CPAP患者の使用時間が短いとどうなる?──2026年改定後に整理しておきたい外来運用の判断ポイント(院長の経営相談Q&A)
本記事は「院長の経営相談Q&A」に属します。
2026年診療報酬改定を踏まえ、CPAP患者さんの使用時間が短い場合に、外来運用として何を整理しておきたいかを考えます。
よくあるご相談
CPAPを導入している患者さんの中に、使用時間が短い方が一定数いらっしゃいます。
これまでは継続的にフォローしてきたものの、2026年の診療報酬改定を踏まえると、 このまま継続してよいのか、使用状況が悪い患者さんをどう位置づけるべきか、 外来としてどこまでフォローすべきか、迷う場面が増えてきたというご相談をいただくことがあります。
今回の改定は、この判断と無関係ではありません。
制度の構造そのものが、少し変わったためです。
今回の改定で何が変わったのか
2026年改定では、在宅持続陽圧呼吸療法、いわゆるCPAPに関する評価の考え方が整理されました。
これまでのCPAP外来は、「導入した患者さんを継続的にフォローしているか」という側面が中心でした。 一方で今回の改定では、実際にどの程度使用されているかという点が、より評価に結びつく仕組みになっています。
言い換えると、CPAP外来は、患者数だけではなく、使用実績や継続管理のあり方を含めて見られる方向に整理されたと言えます。
使用時間が短い患者さんにはどのような影響があるのか
制度上の変化として分かりやすいのは、直近3か月間すべての月において、 1日平均使用時間が1時間未満となった場合には、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料が算定できなくなる点です。
なお、この場合であっても、CPAP機器等に関する材料加算は算定可能とされています。 したがって、売上が完全にゼロになるという話ではありません。 ただし、指導管理料が算定できなくなることは、外来としての関わり方を見直す重要なサインになります。
これは単なる算定要件の変更というより、外来としての位置づけを整理する必要がある、というメッセージでもあります。
つまり、「この患者さんを継続するかどうか」だけではなく、 「どのように支えるのか」「どこまで外来としてフォローするのか」という整理が求められるようになったと考えられます。
クリニック全体への影響という視点もあります
今回の改定では、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2の点数が、従来の250点から240点へ見直されています。 その一方で、新たに持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算15点が設けられました。
この加算では、CPAP療法の指導管理を行っている外来患者について、 1日4時間以上使用した日が月20日以上ある管理月数の割合が、直近3か月の延べ管理月数の4割以上であることなどが要件とされています。
つまり、個別患者さんの使用状況だけでなく、外来全体としてCPAP治療をどの程度支えられているかが評価対象になっているということです。
使用時間が短い患者さんが増え、全体の使用実績が要件を満たさなくなると、 治療を継続できている患者さんを含めて加算が算定できなくなる可能性があります。 そのため、これは個別対応だけでなく、クリニック全体の運用設計として考える必要があります。
使用状況を院内でどう共有するか
今回の改定を外来運用として考えると、重要になるのは、医師だけが使用状況を把握する形でよいのか、という点です。
CPAPの使用時間が短くなっている患者さんに早く気づくためには、 使用状況をクリニック内でどのように共有するかを整理しておく必要があります。
例えば、来院前に使用状況を確認するのか、低使用の患者さんを一覧化するのか、 スタッフが声かけや来院勧奨を行うのか、医師の診察時に確認するのか。 こうした役割分担が曖昧なままだと、気づいたときには3か月が経過している、ということも起こり得ます。
また、使用データの抽出や一覧化については、CPAP機器メーカーが提供するクラウドシステムや遠隔モニタリング機能をどこまで活用できるか、 ベンダー側と運用をすり合わせておくことも有効です。 すべてを院内スタッフの手作業にすると、確認作業そのものが負担になってしまうためです。
今回の改定は、CPAP治療を医師だけで支えるものから、 外来全体で支えるものへ整理するきっかけになると考えられます。
クリニックとしてどこまでフォローするか
使用時間が短い患者さんがいた場合、すぐに終了を検討するという話ではありません。
まずは、なぜ使用時間が短くなっているのかを確認する必要があります。 装着時の違和感、マスクの不具合、生活リズムの変化、治療への納得感の不足など、 背景は患者さんごとに異なります。
ただし、すべてを医師の診察時だけで確認しようとすると、外来の負担が大きくなります。 そのため、クリニックとしてどこまでフォローするのかを整理しておくことが重要です。
例えば、一定期間使用時間が低下している患者さんには来院前に確認する、 必要に応じてスタッフが声をかける、オンラインやLINEなどの連絡手段を補助的に使うなど、 院内の体制に合わせた設計が考えられます。
今回の改定では、CPAPの指導管理について、情報通信機器を用いた診療の評価も設けられています。 制度側も、ICTを活用した柔軟なフォローアップを一定程度後押ししていると見ることができます。 ただし、実際にどこまで行うかは、自院の外来体制や患者層に合わせて整理する必要があります。
外来として整理しておきたい3つの視点
① 使用状況が把握できているか
まず重要なのは、患者さんごとの使用状況が把握できているかという点です。 個別対応の前提として、外来全体の状況が見えているかどうかが影響します。
② 使用時間が低下している患者さんに早く気づけるか
使用時間が低下している背景には、違和感、装着の問題、生活状況の変化、継続意欲の低下など、さまざまな理由があります。 早期に気づける仕組みがあるかどうかで、外来としての支え方は変わってきます。
③ 継続か見直しかを判断する視点が共有されているか
どうしても使用が難しい患者さんについて、どのように位置づけるかは、クリニックごとの考え方に関わります。 今回の改定では、この判断を院内で整理する必要性が以前より明確になったと言えます。
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CPAPの点数や持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算の届出については、こちらの記事でも整理しています。
今回の改定をどのように受け止めるとよいか
今回の制度変更は、CPAP患者さんを増やすための改定というより、 CPAP治療をどのように支える外来として位置づけるかを整理する改定と考えると理解しやすくなります。
使用時間が短い患者さんへの対応は、制度の問題だけではありません。 クリニックとしてどこまで患者さんをフォローするのか、 使用状況を誰が確認し、どのタイミングで共有し、どのように患者さんへ声をかけるのか。 こうした外来運用の整理と深く関係しています。
その意味では、今回の改定はCPAP外来を見直す機会でもあります。
まとめ
2026年改定では、CPAP外来は患者数だけでなく、使用実績や継続管理の体制がより問われる方向に整理されました。
その変化を踏まえると、使用時間が短い患者さんへの対応は、 個別患者さんの問題というよりも、外来としてどのように支えるかという設計の整理につながっていきます。
院内での位置づけや対応の整理に迷われる場面があれば、 一度論点を外に出して整理するだけでも、判断がしやすくなることがあります。
制度対応を、自院の外来運用として整理したい院長先生へ
診療報酬改定への対応では、点数や要件を確認するだけでなく、 「自院ではどこまで対応するのか」「誰が、どのタイミングで、どのように運用するのか」を整理する場面が増えています。
判断が重くなり始めた段階で、相談されることが多くあります。 まだ対応方針が決まっていなくても、相談内容が整理できていない段階でも問題ありません。
むしろ、何から考えるべきかを整理するところから始まることが多くあります。 臨床と同じように、経営判断も「症状が出てから」ではなく、「違和感の段階」で整理することに意味があります。
まえやまだ純商店では、正解を提示するのではなく、 院長先生の考えや院内の状況を伺いながら、論点と優先順位を整理する支援を行っています。 自院に合わせた形で、どこから整理するかを一緒に考えていきます。