新規のクリニック開業規制をきっかけにこれからの地域医療との向き合い方を考える
新規のクリニック開業規制や、
医師の偏在対策が話題になる中で、
「これからは地域に必要とされる医療を」
「地域貢献型のクリニックを」
という言葉を目にする機会が増えました。
開業が禁止されるわけではありません。
現時点で、すべての開業において
厳しく問われているわけでもありません。
ただ、今後は
「なぜその地域で、どんな役割を担うのか」
を整理しておくことが、
これまで以上に求められる場面が
増えていく可能性は高いと感じています。
こうした制度の動きは、
何か一つの「正解」を示すというよりも、
これまで後回しにされがちだった問いを、
表に引き出してきたもののように見えます。
補足|現場では、まだ「当たり前の言葉」ではない
ここで一つ、
現場の実感についても触れておきたいと思います。
正直に言うと、
現時点で多くの開業現場において
「地域貢献型のクリニックを目指そう」
「地域に必要とされる医療を提供しよう」
という言葉が、
日常的に頻繁に使われているかというと、
まだそこまで一般化している印象はありません。
多くの院長にとって、
日々向き合っているのは、
- 目の前の患者対応
- スタッフの確保や育成
- 診療報酬や経営の調整
- 診療体制をどう回すか
といった、
より具体的で差し迫った課題です。
その中で
「地域貢献型」という言葉は、
現場の日常語というより、
制度の議論や講演、資料の中で
目にすることが多い表現だと感じています。
ただし一方で、
新規のクリニック開業規制や医師の偏在対策、
外来医療の機能分化といった制度の方向性を見ると、
「どの地域で、どんな役割を担うのか」
という問いが、
今後ますます避けられなくなっていく可能性は高い。
つまり、
- 今はまだ、強く実感されていない
- しかし、制度設計の前提としては組み込まれつつある
その移行期に、私たちは立っているのだと思います。
制度の話より、先に考えておきたい前提
なお、
新規のクリニック開業規制や医師偏在対策については、
制度そのものの整理を別の記事でまとめています。
制度の詳細や背景を確認したい方は、
こちらも参考にしてみてください。
▶︎ 医師偏在対策は「開業判断」にどう影響するのか
──2025年12月24日通達から考える、これからの開業準備
制度の細かな内容以前に、
医療を取り巻く前提条件は、
ここ数年で大きく変わっています。
- 診療報酬は大きく伸びない
- 人件費や物価、固定費は上がり続けている
- 人口動態はすでに決まっている
努力や工夫だけで
どうにかできる範囲を超えた制約が、
確実に増えています。
その中で
「地域に必要とされる医療を提供する」
という言葉を、
どう現実に落とし込むのか。
ここを整理せずに進むと、
理想と実務の間で、
少しずつ無理が積み重なっていきます。
何を診るか、よりも
何を診られないかを整理する
地域医療を考えるとき、
どうしても
「何ができるか」
「どこまで診られるか」
という話になりがちです。
もちろん、それは大切な視点です。
ただ、それと同じくらい重要なのが、
何を診ることができて、
何を診ることはできないのか。
を自分自身で把握し、
言葉にしておくことだと感じています。
- これまでの経験
- 専門性
- クリニックの体制
- スタッフの人数や働き方
こうした現実を踏まえたうえで、
診ることができない領域については、
無理に抱え込まず、
近隣の医療機関や連携先につなぐ。
この判断もまた、
地域医療を支えるための
大切な役割の一つだと思います。
「線を引くこと」は、後退ではない
ここで誤解されやすいのですが、
これは
「地域貢献をしない」という話ではありません。
地域医療の関わり方に、
一つの正解があるわけではありません。
地域のニーズに応え、
できる限り多くを引き受けるという道もあれば、
あらかじめ線を引き、
自分の経験や体制の中で役割を定め、
近隣の医療機関と分担しながら
地域を支えるという道もある。
どちらが正しいか、ではなく、
どこまでなら引き受け続けられるか。
その選択を、
医師自身が自覚的に行えるかどうかが、
これからはより重要になってくるのだと思います。
「地域医療を治し、支える」という考え方
地域医療を守る、というと、
何かを足し算していくイメージを
持たれやすいかもしれません。
ですが現実には、
- 無理をしすぎない
- 抱え込みすぎない
- 壊さない
- 続けられる形を選ぶ
こうした
引き算や線引き も含めて、
地域医療を「治し、支える」ことに
つながっていくのではないでしょうか。
すべてを一つの医療機関で完結させない。
役割を分け、つなぎ合う。
それもまた、
これからの地域医療の一つの姿だと感じています。
結び|正解を出さない、という立場から
この記事は、
「こうすべきだ」という結論を
提示するためのものではありません。
地域貢献の形も、
診療の範囲も、
規模も、
働き方も、
正解は一つではありません。
ただ一つ、
この事業を、
どこまで引き受けたいのか。
新規のクリニック開業規制や医師の偏在対策は、
その問いを、
これまでより少し早い段階で
私たちに突きつけてきているように感じます。
すぐに答えを出す必要はありません。
けれど、
一度立ち止まって考えてみる価値は、
確実に増えているのではないでしょうか。
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