2026年診療報酬改定|CPAP管理料はどう変わる?──導入から継続支援へ移る制度のポイント
なお、本文中の「届出」は、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料そのものではなく、注2の「持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算」を算定する場合の届出を指します。
持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算の要点
- 点数:15点
- 届出:必要
- 対象:在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2を算定する患者
- 主な要件:入院中以外の全CPAP患者を対象に、モニタリング可能な機器を用いて定期的に使用状況などを確認する
- 実績要件:直近3か月の延べ管理月数のうち、「1日4時間以上使用した日が20日以上」の管理月数が4割以上
- 注意点:届出をしても、実際の算定時には患者ごとの算定要件や記録を確認する必要がある
制度上の要件を満たせるかだけでなく、全患者のデータを誰が確認し、低使用患者へどう対応し、院内でどう共有するかまで整理することが重要です。
2026年診療報酬改定では、在宅持続陽圧呼吸療法、いわゆるCPAPについて、機器を導入していることだけでなく、治療の継続状況を確認し、患者さんを支援する体制がより重視されるようになりました。
新設された「持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算」は15点です。算定するには施設基準の届出が必要で、全ての対象患者について定期的なモニタリングを行う体制や、直近3か月の使用実績が求められます。
この記事では、算定要件、届出、計算方法、使用時間が短い場合の取扱い、オンライン診療との関係、レセプト上の確認事項を整理します。
そのうえで、制度を理解したあとに残りやすい、院内の役割分担や低使用患者への対応についても確認します。
目次
2026年改定でCPAP管理はどう変わったか
2026年改定では、CPAP診療について、導入対象、使用状況の確認、継続支援、オンライン診療などの評価が見直されました。
| 主な変更点 | 確認したい内容 |
|---|---|
| 指導管理料2の点数 | 250点から240点へ見直し |
| 充実管理体制加算 | 15点を新設。施設基準の届出が必要 |
| 使用状況 | 低使用が3か月続いた場合の取扱いを明確化 |
| オンライン診療 | 情報通信機器を用いた指導管理の評価を新設 |
| 材料加算 | 月1回から「3月に3回」に算定方法を見直し |
今回の改定は、CPAP機器を提供しているかだけでなく、患者さんが実際に治療を続けられているかを確認する方向へ評価の軸足を移したものと整理できます。
ただし、「継続支援を重視する」といっても、全ての患者さんに一律の対応を求めるという意味ではありません。使用データや症状、装着上の困りごとを確認し、必要な指導や支援につなげることが基本になります。
持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算の点数・届出・要件
持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算は、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2について、所定の施設基準を満たした医療機関が算定できる15点の加算です。
要件を満たしているだけで自動的に算定できるものではなく、地方厚生局長等への届出が必要です。
主に確認したい施設基準
- 入院中以外の全てのCPAP指導管理患者を対象としているか
- 使用時間などの着用状況を確認できる機器を使用しているか
- 無呼吸低呼吸指数などを確認できるか
- 定期的なモニタリングを行っているか
- 直近3か月の使用実績が基準を満たしているか
一部の患者さんだけを抽出して確認するのではなく、対象となる全患者を継続的に確認できる仕組みが前提となります。
また、届出様式には直近3か月の管理実績を記載する欄があるため、届出を決めてからデータを集め始めるのではなく、事前に集計方法を整えておく必要があります。
「4時間・20日・4割」の計算方法
実績要件では、直近3か月における延べ管理月数のうち、次の条件を満たす管理月数の割合が4割以上であることを確認します。
1日4時間以上使用した日が、1か月に20日以上ある管理月
この条件を満たした管理月数 ÷ 直近3か月の延べ管理月数 × 100
患者数の4割ではなく、直近3か月の「延べ管理月数」で計算する点に注意が必要です。
例えば、10人の患者さんを3か月継続して管理した場合、原則として延べ管理月数は30月です。そのうち、条件を満たした管理月が12月以上であれば、4割以上となります。
実績確認に用いる1か月は、暦月または通院時に確認する直近30日間のいずれを用いても差し支えないとされています。院内で計算方法が混在しないよう、どちらを用いるか決めておくことが大切です。
患者さんが受診せず、指導管理料または対象となる遠隔モニタリング加算を算定しなかった月は、延べ管理月数に含めません。
指導管理料2は、低使用が3か月続くと算定できない
在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2では、モニタリング可能な機器を使用したうえで、実施月の前月から数えて3か月の全ての月で、1月当たりの1日平均使用時間が1時間未満である場合、当該指導管理料を算定しない取扱いが示されています。
これは、充実管理体制加算の実績要件とは別のルールです。
低使用が確認されたからといって、直ちにCPAP機器を回収することを意味するわけではありません。患者さんが使用できていない理由を確認し、治療継続の可否や支援方法を改めて検討する必要があります。
使用時間が短い背景には、例えば次のような事情があります。
- マスクが合わない
- 装着時の違和感や息苦しさがある
- 眠りにくい
- 治療の必要性を十分に理解できていない
- 仕事や生活リズムと合わない
- 通院や費用に負担を感じている
使用時間という結果だけでなく、続けにくい理由を確認し、診療や機器調整、患者説明につなげることが重要です。
CPAP患者の使用時間が短いとどうなる?──2026年改定後に整理しておきたい外来運用の判断ポイント
指導管理料2と充実管理体制加算は分けて整理する
| 項目 | 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2 | 充実管理体制加算 |
|---|---|---|
| 点数 | 240点 | 15点 |
| 主な確認対象 | 患者ごとの指導管理と使用状況 | 医療機関のモニタリング体制と実績 |
| 低使用に関する基準 | 3か月全てで1日平均1時間未満の場合は算定しない | 4時間以上使用した日が20日以上ある管理月の割合を確認 |
| 施設基準の届出 | 指導管理料そのものについては不要 | 必要 |
どちらもCPAPの使用時間に関係しますが、確認する目的が異なります。
「1時間未満」と「4時間・20日・4割」を混同すると、患者ごとの算定可否と、医療機関としての加算届出要件が分かりにくくなるため、分けて管理することが大切です。
オンライン診療・遠隔モニタリングとの関係
2026年改定では、情報通信機器を用いて在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2を算定する場合の評価として、209点が設けられています。
ただし、CPAP療法を開始したことで眠気やいびきなどの症状が改善していることを、対面診療で確認していることが前提です。
そのため、導入直後から全てをオンラインへ切り替えるのではなく、患者さんの状態や治療経過に応じて、対面診療とオンライン診療を組み合わせる必要があります。
また、情報通信機器を用いた診療を行う場合も、使用データを誰が確認し、異常や低使用をどのように医師へ共有するかを決めておかなければ、継続支援にはつながりません。
届出前に確認したい院内体制
届出要件を満たすか確認する際は、使用実績の計算だけでなく、今後も継続して確認できる運用かを見ておく必要があります。
| 担当 | 確認したい内容 |
|---|---|
| 医師 | 使用時間、AHI、症状、装着困難、治療継続の方針を確認し、必要事項を記録できるか |
| 看護師 | 患者さんの困りごとや装着しにくさを聞き取り、医師へ共有できるか |
| 受付 | 受診間隔が空いた患者や予約中断を把握し、院内で共有できるか |
| 機器業者 | 使用状況データ、レポート、マスクや機器の相談内容を適切に共有できるか |
届出前の簡易チェック
□ 対象となる全患者のデータを確認できる
□ 直近3か月の延べ管理月数を集計できる
□ 低使用患者を把握できる
□ 誰が、いつ、何を確認するか決まっている
□ 医師への共有方法が決まっている
□ 患者説明や機器業者への連絡方法が整理されている
届出時だけ数字をそろえるのではなく、その後も無理なく継続できる仕組みであることが重要です。
制度を理解したあとに残る運用上の判断
施設基準や計算方法を確認すれば、制度上、届出が可能かどうかは一定程度判断できます。
一方で、次のような点は制度を読んだだけでは決まりません。
- 今の患者数で加算算定を目指す意味があるか
- 現在のスタッフ体制で全患者の確認を続けられるか
- 使用時間が短い患者さんに誰が声をかけるか
- 患者さんへの説明をどこまで見直すか
- 機器業者から届く情報をどのように院内共有するか
- すぐ届出をするか、まず体制整備を優先するか
加算を算定できることと、自院で無理なく継続できることは同じではありません。
患者数、スタッフ数、現在の業務フロー、診療方針を踏まえ、算定後も責任を持って続けられるかを確認する必要があります。
現時点で体制を十分に整えられない場合は、無理に加算算定を目指さず、まず使用状況の把握や役割分担から始める判断もあり得ます。
持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算のよくある質問
Q1.加算の点数はいくつですか?
持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算は15点です。在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2の所定点数に加算します。
Q2.届出は必要ですか?
必要です。施設基準に適合しているものとして、地方厚生局長等へ届け出た保険医療機関が算定できます。使用する様式や提出期間は、管轄する地方厚生局の最新案内をご確認ください。
Q3.「4割」は患者数の4割ですか?
単純な患者数の割合ではありません。直近3か月の延べ管理月数を分母とし、「1日4時間以上使用した日が20日以上」の管理月数を分子として計算します。
Q4.使用時間が短い患者が1人でもいると加算できませんか?
1人でも条件を満たさない患者がいれば算定できない、という要件ではありません。ただし、入院中以外の全対象患者に対する定期的なモニタリング体制が必要で、直近3か月の延べ管理月数による実績割合を満たす必要があります。
Q5.3か月連続して平均使用時間が1時間未満の場合はどうなりますか?
在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2について、実施月の前月から数えて3か月の全ての月で、1月当たりの1日平均使用時間が1時間未満である場合は算定しません。これは充実管理体制加算の4割要件とは別の取扱いです。
Q6.「3月に3回」とはどういう意味ですか?
在宅療養指導管理材料加算の算定回数について、従来の「月1回」から「3月に3回」へ見直されたものです。充実管理体制加算の実績要件を意味するものではありません。
Q7.オンライン診療でも算定できますか?
在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2には、情報通信機器を用いた診療の場合の評価があります。ただし、症状の改善を対面診療で確認していることなどの要件があります。加算についても、届出済みであり、施設基準と患者ごとの算定要件を満たす必要があります。
Q8.レセプトコメントには何を記載しますか?
レセプトの記載事項は、指導管理料、オンライン診療、低使用時の取扱い、加算の算定状況などによって確認すべき内容が異なります。固定的な文例だけで判断せず、最新の診療報酬請求書等の記載要領、疑義解釈、レセコンの対応内容をご確認ください。
Q9.届出後は毎月必ず加算できますか?
届出を受理されていることだけで、全ての患者に自動的に算定できるわけではありません。算定月ごとに、指導管理料2および加算の要件を満たしているかを確認する必要があります。
まとめ|算定可否と、続けられる運用を分けて確認する
持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算は15点で、算定には施設基準の届出が必要です。
主なポイントは、対象となる全CPAP患者について定期的なモニタリングを行い、直近3か月の延べ管理月数を用いた使用実績の基準を満たすことです。
また、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2には、3か月連続して1日平均使用時間が1時間未満の場合の取扱いがあるため、充実管理体制加算の実績要件とは分けて確認する必要があります。
制度上の要件を確認したあとは、次の順で整理すると進めやすくなります。
- 対象となる患者と使用データを確認する
- 直近3か月の延べ管理月数と実績割合を計算する
- 低使用患者への対応方法を確認する
- 医師・看護師・受付・機器業者の役割を整理する
- 算定後も無理なく続けられるかを確認する
- 最新の届出様式と提出方法を地方厚生局で確認する
加算を算定できるかだけでなく、患者さんへの継続支援を自院の外来で無理なく続けられるかまで確認することが大切です。
