続ける意思がないのではなく、続けたいけれど続けにくい状態にある場合があります。

使用時間という数値だけで対応を決めず、機器の問題、生活上の事情、治療への理解、患者さんの意向を分けて確認することが大切です。

使用状況を誰が確認するか

CPAP患者さんの使用状況を、医師が診察時に初めて確認する運用になっているクリニックもあります。

しかし、すべての確認を医師の診察時だけに任せると、診察時間が圧迫されるだけでなく、使用時間の低下に気づくのが遅くなる可能性があります。

例えば、次のような確認方法が考えられます。

  • 来院前にクラウド上の使用データを確認する
  • 一定基準を下回った患者さんを一覧化する
  • 受付時や診察前に、使用状況や困りごとを確認する
  • 確認した内容を診察前に医師へ共有する
  • 医師へ引き継ぐ基準をあらかじめ決める

すべての患者さんに同じ量の確認を行う必要はありません。

使用状況に問題がない患者さんと、使用時間が低下している患者さんを分け、必要な患者さんに確認時間を使える仕組みにすることが大切です。

スタッフや機器メーカーとの役割分担

使用状況の確認や患者さんへの声かけを、すべて院長が行う必要はありません。

一方で、確認業務をそのままスタッフへ移すだけでは、現在の業務に新しい負担を加えることになります。

スタッフへ確認業務を移す場合

使用時間の確認を看護師や受付スタッフへ依頼すれば、医師の診察時の負担を減らせる可能性があります。

ただし、電話対応や問診確認などですでに業務が集中している場合、確認項目を増やすだけでは続きません。現在の業務量、スタッフが確認する範囲、医師へ引き継ぐ基準まで含めて考える必要があります。

使用データの抽出、マスクの状態確認、機器の操作説明については、CPAP機器メーカーと分担できる場合があります。

院内で行うことと、機器メーカーへ確認・依頼することを分けておくと、スタッフの手作業や確認漏れを減らしやすくなります。

CPAP外来の運用を考える順番

① 算定対象と使用状況を把握する

  • 1日平均使用時間はどの程度か
  • 直近3か月すべてで1時間未満になっていないか
  • 指導管理料を算定できる月か
  • 材料加算をどの月に算定するか
  • 充実管理体制加算の分母・分子にどう反映するか

② 使用時間が短い背景を分ける

機器やマスクの問題、患者さんの生活、治療効果への認識、通院や費用の負担など、続けにくい理由を分けて確認します。

③ 誰が、どの段階で確認するかを決める

来院前、受付時、診察前、診察時のどの段階で確認するかを決めます。スタッフが確認する範囲と、医師へ引き継ぐ基準も共有します。

④ 継続支援と見直しの基準を共有する

  • マスクや機器を調整する
  • 治療の必要性や効果を再説明する
  • 一定期間後に使用状況を再確認する
  • 対面診療で状態を確認する
  • 治療方針そのものを見直す

どの状態になったら次の対応へ進むのかを、院内でそろえておくことが大切です。

⑤ 一度運用し、負担や見落としを見直す

実際に運用した後、確認に時間がかかりすぎていないか、スタッフの負担が増えていないか、患者さんへの説明にばらつきがないかを確認し、必要に応じて見直します。

無理なく続けられる外来運用を考える

CPAP外来の運用を整理する目的は、制度へ対応することだけではありません。

確認方法や役割分担を決めておくことで、その都度迷う時間を減らし、診察時には患者さんの状態や今後の治療方針に集中しやすくなります。

ただし、充実管理体制加算を算定できるからといって、必ず取得を目指すべきとは限りません。

対象患者数、確認に必要な時間、スタッフ体制、システムの使いやすさ、現在の外来業務を踏まえ、自院で続けられるかを確認する必要があります。

今決めることと、後で決めることを分ける

今すぐ決める必要があるのは、算定可否の確認方法、対象患者さんの把握、記録方法などです。

スタッフの役割変更、ICTを使った運用、充実管理体制加算の届出、外来全体の再設計は、現在の運用を確認した上で後から判断することもできます。

目の前の算定対応、患者さんへの支援、院内の負担を分けて確認し、地域でCPAP治療を必要とする患者さんを継続して支えられる体制を考えることが大切です。

まとめ

2026年改定では、CPAP患者さんの使用時間が、指導管理料の算定や外来全体の評価に関係する仕組みになりました。

直近3か月すべての月で、1日平均使用時間が1時間未満の場合、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料は算定できません。

ただし、材料加算は算定可能とされ、指導管理料を算定できなかった月は、充実管理体制加算の延べ管理月数の分母に含めないことが示されています。

まず患者さんごとの使用状況と算定可否を確認し、次に低使用の背景、確認する人とタイミング、スタッフや機器メーカーとの役割分担を整理します。

その上で、患者さんへの継続支援と院内の負担の両方から、自院として無理なく続けられるCPAP外来の運用を考えることが重要です。

自院のCPAP外来について、考えを整理したいときに

制度上の算定可否は確認できても、患者さんへのフォロー、スタッフとの役割分担、機器メーカーとの連携、充実管理体制加算を目指すかどうかまで含めると、自院としての答えがすぐに決まらないことがあります。

まえやまだ純商店では、現在の状況やこれまでの経緯を伺い、現状・背景・論点・判断基準・選択肢・優先順位を整理します。

誰に何を確認し、スタッフへどのように説明するのかを整理し、院長ご自身が判断理由を持って、次の一手を決めやすい状態を整えます。

状況確認面談(無料)では、現在気になっていることやこれまでの経緯を伺い、何を整理する必要がありそうか、当方の支援がお役に立てそうかを双方で確認します。

無料面談で個別の制度判断、詳細な調査、具体的な運用設計や解決策の提示を行うものではありません。その場で継続的な経営相談を利用するか決めていただく必要もありません。

経営相談の内容・流れ・料金を確認する

クリニック経営で相談できる内容を見る

関連記事

CPAPの点数や持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算の届出については、こちらの記事でも整理しています。

2026年診療報酬改定|CPAP管理料はどう変わる?──導入から継続支援へ移る制度のポイント

まえやまだ純商店 前山田純

この記事を書いた人

前山田 純 まえやまだ純商店

2011年から医療機関の開業・経営支援に従事。院長が一人では整理しきれない経営上の考えや課題について、現状・背景・論点・判断基準・選択肢を整理しています。一つの正解を押し付けるのではなく、院長ご自身が判断理由を持ち、自院として次の一手を決めやすい状態を整えることを大切にしています。

前山田純のプロフィールを見る →
記事一覧